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LIVING LEGEND  作者: 星月夜楓
第一章 戦う理由
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第四話 誰も救えやしないのだから

前回のあらすじ

絶と滅を……俺の仲間だと思っていた二人を、この手で殺してしまった。

 二人を救えず、かつ殺してしまった。その現実を受け止めてもなお、俺は苛まれる。また償いする数を増やした。

 何とかデグラストルに帰ったが、意識はあっても何もすることができなかった。

「何かあったの?」

 彼女が問いかけてくる。だが、それに俺は答えなかった。

「悩みがあるなら言ってね」

 それだけ彼女は言って、去って行った。

「父上、おかえりなさ……」

「……どうやら廃人化してしまったようだな」

 レイドと魔王が来た。失望しただろうか。そして、俺の顔色はそこまで悪いのか。

「魔王……行こう」

「あ、あぁ、そうだな。レイン、俺はまだまだ幼いからよくわからんけどさ、そういう時は何かきっかけで治るもんだ。今はそうしてな」

 二人とも外へ出て行った。

「俺は……」

 俺は今までに誰かを守るために戦ったことはあるのか。いいや、ない。全て己の保守のために戦った。それが償いのための戦いだと言えるのか。ランタを守るために戦ったわけじゃない。デグラストルを守るために帝国と戦ったわけじゃない。全て自らの強さを確かめるための、自分本位で戦っていただけにすぎなかったのだ。そうやって償いだの何だの言っておいて、結局言い訳にしかならない。戦いをおいて意味を見出す必要なんて、本当はないのではないのか。ただ戦えばいい。勝って相手を殺す。それだけでいいじゃないか。

「この力を行使しても……」

 この力は俺だけのためにしかない。

「誰も救えやしないのだから……」

 俺はまた、ただの戦闘狂に戻ってしまうのか。

「貴方が誰も救えなくても、私は貴方を救える。ううん、もうとっくに、貴方は私を救ってくれたよ」

 声の方向を見る。そこにはさっき出ていったクロスがいた。

「なんで……さっき出ていったんじゃ……」

「ずっと見ていたよ」

 彼女は笑顔だった。

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