プロローグ
「………………はっ?」
「な、なんだ!?」
「何これ!?」
三人で仲良く登校している最中、唐突に俺達は黒い影に飲み込まれかけていた。いや、影というのは妥当ではない。まるで全てを飲み込むような漆黒の黒。それに足が飲み込まれているのだ。
「ちょ、ちょっと、どんどん落ちていくよ!!」
「寧々!!恭一!!」
荒崎 寧々(アラサキ ネネ)が焦った様子で言い、神代 秀が寧々と俺の名前を叫んだ。俺の名前は戸波 恭一、俺達三人は幼馴染みだ。俺は少しこいつらから離れたかったんだがなぁ。ちなみに嫌いだからではない。
「まぁ、まぁ、落ち着け。秀に寧々」
「なんでそんなに落ち着いてるんだ!?」
「こ、こんなことあり得ないよ!」
俺の冷静な言葉にすかさずツッコミをいれる二人。
「そうか?俺はいつか、こうなると思ってたぞ」
「「え!?」」
俺の放った言葉に硬直する幼馴染み二人。
「ど、どういうことだ!?」
「これが何か知ってるの!?」
気がつかないか。
秀は爽やか系のイケメンで成績優秀、スポーツ万能の化け物。モテるが、彼女はまだいない。
寧々はバランスのとれた体型でふっくらとした唇、髪はさらさらしてショートカット、そして気の利く超絶美少女。秀のことが好き。
ここまで聞けば理解する人もいると思う。
完っ璧に勇者召喚じゃね!?
間違いなくそうだよ!俺はそれに巻き込まれた一般人だよ!最近ではその脇役みたいのが主人公って携帯小説であるけど、実際にそうなったら一般人の俺は生きていけるか!?無理だ!生きていける訳がない!一般人なめんな!
「小説とかである勇者召喚じゃね。きっと秀を主人公とした勇者伝説が始まるんだ!」
「そんなわけないだろ!」
「そうだよ!それは魔方陣があるはずだよ!」
「「ん?(え?)」」
なるほど!確かに影ではなく、魔方陣だな勇者召喚は!でも、よく知ってたな。それを女の子が、しかも寧々が知っているとは思わなかった。
寧々は自分が言ったことに気付き顔を赤らめて黙った。
それにしても意外だ。もう体の首あたりまで落ちてんのに周りは俺達に気づいてない。俺達が見えていないかのように通り過ぎる。
「なんで誰も気付かないんだ!」
「それはホラッ、お約束だろ」
「一体なんの!?」
勿論、異世界トリップの。そう言おうとしたが顔の半分くらいまで影に飲み込まれて言うことが出来なかった。
俺達は黒い影に完全に飲み込まれた。
「ここ何処だよ」
俺は黒い影に飲み込まれると、次に見たのが真っ白な空間だった。周りには誰もいない。俺を飲み込んだ影は空中で消えた。今は白い空間、真っ白な地面があるから空間かどうかは微妙だが。
「秀ーーーーっっっ!!寧々ーーーーっっっ!!」
とりあえず二人の名前を叫んでみる。姿が見えないだけって可能性もあるしな。
いないな。もしくは聞こえないだけか。どっちか分からん。それにしても、
「説明とかないのか?何をしたらいいのか分からんぞ」
テンプレなら自称神様が出てくるところだけど、何もない。
「…………まさか、俺はイレギュラーだったからここに来たとか!?」
それなら秀や寧々がいないことに納得できる!秀や寧々が呼ばれただけで俺は想定外なら一人なのも納得できる!
「俺、詰んでね!」
オイオイオイオイ!俺はここで死ぬまでいるのか?嫌すぎる!もう少しマシな死に方したい!水や食料も無く、餓死するのは嫌だ!かといって自殺はもっと嫌だ!
よし!なら方向性を変えよう!ここから出る方法を考えるか!
「ここがどれくらい広いのか確かめてみるか」
俺はそう言うと走り出した。地面があるから、もしかしたら壁もあるかもしれない。
「って、マジであったよ」
走ったらすぐにぶつかった、白い壁に。
調べてみたところ横、縦、10メートルくらいの正方形の形をした壁があった。
「………もしかして、もう異世界に来ていて世界を創造してください………とか?」
うん。自分で言っておいてなんだがあり得ないな。俺に世界を創造するような力なんてないし、仮にチートを貰っていたとしてもそんなにヤバイ能力を与える訳がない。とゆうかチートって貰えるのか?仮に貰えたとして、どうやって確認するんだ?ステータスとか、あ、る…………………………………………………………………………………………………………………………………………
ステータス
名前 (設定してください) 18歳
種族 人間(不老)
職業 ダンジョンマスター
状態 なし
レベル 1
HP 30/30
MP 20/20
STR 10
INT 14
VIT 9
MND 11
DEX 13
AGI 10
スキル 《ダンジョン》
《DPポイント二乗》
マジでステータスが出ちゃったよ。