第三部 プロローグ
これまでのあらすじ
第一部
狩人だったレインは、過去に飛ばされ、三人に出会う。そして仲間だと思っていた者は敵となり、戦う。次に未来、古代、神話と様々な時代を巡り、彼の能力を引き出して行った。その中で絶対神という、彼に眠る何かが目覚めたのであった。
第二部
天地の勇者であること、デグラストルの国王であることが判明した彼はその剣を取り、クロスを娶り、デグラストルへと帰還する。復讐なる相手を諸々倒し、本来の自分となり、世界は確実に平和へと近付いた。
だが、絶対神は顕れなかった。いくどもの危機を乗り越えた彼は絶対神がその要因ではないのか? そう疑問に感じ、同時に悔しがった。決して自分は強くはないのだと。
最後の謎、消えない呪い。それを紐解くのは、彼自身だ。
終焉に向かう物語、今始まる。
世界の辺境にある、寂れた研究所。そこにあの三人がいた。リーファンは熱心にある研究に取り組み、絶は起きたり寝たりとだらけ、滅はいつも三人の剣を磨いていた。
「リーファン様はいつも何やってんだぁ?」
痺れを切らした絶は滅に聞く。
「さぁ……」
「何だよお前も知らねえのか」
素っ気ない滅の言葉に彼はため息をついた。以前は明るい性格だったはずなのに。
「姉にその態度」
「悪かったよ。にしてももう二年以上が経った。いい加減俺たちもなんか動きたいもんだぜぇ。つまらん!」
「リーファン様、何か考え」
だが、そろそろ動き出す頃だとは何故か絶は理解していた。
何やら奇妙な物体を作っているリーファン。目の色は相変わらず反転し、紋章がついている。
「待っていろ、レイン……必ず殺してやる……」
「にしてもさぁ、あいつ王様だったなんてさ」
ようやくひと段落を終えたリーファンと話をする。本当に久しぶりだ。
「外に疎い俺たちはあいつが何しているかは知らない。あいつがどうであろうと俺たちはあいつを殺す。俺たちのあいつへの憎しみは、決して消えやしない。あの時、あいつが仕留め損なった時から、ずっと……」
「我、許さず」
「まぁなぁ、あいつが王様なんだか勇者様なんだか知らんが俺たちの目的は変わんねえってこったな」
「そういうことだ。さて、この果たし状を送るとしよう」
「いよいよだなぁ」
「必滅」
「……出発だ」
あいつが仕留め損なったところで、あいつを仕留め損なったと違うのではないか?という疑問に思った方もいるかもしれません。結論を言うと誤植ではないです。




