第四話 不可能
前回のあらすじ
直接玉座に向かった俺とレンは、道中の敵をなぎ払い皇帝バイス・ユディナの元へ辿り着く。
「行くぞ! レン!」
「はい師匠!」
「俺は左から攻める! お前は右だ!」
その大きな左腕を目掛けて走り出した。レンは囮だ。奴は右手に大剣を持っている。大振りをかましたところでガラ空きになった左腕を斬る!
「避けろ!」
狙い通り奴はレンを俺より弱いと判断し、真っ先に彼を狙いを定め、剣を振った。
レンはレーヴァテインを杖に変え、盾呪文を唱え、衝撃を抑える。だが強すぎるため吹き飛ばされていた。だがこれでいい。
「その左腕は貰った!」
一瞬で奴の左肩に迫り、根元から切り取った。
「やった!」
壁に埋まっているレンは回復呪文を唱えていたため怪我はそれほどなく、喜びの声をあげる。が。
「⁉︎」
馬鹿な、斬ったはずの左腕が。
「生えている……!」
俺と同じ即時回復持ちだというのか。
「残念だったな……」
空中に浮いて隙だらけになっていた俺にむけて手が迫り来る。
「がっ!!!」
判断が鈍り、そのまま掴まれる。
「師匠‼︎」
「終わりだ」
そのまま俺は握り潰され、肉塊と血液が飛び散った。
「そんな……師匠が……こんなにも……呆気なく……!」
「所詮、人間だろうが天地人だろうが我らには程遠いということだ。そして死というものはそんな劇的に終えることなど不可能」
「うぐっ……おぇっ……」
「何を思ってそんな戯言をほざいている」
「なっ……!」
「俺は死なない。この前の神龍との闘いでわかったからな。いくらでも無茶できるんだよ!」
細胞の再結合をした俺は奴の顔面に剣を振り落とす。しかし既に奴の剣があり、弾かれる。
急いで扉まで転移術を使い、レンも術で引き寄せる。
「一度体制を立て直すぞ」
「師匠……良かった……」
物凄い泣き顔を見せる彼。
「はぁ……戦場に、感情を出すなよ」
俺が言えることではないがな。
「っ! 精進します!」
「いいか、俺があの剣をぶっ潰す。お前は足を斬れ」
「了解!」
「おい、無駄話は終わったか? わざわざ待っていてやっているんだ」
「……ふん、皇帝の余裕とやらか」
外で大砲の音が鳴っている。兵士たちも戦闘を始めたか。
「騒がしくなってきたな……さあ、第二幕だ」
マシーンブレイドに武器を切り替え、右手にはレイガリングを装備。剣分裂をし、磁力をバイスに向ける。
「猫騙しのつもりか?」
「……さぁな。どういう結果になるか、楽しみにしていろ!」
持っているブレイドを手放し、皇帝真後ろに飛んでいった剣の破片まで術で飛び、それを掴み、斬る。
「っ⁉︎」
隙ができたことで、レンはレーヴァテインを最大火力、最大限の長さまで伸ばす。刃渡りには炎を宿し、そのまま振り切った。
「喰らいやがれ!」
両足の切断に成功する。
「がぁあああ‼︎」
炎に弱いのか知らないが、再生することはなかった。
「所詮、巨人族だろうがなんだろうが俺らには程遠いということだ!」
「なぁっ⁉︎ 貴様ァ!」
俺が死んでいたはずの時に言った奴の台詞に似たような事を言う。
「お前の死は劇的にしてやるよ」
レイガリングで剣を差し込み、天地刀に滅の宝玉を嵌め、カキン! という金属音を立て、奴の剣は崩壊した。
「我が剣が!」
再び元の位置に戻り、俺はいつもの決め台詞を言う。
「お前がどれだけ大きいかなんてどうでもいい。お前が皇帝だろうがなんだろうが知ったことではない。俺に言わせてみれば! ただ俺はお前を超えていくだけだ!」
始めるぞ、最終幕を。




