表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
LIVING LEGEND  作者: 星月夜楓
最終章 生ける伝説
96/106

第五話 ギギ

前回のあらすじ

氷の化身を、牙城を抹消した俺は遂に彼の元へ。

 階段を降りると、刺激臭がした。どうやら何か実験をしていたみたいだな。何となくだが、俺と似たような、そんな感じ。

 さすがに地下室だ、上とは違ってかなり頑丈にできている。しかしここで戦うことになるのか。ヘタしたら二人とも生き埋めになりそうだな。

「来たか……まさか来れるとはな……」

 俺の気配に察したか、奥から声が聞こえてきた。いや、気配など出していない。何故わかった。音も立ててないというのに。

「何処にいる……」

「ここだ」

 不意に後ろから殴られる。

「っ……⁉︎」

 殴ったのは奴だった。

「お前……転移術が使えるのか……!」

 何故人間であるお前が、と言う前に、以前戦ったとき奴は闇魔術を使った。さっき話した時、俺はリーファンをリーファンでないということがわかった。まだ確証はないにしても。だが、これで確証を得ることができた。完全に別物だということを。

「当たり前だ……俺はお前より強いんだからなぁ。お前の術は全て使える。そしてそれ以上も!」

「くっ……」

 ならば更に俺はそれを超える、そう言おうと思った瞬間、先に奴はこう言った。

「だが、それを見せるにはここでは勿体無い……決戦の地に相応しい所に連れてってやるよ!」

 空間が歪み、別の場所に飛ばされた。

 飛ばされたのは樹海だった。視界は木々で鬱陶しい。豪雨で尚更だ。

「どうだ、気に入ったか?」

 そしてどこか見たことがある。

「お前……!」

 確かに、ここは決着をつけるに相応しいかもしれない。

「お前の、狩り損ねた場所だよぉ!」

 そこは、かつて友を失った樹海だった。

「この熱帯雨林の中で貴様を殺す」

「俺はお前を止める。そして救い出す!」

 最後の戦いへの覚悟はもう、とっくにできている!

「行くぞ!」

 天地の剣を抜き取り、面打ちをする。もちろん、決まることはないとわかっていて、だ。奴も剣を取り出した。俺の天地の剣と似たような刀身だった。すぐさま奴は防御してきた。そして俺を薙ぎ払ってきた。宙に浮いた俺を斬ろうとしてきたが、すかさず転移術で後ろに移動し回避する。

「厄介な武器だな……」

 やはり、ここは武器破壊だ。ひたすらに打ち込めば、いずれ壊れる。

 始めから剣狙いで左から右へと横払いをする。今度も奴は防御した。ここだ! ここで鍔迫り合いをして破壊する!

「残念だったな……」

「!」

 目の前にあったその巨大な剣は消えていた。奴自身も。どこに消えた。そう考える前に俺は後退り、マシーンブレイドを展開し四方八方からくる攻撃に備える。

 俺の読みは的中だった。正に四方八方から攻撃が来たのだった。

「マシーンブレイドと同じ展開剣だと……!」

 いや、それよりも数が多い。マシーンブレイドの結界から抜け出してきた剣が俺の核を狙う。それだけは避けなくては、と考えた瞬間、右手を核の前に置き、わざと刺した。だが、これによりマシーンブレイドは落ち、展開も終了する。と、同時に大量の剣が俺を刺しに来た。剣が手に刺さったままだったので痛みで集中できず、転移術が使えない。抜くよりも先にこちらへと到達するのが速い。ならば、全て受け切るだけだ。幸いにも核は背中には突き出ていない。受け切り、刺さったまま戦闘を続行すれば、奴の攻撃手段を激減させることができる。こんな咄嗟の無茶な判断、天地の勇者だからこそだろうな。

 ザクザクザクと全て刺さった。激しい痛みが伴うが、核さえ守ればそれでいい。

「俺を殺すのは不可能だ! 出てこいリーファン!」

「ちぃ! だが、剣がそれだけだと思うなよ!」

 気を抜いていた。これだけで終わるとは思っていなかったというのに。いつの間にか奴は俺の懐に入っていた。

「な!」

「死ね!」

 直接核に攻撃してきたが、体を仰け反らせギリギリ核より下の部分が刺される。

「ぐふ!」

 刃が下にあっても奴は無理やり上げていた。ミシリと核にヒビが入る。

「死ね! 死ね! 死ねぇぇええええ!!!」

「死ぬ、ものがぁぁぁあああ‼︎‼︎」

 北極の牙城でも行った最大限アルティメットを放つ。刺さっていた剣は溶け、これには思わずやつも退避する。木々が薙ぎ倒され、いや、その名の通り、木っ端微塵だ。木屑が辺りに舞う。雲が一部分吹き飛ばされ青空になっている。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」

 牙城の時よりも威力が高まっていた。しかし精神力が削れることはなかった。また俺は強くなったようだ。

「リーファン! 俺とお前はまるで空のような関係だ! たとえ今曇っていても、悲しみや怒り、憎しみで雨を降らしていたとしても、いつかそれは止むんだ! そして晴れ、元に戻る! だから俺たちは最後には晴れるんだ! いや、晴らす! 実際にこうやって俺は今、空をも掴んだ!」

「戯言などどうでもいい! 俺たちにあるのは死ぬか死なないか、そのどちらかだけだ!」

 もう、奴に言葉など聞こえない。

「見せてやる! 俺がずっと研究してきたものを! これがお前を超える力だ!」

 影から出てきた奴は、逆光を浴び、上手く見えることができなかった。やがて再び空が暗くなり見えてきた。見せられたというべきか。空から大きな龍が落ちてきたのだ。

「お前だけが錬金種を持っていると思うなよ!」

「……⁉︎」

「俺の本当の力を解放する! ギギ!」

 ギギと呼ばれた龍は、何と奴と合体した!

「合体だと……お前……もう人間を完全にやめてしまったというのか!」

「合体? 人間? 面白いこと言うな……これは錬金なんだよ! 俺もまた錬金種になったのさ!」

「やめろ……そんな姿、俺は見たくない!」

 龍と一体化したリーファン。体の形だけが人間で、それ以外はただの龍そのもの。俺はこんなリーファンなど見たくない。醜い姿は、俺一人で十分だ!

「……っ、ロロ、俺たちもやるぞ」

 ずっとフードに隠れていたロロを呼ぶ。

「ご主人……」

「悪いが、俺は全てを超えるのでな。あいつが錬金種になったのであれば、俺たちも同じ土俵に立ってやる。同じ力でねじ伏せられたらさすがのあいつも堪えるだろ」

 そう言ってロロに微笑んだ。ロロは必ず応えてくれる。

「そこまで言うならわかった。行こう、ご主人」

「独り言は終わったか?」

「ああ、終わった。これがお前を超える力だ! 俺の本当の力を解放する! ロロ!」

「な、俺の台詞を! はっ、まさか!」

「迂闊だったな。リーファン! 俺もまた、ロロと融合することができる! そうやって始めから設計しているからな!」

 ロロと一体化する直前に擬龍化する。体は人間だが、顔は龍。そして翼もいつもの天地の翼ではなく龍の翼。これにロロと融合。翼が増え、身体の強度は増す。

「ここからは肉弾戦だ……武器なんざ必要ねぇ、己の力だけでお前を殺す!」

「いいだろう、戦いの第二幕だ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ