第五話 レーヴァテイン
前回のあらすじ
レン、その祖母、クロス、そしてレンの家をデグラストルに時空間転移術を使い、飛ばした。
「……無茶苦茶だぜ」
「確かに。前にも見たことあるけどやっぱり慣れないものだね。ま、慣れるものでもないね」
「まさか、家ごと運ぶとはな……」
デグラストルに着くと、しっかりレンの家が空き地に置いてあって安心した。失敗したらどうなるかと思った。
「……帰ったぞ」
「はい、おかえり。また無茶を……」
苦笑いしながらクロスは聞いてきた。
「別に構わんだろう?」
「はあ、さよですか、って場合じゃない、この家ここにおいていいの?」
宮殿のかなり近くに家を置いたのだ。
「いいだろ、別に。レンも楽になるだろう」
「やれやれね。レインの性格がぶれている気がするよ」
「……そうか?」
俺なりの素直さというやつを出してみたのだが。
「……さて、そろそろお前の訓練のための場所を教えてやる」
俺とレンは特殊部隊のみが使うことができる訓練所に来た。
「いっぱい器具があるな」
「ああ、ここは一般兵には使えないところだ。……ここでお前を短期間で強くさせる」
「そりゃありがたいぜ!」
「リベラル、こいつだ」
特殊部隊隊長、リベラル・バッチェロ。この者は農民上がりだが、知識に富んでおり、様々な戦略をたててくれる。戦略担当は彼に一任している。
「これが噂の」
ちなみにリベラルは兵の中で唯一俺に対して敬語を使わない。同等の関係であり、俺も気兼ねなく兵に関する相談ができる。
「レイバテイン・ユグドラシルです。よろしくお願いします!」
「元気がある。とてもレインとは似つかわしくないな」
「それは俺を貶しているのか?」
「まさか」
お互いにフッ、と笑う。
「……レン、リベラルの訓練は俺がやったものよりずっと辛い。お前は耐える自信があるか」
「……」
彼は少し後悔したかもしれない。俯き、考え込んでいる。そのうち顔を上げ、答えた。
「あります!」
「そうか、よし、リベラル、後は頼んだぞ」
「任せておきな。ユグドラシル、ついて来い!」
「はっ! ……必ずレーヴァテインを扱えられるようになるんだ……!」
これからが楽しみになってきたな。一週間後にはかなり出来上がっているはずだ。




