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LIVING LEGEND  作者: 星月夜楓
第七章 新たな目覚め
58/106

第一話 変化

前回のあらすじ

まだ目覚めの時ではない。

「……」

 俺は死んだのか?

「……ン」

 生きて帰ると言ったはずなのに。これでは彼女らにどう説明すればいいのだ。いや、死んだからにはどうしようもないか。

「……レイン?」

「……?」

 黒く何も見えなかったが、段々と光が差し込み目の前に彼女がいた。

「よかった、意識戻ったんだね。ずっと目、見開いてて数ヶ月過ごしていたんだよ。本当に死んでしまったのかと思ってしまった。だけど脈はあるし別に瞳孔は開いてなかったから……」

「すまない」

 俺はずっと寝ていたというのか。

「何で謝るのかなぁ? 私も大概だよ、ここに数ヶ月ずーっといたし。まあ、お腹の具合とかもあったけどね」

 そういえば子どもが。数ヶ月過ぎたのならもうそろそろなのか?

「ま、お察しの通りそろそろだよ。というか今にも……うぐっ」

「おい……大丈夫なのか?」

 直後、彼女は倒れこんだ。

「誰か、医師を呼んできてくれ!」

 なんていうタイミングだ。それとも彼女はずっと耐えていたのか?


 数時間後、無事に子どもが生まれたそうだ。ようやくこの時が来たのだな。体が動けるようになった俺は二人がいる部屋に入ることにした。

「うまくいったようだな」

「レイン……。はぁ、なんだか疲れちゃったよ」

 無理もないことだ。生涯で一番痛いものじゃないのか? 俺にはわからないが。

「お疲れ様、だな。子どもの名前は決めたのか?」

「レインがそんなこと言うなんてなんか変わったね。名前……デグラストルの掟に則らないといけないよね。……そうね、じゃあレイドで」

「レイグランドか。いいんじゃないか? そういや、俺とお前の子どもだから……種族は一体何になるんだ? 人間? 天地人?」

「あー……うん、私、人間じゃなくて堕天人なの」

 堕天人? とは、一体何なのか。

「細かい説明は後でするにして、レイドの種族はそうね、地底人じゃないかしら。私は天空人の出来損ない、貴方は天地人。つまり天地から天を引いて地底人」

「なんだその超理論は」

「だって仕方ないじゃない、わからないもん。大きくなったらきっとわかるって!」

「まあ、それもそうだな」

 ここに来て安堵の溜息が出る。

「溜息は」

「幸せが逃げると? ただ安心しただけだ。気にするな」

「なんか調子狂うなぁ。それにしても可愛いなあ赤ちゃん」

「それは俺たちの子どもなのだからな。自分の子どもは可愛い、可愛い、そういうものだ」

「客観的に捉えないでよ、全く。レイドもきっと強くなるんだろうね」

「それはわからない。ただ鍛えるつもりはある」

「だろうと思った」

 彼女の横に座ると扉が大きな音を立てて開けられた。

「おい、レイドが寝ているんだぞ」

「それどころではありません!」

 外交官になった元代理王は、俺の子どもよりも優先すべき事があると考えているのか?

「レイン様を語る何者かが光の国にて暴れまわっているようです!」

「それは聞き捨てならんな」

 確かに一刻も早く抑えなければ。デグラストルの風評が悪くなってしまう。

「クロス、悪いが俺は、俺の名を勝手に使う野郎を懲らしめてくる」

「私も行くよ」

「だがまだ休む必要が」

「大丈夫、何かあったらレインが守るでしょ」

「それもそうだが……。……心配なんだ」

「ふーん、心配、してくれるんだ」

 彼女はニヤつきながら顔を近づけてきた。

「何なんだよ……」

「もちろん、レイドも連れて行くから。しっかり守ってね」

「はぁ、自分勝手だな」

「お互い様でしょ」

 それを言われると何も返せない。

「それじゃ、行くぞ。外交官、また留守の間この国を頼むぞ」

「はっ! お任せあれ」

 必ず仕留めてやる。

「クロス、辛くなったらすぐに言えよ」

 俺の怨念はどこかに消え去り、心境の変化が訪れていた。周りが見えてきた、というわけなのだろうか。

「……了解!」

 笑いながら言葉を返してきた。

今話は導入編です。元々三部を予定していた話を持ち込んできました。こっちのが話の展開が良いと考えた結果です。

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