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第12話 やってきた3人組!?

帰りのミーティングで渡されたプリントを乱暴に鞄に詰め込むと、刹那は全速力で教室から走り去っていった。教室から博人が「ちゃんと準備してろよ〜」などと言っている。・・・人事だと思って・・・。

急いで下駄箱から靴を取り出して履き替え、自転車置き場に止めてある自分の自転車のサドルに座ると、全力の立ち漕ぎで自転車をとばして自宅に帰った。


キキキキィィィイイイイイイイ!!!


あまりにも速度が出ていたため、ブレーキをかけた際にタイヤの跡がくっきり残ってしまった。あぁ、ご近所のおばちゃんに見つかったら何か言われそうだ。・・・だが、今はそれどころではない。そんなことよりももっと重要なことがある。


「玲菜ぁぁぁああああああああ!! 里奈さぁぁあああああああああああん!!」


叫びながら玄関まで行き、靴を乱暴に脱ぎ捨てて走る。たぶん玲菜も里奈さんも居間でテレビか何かを見てるはず・・・。

刹那の予想は当たっており、玲菜と里奈は2人仲良くテレビを見ていた。・・・仲良く、というか、里奈は玲菜の肩に手を回そうとしているところだったが。ってか人ん家なのに随分和んでるなおい。まぁ今更遠慮されても困るが・・・。

玲菜は刹那が来たのに気がついて刹那のほうに振り向いた。・・・振り向いたと同時に見えた里奈の手をピシャリ、と叩き、里奈が「玲菜ちゃん、痛いよぉ・・・」と言っていた。


「あ、おかえり刹那。どうしたの? そんなに慌てて」


「っち・・・もうちょっとで玲菜ちゃんの肩を抱き寄せれるところだったのに」


「あんた自分本位すぎだよ!! って、これ朝も言ったような気がするよ!!」


「うっさい黙れ!」


「あんたそれ朝も言ったよね?! って漫才やってる場合じゃなかった。大変なんだ2人とも!!」


「だから、そんなに慌ててどうしたの?」


「きっと0点の答案が帰ってきたんだね。やれやれ、これだから頭のないヤツは・・・」


「お姉ちゃん!! 話が進まないでしょ!!」


「は〜い・・・」


ようやく里奈が黙り、刹那はやっと話し始めた。


「た、大変なんだ! 友達が家に来るんだ!!」


「? それがどうして大変なの?」


「あんたらがいるからだよ!!」


とにかく、刹那は話し始めた。玲菜と里奈は自分のいとこということになっていていること、みんながとても興味を持っているということ。とにかく、刹那は必死だった。


「・・・ってわけだから、ちゃんとそこのところ演技してくれ」


「まぁ、話はわかった。ちゃんと演技するから安心してね」


「それじゃ、あたしは玲菜ちゃんとの仲の良さを存分にアピールしちゃおっと」


「・・・いいですけど、ほどほどにお願いしますよ?」


「わかったわかった。・・・うふふふ・・・」


「ちょっとあんた!! 何ですかその微笑みは!!」


「べっつにぃ。うふふ・・・・」


・・・とってもとっても心配だった。本当に大丈夫なのだろうか? いや、だって一応殺し屋だし、ちゃんとするところはちゃんとしてると思うし・・・まぁ、大丈夫か。うん、大丈夫だ。

と、そんなことを考えていると、ピンポーン♪ とチャイムの音が聞こえてきた。・・・来た、来やがった、とうとう来てしまったか・・・。


「それじゃあ迎えに出るから、よろしく頼むからな」


そう言って居間をあとにし、玄関先に向かう。ドアを開けると・・・やっぱり3人がいた。


「おう、来たぜ。あぁ、玲菜ちゃんの家具も持ってきたから、とりあえず先に運んじまうから」


博人の後ろには、昨日玲菜が選んだ家具があった。小物入れはともかく、タンスは少し大きいので恵利と理恵に手伝ってもらったようだった。


「あぁ、わかった。手伝うよ。恵利と理恵さんは居間のほうに行ってて。そこに玲菜と里奈さんいるから」


「わかりました。行こ、お姉ちゃん」


「う、うん」


なぜか緊張している理恵さん。・・・何でだろうか? 理恵さんって、人見知りするほうだっけ? いや、だって俺と初対面でもここまで緊張してなかったし・・・。何でだろう・・・?

まぁ、とりあえずそんなことは置いておき、刹那と博人はタンスを2人で協力して持ち、廊下の奥のほうにある玲菜の部屋に運んだ。ドアが少し狭かったが、斜めにしたら簡単に入った。そのまま部屋の隅のほうに置き、作業は終了した。

手をパンパンと叩き、博人が言った。


「さて、俺たちも行くか。あぁ・・・里奈さんってどんな人だろうな・・・。メガネが似合うといいんだけど・・・」


「お前、実は変態だろ?」


はぁ、とため息をつき、刹那は居間へと向かった。その後を博人が付いてくる。

居間のドアを開けた瞬間、どっと笑い声が聞こえてきた。


「あっはっはっは!! もうやだぁ〜」


「ふふふ、次はどんな昔話がいい?」


「お、お姉ちゃん!! もう止めてよ!! 恥ずかしいよ!!」


「くすくすくす。玲菜さんと里奈さんって、本当に仲が良いんですね」


・・・仲良くなってますね、はい。ってか、こんな短時間でここまで仲良くなれるもんなのか?! 普通ありえないだろ!! ・・・いや、普通じゃないか。殺し屋だもんな、何でもこなせる殺し屋だもんな。


「おぉぉおおおおおお!!!! これまたメガネの似合いそうな女性!! 里奈さんですよね、刹那から話は聞いています。どうですか!! 是非メガネを!!」


「ふふ、ありがとう。でもね、あたし目はいいから大丈夫よ」


・・・うっわ〜、すんげぇ演技してる。3人のときは普通に喋ってるのに、何だこの変わり様は。案外見栄っ張りなのかもな、この人。


「ふふふ・・・・」


と、里奈が刹那のほうを向いて、にぃぃっこり、と笑った。その笑顔は・・・やっぱり怖かった。


「お、俺お茶でも淹れてくるよ」


里奈の笑顔に耐えられなくなったのか、刹那はキッチンに向かうのだった。

・・・ここって、俺の家だよなぁ・・・。何で俺がこんなことを・・・。そう思わずにはいられなかった。


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