第六話 絶対に連れて帰る
前回のあらすじ
リーファンとの死闘が始まった。始めから全開だった俺たち。戦いは第二幕へと進む。
鈍い音が鳴り響く。拳と拳の打ち合い。どちらかが倒れるまでひたすら殴り続ける。出血などお構いなしだ。双方回復を意識する暇などない。
意識が途切れそうだ。今の俺はロロと共にいる。痛みは分割される。とはいえ、それはリーファンだって同じ条件だ。
一度引き下がり、俺は光の玉を、あいつは闇の玉を放った。双方ぶつかり合い、爆発。岩盤が見えるほど、抉れた。
煙が消えると再び突撃し、俺の右腕と奴の左腕が衝突する。お互いの腕はその衝撃によって神経が壊れ、血管が破れ、最後には上腕が千切れた。回復はしない。できるはずもない。奴は止まらなかった。出血を利用して俺の顔に血をぶちまけてくる。眼をやられる。が、俺もまた同じことをしていた。
「がぁあああああ!!!」
眼が焼ける。こればかりは回復に専念しなければ。左目に意識を集中させ、即時回復を促した。
やがて視界が回復すると、リーファンは蹲っていた。
「リーファン、終わりだ……諦めろ……俺に勝てるわけがないだろう……」
「だ、ま、れ……」
「同じ条件下でこのザマだ、お前には回復能力がない」
言いながら俺は完全回復を終えた。
「黙れ、黙れぇえええ‼︎‼︎‼︎」
「っ!」
凄まじい気迫だった。奴もまた、回復をしていたのだ。いや、それだけではない。黒い大鎌を創り出し、翼を増やした。
「死ね!」
翼から大量の羽根を飛ばしてきた。一つ一つの強度は鉄並み。それが一つに重なりダイヤモンドの硬さとなっていた。
「ぐぁっ……」
不意打ちだった。腹を貫かれ、先端は地面に突き刺さり、その場から動くことができない。
「終われ! 終われ‼︎ オワレェェェエエエエ‼︎‼︎‼︎‼︎」
大鎌により首が刎ねられる。そして柄で核を破壊しようとしてきた。首を刎ねられることはもう何度も喰らった。体が動けない状況もだ。その対策くらいできている。全神経、全細胞個々に俺の意識はある!
核に柄が触れた瞬間、融合を解除、ロロを跳ね飛ばし、俺は自らを原子レベルにまで分解した。
「なっ⁉︎」
核はただ吹っ飛んだだけだった。即座に核に再結合し、再生をする。
「がはっ……」
正直なところ、無茶苦茶な判断だった。もし戻れなかったらどうする、戻れたとしても正常に再結合しなかったらどうする、などという不安があった。だが、何とかなった。
「リーファン! もう諦めろ!」
今だに俺は吹っ飛ばされてはいるが、それを利用して転移術を発動し、勢いをつけたまま奴に殴り付けた。
それにより強制的融合解除をさせることに成功した。再び融合される前にギギを擬龍化して頭を噛み砕き、爪で引き裂いた。
「……意地でもお前を連れて帰る」
ぐったりとしていたリーファンは、なお闘志を秘めていた。
「まだ終わっちゃいねえ」
ゆらりと立ち上がり、虚ろなその目はどこか昔の俺を思い出させた。
「これが……最終幕だ……レイン……今度、こそ……終わらせ、る……」
「はぁ……いいだろう。まるでお前は子どもだな。……だが、そんなことは知ったことではない! 例えお前がどれだけ俺を憎んでいたとしても、お前がどれだけ力をつけようとも、俺はお前を超え続けていくだけだ! そしてお前が本来いるべき世界に絶対に、絶対に連れて帰る‼︎」
それが俺の自己満足だとしても。




