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LIVING LEGEND  作者: 星月夜楓
第四章 邪神降臨
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第五話 最後の戦い、最後の物語

前回のあらすじ

大爆発

「ハァハァ……ック、ハァ……」

「上出来よ」

 いつの間にか光の国の宮殿内にいた。彼女が連れて来たのか。

「倒せたのか?」

「勿論。私が最後まで見届けたからね。さて、そろそろ戦闘状態の口調はやめようかしら」

 口調に違和感があると思っていたらそういうことだったのか。

「……ゴホン、お疲れ様でした。貴方のご活躍はたとえ世界に伝わらないとしても私にはしっかりと刻まれていますわ」

「そうかもな。で、皆は元に戻るのか?」

「きっと今頃元気に貴方を待っているでしょう。お行きなさい。貴方の国へ。待っている人がいますから」

「だが、その前に聞きたいことがある」

「何でしょうか」

 色々と疑問が多すぎる。

「何故、あんたはあの中で動けた。勇者でもないというのに。それと何故あんたはエクスカリバーを所持している」

「……」

 黙り込むつもりか。

「……いずれわかりますわ。貴方のその目に映り込むでしょう」

「どういうことだ!」

「過去を見ること、貴方には余裕でしょう?」

「時空間転移術で過去に行くつもりはない。過去を見て何をしろというのだ。俺は後ろを振り返るつもりなどない」

「そうですか。……それでもいずれ貴方の元にきっと」

「だといいな。まだ聞くことはある。あんたは俺にあんたの血が流れていると言った。それはどういう意味だ」

「私の子孫ということですわ」

 やはりそうか。俺はこいつの……。

「だからやたらと俺に絡んだというわけか」

「そうなります」

「はぁ……。もう何でもござれ、だな。聞きたいことは沢山有るがもう何もいらないと考えてしまった。俺は行くよ。帰る」

「ええ、またいつか会いましょう」

 転移術で国に帰った。


「戻った……ぞ?」

 ベッドに行ったが誰もいない。あいつは元気に待っていると言ったが、それはどういうことだ。地下の厨房を覗いてみるとクロスの後ろ姿が見える。ふむ、これは、つまりこうすればいいのか。

 丁度、ひと段落終わったようだったので、静かに後ろから抱きしめた。

「ヒャッ⁉︎ 誰⁉︎」

 バッと俺を振り払い、構える。

「って、なんだ、レインだったの。貴方ってそういうことしなさそうに見えるからビックリしちゃった」

 確かにこういうことはしたことないからな。

「冗談だ」

「性根の悪い冗談よ。……ふふっ。おかえり!」

「ああ、帰ってきた。レイドと魔王はどこだ」

「上のリビングにいるよ」

「見てくるよ」

 歩いての移動が面倒だったのでこれを術で転移する。


「うわ!」

 突然の俺の登場に座っていた魔王が転げる。

「だ、大丈夫?」

「問題ねぇ、問題、ねぇ。いてて。びくったわ。レインかぁ」

「悪かったな。で、二人は何しているんだ」

「しりとりです、今は僕の番なんですよ」

 しりとり、なるほど、それで語彙力を高めようというのだな。しかし既に大人を驚くほどの知能を持ったこの子がしりとりなどしたら負けなしではないだろうか。

「俺も混ぜてはくれないか?」

「いいですよ。では、『た』でしたので……」

 その後、俺は息子に、無様に負けた。


「くっくっ……レインもレイドには敵わんな」

「それでいいのかもしれない」

 俺が全てを超えるなら、この子には俺を超えてもらわないとな。

「僕はただお父様より環境が良かっただけですよ」

「謙虚なのは良い事だ。だが、時に謙虚すぎるのは相手に挑発させることになるから気をつけておくんだな」

「あっそうですね、わかりました」

「よし」

 子ども達の遊びを邪魔してしまった詫びにお菓子を持ってきた。

「ま、好きな時に食べるんだな。ただ寝転んで食うなよ」

 俺は案外親バカとかいうやつなのかもしれない。


 その夜。俺はベッドで一人考え事をしていた。

 戦いが終わり平穏な日々を迎えるというのであれば、俺のこの鬱蒼な髪を切り、明るく暮らしていきたいものだ。クロスとレイドと、魔王。それに皆全員で。そこにはリーファンもいなきゃいけない。決着、つけなければ。俺はもう迷わない。誰にも邪魔させない。必ずリーファンを連れて帰る。


 それが俺の最後の戦い。最後の物語。

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