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LIVING LEGEND  作者: 星月夜楓
最終章 生ける伝説
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第九話 全ての元凶

前回のあらすじ

リーファンとの戦いは終わった。どうやらリーファンは異空間に連れられて以来、一切自分の意思ではなかったみたいだった。操られる直前にいた異空間の場所を思い出し、俺に道を開いてくれた。本当の最後の戦いが、始まる。

「貴様が……今まで俺を、俺たちの一族を苦しめた張本人なのか⁈」

 戦闘に入る前に問い質すことが沢山あった。奴の返答は、俺の言語に合わせるようにした。

「如何にもその通り。神龍、帝国、三つの龍、魔界、お前の仲間、全て私の手駒だった」

「……!」

 思わず苦虫を噛み潰したような顔になる。こいつが本当に全ての元凶なのだと。

「お前の働きは実に滑稽であった。元はどれも害のない連中を、お前は尽く殺したのだからな」

「っ! 貴様ァ!」

「これは序でに教えてやろう。お前の呪いも私が掛けたのだと」

「呪い……俺の額にある呪い……貴様が……」

 だが、これはこいつを殺せば消えるはずだ。

 話は続いた。

「私は天地の勇者を忌み嫌った。同族の神をその身体に宿すことを、私は許すわけにはいかなかった。よって私は直接天地の勇者の血族を滅するため、刺客を送った、それが神龍だ。神龍を操り、零代目、初代を抹殺しようとしたが、神龍は最後まで抗い、二人を逃がした。私はその抗いのおかげで力を失い、今の時代まで潜めていたのだ。そして、この時代になり、最強の天地の勇者が現れたとすれば、私の脅威になると考え、お前が幼い内に殺してしまえばそれで済んだというものの、上手くいかなかった。魔王は神龍の命令に背き、親だけを殺した。そして代理の親をつけた。その代理はお前の別人格が殺したみたいではあるが。そしてお前は神龍が干渉できない聖都へと送られた。それからお前の人生はよく知っているだろう」

「……」

 色々話されたことによって、俺の頭は混乱しかけていた。俺の中にいる絶対神は同族? 神龍は零代目、初代と仲が良かった? もう、わけがわからなくなっていた。

「私はお前を最後に殺すと決め、まず兄妹を殺すことにした。兄には人間の刺客を、妹には滅街龍を。そしてお前を苦しめるために仲間を! 全てお前を孤独にするために! 呪いだってそうだ! お前に近づく人間を殺すために! だが、それはあっさりと破られてしまった。私の策を失敗にさせたのもやはり最強である故か⁉︎」

 段々奴の語気は強まっている。その中でこれだけははっきりと言えた。

「知らん。俺が歴代最強であることなど。俺はただひたすらに超えるべきものを超えてきただけだ」

「……。憎い、お前の存在が」

「リーファンのあの台詞はお前からのようだな。単純に俺の存在が憎いが故のあの言葉。よくわかったよ」

 奴はあくまで冷静だった。話を戻し、また話し出した。

「やがて時が経ち、こうして最後の戦となる。直接対決ならば、私が負けることなどない。今や私の力は元に戻った」

「ならば、もう戦うだけだ」

「無駄話は終わりだ。最期に絶望するがいい」

 当然、宝玉達が光りだし、奴に吸収されていった。

「な、何⁉︎」

「これらは元々私の力だ。邪神を生み出すのは人の嫉妬。邪神はその嫉妬を使い、人を操る。最も、私達肆大邪神は別で創られたものではあるが。……そして宝玉は、ある者が天地の勇者を認めた時だ。嫉妬からの昇華。その時に宝玉は生まれる。結局、宝玉は邪神のおかげでできるのだ。だから、私の物だ」

「横暴だな……」

「宝玉のないお前など、人間と変わらない」

「……」

 確かに、俺は今まで宝玉を使って窮地を切り抜いてきた。宝玉を失った今、力が半減されたと等しい。だが、俺は。

「たとえ宝玉がなくとも、俺は俺である限り何も変わらない! 宝玉がないなら、その状況を超えるだけだ!」

「不屈の闘志か……いいだろう、決着の時だ。剣を構えろ」

「言われずとも……!」

 天地の剣を左手に、邪神を倒す鍵となるエクスカリバーを右手に装備する。

「我らが肆大邪神の力を思い知るがいい。ただの邪神とは違う、その力を……!」

 宝玉のない今、魔術か近距離での攻撃しかできない。どうせ奴は魔術耐性があるのだろう。であるならば無理矢理でも突っ込むしかない。

 フレイムを発動しながら走り、当たった瞬間に斬った。

「な⁉︎」

 奴は結界を張っていた。フレイムは消され、俺の攻撃は弾かれる。その結界の強さは、今まで戦ってきた者達とは比べものにならないくらいだ。

「私に傷をつけることなど不可能」

 念力によって俺は吹き飛ばされる。

「ガハッ‼︎ くそ……!」

 すぐさま態勢を整え、今度は超神速で連撃を放つ。弾かれるのであれば、弾かれるのが終わるまでひたすら斬り続けるしかない。

 しかし、俺は体が止まった。

「何故……」

 時間停止能力? いや、俺もそれが使えるため無意味だ。ではこれは一体。

「一種の時間停止だ。ただし脳と五感は動く。体だけ時間を止めたのさ。どうだ、どんな気分だ? 思考しかできないその体は。呼吸できない気分は?」

 気持ち悪いに決まっているだろう。

「この力は普通の時空間術では解除できない。……神経は解放してやろう。痛みを感じろ。ただ時が止まり、そして始まる惨劇より更に痛みが走るぞ。五感による痛みも含まれているのだからな」

 周りに大量の槍が創られた。それは一気に俺の体に突き刺さる。

「解除だ」

「が、ガァァァアアアア‼︎‼︎‼︎」

 激しい痛み。核だけは狙われなかったが、それは奴があえて俺が苦しむのを楽しんでいるからに過ぎない。

「愉快だ……」

「だ、黙れ……」

 原子状態になり、再構成した。

「それで槍を落とし、回復、か。まさかその領域まで達しているとはな。中々楽しめそうだ」

「お前の楽しみに付き合っている暇などない!」

 同じ事をしてもまたあれをやられるだけだ。ならば。

「ラーニング!」

 さっき食らったそれを奴に与える!

「無駄だと言ったはずだ。解除方法を取得している私の前ではな。もう一度喰らえ」

「ラーニング!」

 俺はもう動かないことはなくなった。

「まさか……!」

「……悪いな、利用させてもらったぞ。始めから俺の狙いは解除のラーニングだ。これで、もうお前に縛られることはない!」

 鋭い一撃で結界を破壊しようとする。が、やはりうまく事は運んでくれないようだ。

「だったらそれがどうした! 絶対の結界を張っている限り、私は無敵だ! 死ね!」

 バキッ。その音を認識する時は時すでに遅かった。

「……!」

 核をやられた。くそ、ここまでなのか。誰もこの空間に入ることはできない。核の補充はままならない。俺は死ぬのか。

「全ての核を抹消する。それでお前は終わりだ」

 ゆっくりと、俺は意識が途絶えていく。諦めたくはないが、身体が動かないのだ。

肆大邪神という大層な名前ですが、神々の序列的には結構下に当たるので、小物な台詞が多いです。

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