第三話 ライト
前回のあらすじ
俺は囚われの身となった。力は吸収され、動くことができない。それでも、俺は諦めない。世界を終わらせるわけにはいかない。そんな中、ある一つの声が聞こえてくる。今度は誰だ。
眩い光から一つ何か見える。いや、光と一体化している。眩しくて見えない。光そのものか。それから声が聞こえてきた。
「誰だ」
「光よ。全てを照らす者」
この声、ライト? あの光の国の女王?
「まさか……」
「レイグラン、じっと見ていなさい。これが邪神との戦い方よ!」
声が聞こえた瞬間には既にそこに彼女はいなかった。
「がふっ!」
刹那にして邪神を切り崩している。
「一体どうやって」
俺が声を発すると次に輪っかが壊されていた。思わず倒れ込む。
「いい? よく見えた?」
「いや……まるでわからない」
「汝……何をした!」
「自分で見つけてみなさいな」
俺には理解できなかった。何故今光の女王がいる? 何故それはこの邪神を圧倒できる? 女王は俺より強い?
「良かろう。興じさせて……ガッ⁉︎」
喋る暇すら与えない。女王の姿を追うことが出来ない。
「随分と無駄口を叩く暇があるのね」
女王は喋っているが一方向からだけでなく様々な場所から聞こえてくる。
「汝、光の速さで動くか」
「そうよ! よく気付いたわね!」
ズガガガっと一気に邪神を貫いている。
「ぐぅぅぅううう……だが、正体が分かった以上もはや敵ではない」
一筋縄には行かない。そこはさすがは邪神といったところか。
「では、我はその先を行こう」
邪神も消える。俺だけが取り残されている。
「神速ってところかしら。……っ! だけど、いつ私が神速が出来ないっていったかしら!」
ほんのわずか一瞬、二人がぶつかり合ったのが見えた。
「何⁉︎」
「伊達に二百年は生きていないわ。神速の域には既に百年も前に到達しているの」
「ほぅ、ますます面白い、な!」
ガキン! っと鋭い金属音が鳴り響く。
「それにね、私は暗黒神と交わっているから尚更なのよ!」
暗黒神とは一体何のことだ。光が暗黒とは。
「暗黒神、だと?」
「ええ。そうよ!」
彼女の鋭い蹴り。いつの間にか俺は彼女らを目で追えていた。
「だけど、私に貴方を倒す力はない」
「む?」
どういうことだ。
「残念だけどね。倒すのはレイグランよ。レイグラン! こいつの倒し方はもうわかったでしょう? さあ、やりなさい。この剣を使って!」
彼女は俺に光っている剣を投げつけて来た。危ない、もう少しすれば突き刺さるところだった。何とか受け取り、構える。
「よくはわからないが、何とかやってみせるさ」
「汝、戦線離脱をするか」
「えぇ、彼に遊んでもらいなさい」
「遊ぶ……だと?」
「そうよ。彼からすれば貴方は赤子のようなもの」
「我の台詞を……!」
「似たもの同士よ。何故なら……そう、レイグラン! 貴方は私の血が流れているから! 倒せないことないわ! 私もかつて邪神と闘い勝った! 次は貴方の番よ!」
俺が彼女の血が流れている……? それはつまり、俺は彼女の子孫? いや、それは考えている場合ではない。まずは、俺がやるべきことはこいつを倒すことだ。
「……邪神とか言ったな。俺はお前のことを全くもって知らない。お前は強大かもしれない。だがな! 俺は、この貰った剣と天地の剣で、必ずお前を超えていく!」




