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LIVING LEGEND  作者: 星月夜楓
第一章 過去編
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第七説 力

前回のあらすじ

突然現れたかつての仲間、リーファン、絶、滅の三人。俺は目を疑った。彼らは生きていた。だが、俺を恨み、殺そうとしている。俺はどうすれば良い。……わかっている。俺と戦うのであれば、俺は戦うしかないのだ。

「ハァッ!」


 滅は渾身の力で大剣を振り下ろす。その衝撃は約半径一メートルの円を描き、地面を抉る。


「うへぇ⁉︎ とんでもねえ威力だぜ……あいつの間合いに入ったらまずいな」


 警戒しつつ、距離を取るが、隙がないため攻勢に回ることができない。一応ミレディアと戦える程度には強くなったリベルトであるが、滅はその上を余裕で行く。


「甘い」


 一瞬で間を詰められた。リベルトは斬られる覚悟をする。だが同時に斬られたくないという本能が、彼を動かした。素質というものなのだろう。


「どっちが甘いんだよ!」


 回避した直後、その捻った身体を利用して剣を浴びせる。峰打ちであるため、それほど傷を追わせることはできなかった。


「無意味」


 滅は打たれたところを力を込め、気合で治した。


「うは、なんだよそれ! それが鬼の力ってやつかよ⁉︎」


 ならば、一撃で仕留めるしかない。そう考えたリベルトは全身の力を右腕に蓄えた。


 これが失敗したら確実に死ぬだろう。


「俺はもう死の覚悟ができてる。滅とやらよぅ、次の一手が決着をつける時だぜ‼︎」


「同意」


「俺の全身全霊を受け止めやがれ!」


 あの衝撃を放った大剣の前では無力かもしれない。それでも、リベルトは己の力を信じた。


 お互いの剣が交わりあう。どちらも引かない。力は互角であった。


 まだ、油断はできない。リベルトは意識が飛びそうなのを我慢し、踏ん張る。


「ちくしょうがァァァァァ‼︎‼︎」


 掛け声をかけることで、限界を超えようとする。


 その後、彼らの剣は弾け飛んだ。


「相打ち……」


「ハァハァ……あれ、俺生きてる……」


「もうよい、滅。手加減していたみたいだが、獲物をなくしては意味がない。下がれ」


「ハッ……」


 リーファンの指示により、滅は撤退した。


「一応、退けたことはできたんだよな……? 手加減されてたのはムカつくけど」


 やったぜ、と女性二人にピースサインを送る。彼女らはほっとした顔をし、次にレインの方を見やる。レインと絶は硬直していた。どちらが先に隙を作るのか見計らっているのだ。




「……リベルト、よくやった」


「レインよぅ、お前の相手は俺だろ?」


「……そうだな」


 とりあえずリベルトは生き残った。これで俺の不安は減った。目の前の状況に集中しないと。


「良い加減隙作ってくんね? お前怖えんだよ」


 俺がずっと殺気を放って絶を威嚇していたのはやはりリベルトの戦いを見守るため。そして終わった今、俺はそれを解除した。


「……」


 そして絶が喋った瞬間、一気に飛び込み斬り掛かる。


「隙を作ったのは貴様だ」


「……それはこっちの台詞なんだぜ! わざわざ間合いに入ってきてくれてご苦労さん!」


「なに……!?」


 一方の鎌で俺の振りは防がれ、もう一方で攻撃してきた。


「っ……!」


 回避したが、いや、回避できていない。何故だ、何故俺の右腕が斬られている。斬り落とされてはいないものの、傷口からは血が溢れ出ている。


「はっ、忘れたか。レイン。俺の特技をよぉ」


 そうだ、絶の特技は鎌鼬。空気を裂いて攻撃する。迂闊だった。


「ネタばらししちまったからよぅ、ガンガン飛ばすぜ!」


 一旦、絶から離れるが、次々と襲いかかる鎌鼬には防ぎようがない。尽く俺の身体は切り刻まれていく。


「ざまあねえな!」


「耳障りだな……!」


 今、こちらが攻撃に転じることはほぼ不可能だろう。このまま喰らい続ければ、出血多量で気絶、または最悪の場合死ぬ。


「ひゃぁぁああああ!! たのしぃぃいいいい!! 人を斬る快感! たまったもんじゃねえな!」


「あいつ、狂ってやがるぜ……」


 痛みを堪え、進むしかない。一歩一歩確実に前に進み、絶の斬る動作が止まった瞬間、その僅かな隙を突いた。


「あ、あれ?」


 渾身の左ストレートが絶の胸に当たる。


「ぐぼあっ!?」


「調子に乗りすぎだ……」


「て、てめぇぇぇ!」


 立ち上がった絶がもう一度鎌鼬をしようとしてきたが。


「絶、下がれ。お前では無理だ」


「リーファン様、何故です!」


「下がれ」


 その威圧は、絶を凍らせた。有無を言わせないほどの力をもったのか、リーファン。そして俺の一撃を見極める程までに……。


「さあ、次は俺だ。簡単に死ぬなよ?」


 まずい、血が出過ぎている。このままでは死ぬ。


 意識が遠ざかっていく中、俺はひたすらリーファンの元へ走り続けた。朝日が昇ってくるのが見えた。その後、どうなったかは、覚えていない。俺は気を失った。


 翌日、決闘場の見回りがやってきて、龍が死んでいるのを確認し、街に告げる。その日街は歓喜に浸り、宴をしたそうだ。それを、俺たちが知る由はない。

次回予告


一つ目の物語は終わった。次に彼が目を覚ますのは未来。彼は死んでなどいない。死ぬことは許されない。その使命を果たすまで。


次回、LIVING LEGEND 第二章 未来編 第一説 弟子


未来の彼は何者だ。

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