第六話 一族の因縁の終わり
前回のあらすじ
皇帝を殺した俺は、残党狩りへと切り替えた。
「う、うわぁあああ!」
囲まれていた自軍の兵士のところに舞い降り、周りを一掃した。
「あ、ありがとうございます!」
「いいから早く脱出しろ。皇帝は討ち取った。撤退だ」
「りょ、了解であります」
「リベラル! いるか!」
大声で叫び、彼を呼んだ。
「いるぞ!」
少し遠いところから声が聞こえてきた。
「全軍、俺たちの国へ撤収だ! 戦争は俺たちの勝ちだ!」
「わかっている! お前がこの場にいると言うことなのだからな!」
「俺は残って後始末をする! 指揮は任せた!」
レンが駆け寄ってきた。
「師匠、いいんですか? ここで皆殺しにしたら、また俺のような奴が出てくるかもしれない」
「復讐の連鎖か」
「……」
当にわかっていたさ。
「向こうには向こうの事情があるかもしれない。だがなレン。俺たちにも、俺たちの事情がある。ここで終わらせなければそれこそ第二、第三の俺やお前のような奴が出てくるんだ。そして根絶やしにしなければ次の皇帝が反逆する可能性だってある。……俺はそのためになら非情になる。いくらでも汚名を背負ってやる。だから、止めるな」
グラヴィティを発動し、特定の金属、つまり兵士が持っている剣、兜を反応させ引き寄せた。兵士たちは青ざめていた。
「命乞いをしろとは言わない。ここの兵士であったことを悔やめ」
イクスプロージョンを発動し、爆殺した。
「師匠、やっぱりこんなの惨いよ……」
「もう今更な話だ。俺は殺人鬼。お前も巨人を殺した。これが、戦争なんだ。お前の復讐の覚悟はそんな程度だったか。……デグラストルに帰って休んでいろ」
「……ああ、わかりましたよ……」
その後、帝国軍は壊滅、俺一人で皆殺しをした。そして無関係の市民、奴隷を解放し、新たな権力者を立て、帝国を作り変えようとしたのであった。誰も俺を襲おうとするものはいなかった。怖いからではなく、むしろ皇帝の呪縛から解き放たれたことに感謝されるくらいだった。それに関しては誤算だったが、結果的に一族の因縁の終わりと平和へと確実に前進したのであろう。




