第五話 光と闇
前回のあらすじ
魔王との戦闘。
実戦で初めてこの二つの武器、レイガリングとマシーンブレイドを使う。魔王相手に試し斬り、どうやら俺は余裕綽々だな。
まずはレイガリングの強さを確かめさせてもらおう。
魔王もまた、自身の魔剣を抜き出した。俺は擬龍態になる。
「この剣の打ち合いが鍵となる、か……」
「行くぞ、二十八代目!」
お互い、一気に間合いをつめ、剣を振るう。弾き合い、中々競り合わない。鍔迫り合った時が勝負だ。
「ふん!」
魔剣を振り下ろしてきた。
「……今だ!」
レイガリングを振り上げる。ギシリという重い音が鳴り響く。
「はぁあああ‼︎」
そのまま押し上げ、奴の魔剣を破壊する。流石初代の愛剣だ。他の剣とは段違いのレベルの強さを持っている。
「何ッ⁉︎」
魔王は一度後退した。再び魔剣を取り出す。次は二本だ。
数勝負ならば、こちらはマシーンブレイドを使う。スイッチを押し、剣を展開する。
「ほう……面白い武器だな、何をするつもりだ」
「さあな……」
時空間転移術を駆使し、魔王を翻弄する。
「どこから来る……」
「ここだ!」
魔王の右横から斬りつけた。
「っ……! グルァァアアア!」
魔王もまた、斬りつけてくるが、既に俺は消えている。
「ちょこまかと……だが、これで近付けまい!」
奴が暴れ始めたため、近付けそうにない。元の位置を戻り、もう一度スイッチを押し、剣を回収する。
奴が暴れている内に、天地の剣を取り、穴の空いた部分に宝玉を込める。究、極、光、闇の宝玉を。
「オルレイン、ヘルレイン、これで決めるぞ」
『ああ』
『いくぜェ‼︎』
二つの魂は、天地の剣に込められる。剣は光と闇を纏う。
治まった魔王はこちらに目をやる。
究極魔術は詠唱を伴わないが、この力を出すには必要なようだ。頭の中に浮かんだ言葉を綴る。
「光と闇交じり合いし時、真なる力が現れる。全てを宿りしその力、今ここに開放せん! 究極光闇・天地開放!」
究極光闇・天地開放、それがこの技か。
頭に浮かぶイメージ通りの動きをする。剣を引き、力を込める。そして、それを解き放った。光と闇が交じり合い、一つの火の玉となる。
「なっ……」
魔王に直撃する。
「グオァァアアア!!!」
焼かれた魔王は辛うじて踏ん張る。だが、まだ俺の攻撃は終わったわけではない。
「まだだ!」
そのまま、斬りつける。斬り刻む。髪は乱れ、無我夢中で斬った。グシャ、グシャ、と鈍い音を立てながら。そして、一度冷静になり、息も絶え絶えの魔王に話しかけた。
「……言い残すことはないか」
俺の最後の良心が、奴に問う。
「……。この、奥に、真実がある……」
「……」
グサリ、という音が鳴る。剣が魔王の首を突き刺さった音だ。俺の目は今まで以上に冷めていた。復讐は、終わった。復讐を終える時ほど、虚しいものはないのかもしれない。故に今まで以上に冷静であった。だが、これで親の仇は取れたのだ。
宝玉を外し、納刀する。
『魔王の最後の言葉が気になるな』
『この奥は書庫のようだなぁ、行くぜぇ、ククク』
行くべきなのか。俺は、迷っていた。いや、行かなければならない。何か情報が有る限り、俺は突き進む。
これで対魔王は終わりです。




