第六話 迷いの砂漠
前回のあらすじ
特に苦労なく地の宝玉を入手することができた。だが天の宝玉を得ることは難しそうだ。
朝起きると、シーツがかかっていた。クロスがかけてくれたのか。彼女もまた、隣で寝ていた。
「……すまないな」
机の上に飲み物があったので、それを飲む。
『理想的だ』
彼女を選んで正解だったのかもしれない。語弊はあるが。
「……やはり天の宝玉の在処は皆目検討もつかない」
『ふむ、となると』
迷いの砂漠にあるというのか。彼女を連れて行くわけにはいかないな。
『天地の勇者である君なら行ける』
そう信じたいものだ。
「……ドラゴンを使うのも手の内の一つか」
迷いの砂漠に入れば、時空間転移術が使えないだろう。座標があやふやになるはずだ。砂嵐によって空を飛ぶこともできないかもしれない。ならば、速度のあるバイクを使えば。いや、砂の上をこいつが走れるというのか。
『それなら、君が寝ている間に少し改良しておいた』
ということは、ドラゴンを有効活用するチャンスであるのかもしれない。
「……行くぞ」
ドラゴンに跨り、出発した。
砂漠の目の前。
「……もしもの場合もあるかもしれない。……覚悟を決めろ」
俺は自分自身に言い聞かせた。
『私に言っているのか?』
「……違う」
砂漠に入り、後ろを見ると後ろもまた砂漠になっていた。
「これは、想像以上のようだな」
ドラゴンは全速力で真っ直ぐ走る。本当に真っ直ぐ走っているのか。
『宝玉の臭いがする』
どのような臭いだ。
「……どこにある」
『特定できない。だが、闇雲に走るのは危険』
下から骨が出てきた。かつて遭難した人たちか。出ては消え、出ては消え、の繰り返し。何とも不気味である。
『砂の移動……』
「どういうことだ」
『さっきの骨を見ただろう。あの骨の動きを見ると、どうやらこの砂漠は動いているようだ』
「幻覚じゃないのか?」
『私に幻覚は通用しない。信じろ」
「……」
砂漠が動いている、か。
「空を飛ぶとどうなる」
『残念ながら砂嵐がもうそこまできている』
「なんだと」
これでは飛べそうにないな。
『ドラゴンを使え。ドラゴンは浮遊も使える』
「それで砂漠の移動を無効化するわけか」
『そうだ。……宝玉の在処がわかった。今は、この砂漠を抜けろ』
「……わかった」
ドラゴンを浮かせ、最大速力で駆け抜けた。
途中、砂嵐に巻き込まれ、ドラゴンの故障をしないか気になったが、何とか砂漠を抜けることができたようだ。
「なるほどな。……ドラゴンはこの時代の技術ではない。ただの人間では砂漠から抜けれないのもわかる」
『しかし、試練がこれほどきついものとは。先人達はどのように取ってきたのだろうか。……さあ、君よ、ここが宝玉の在処だ』
目の前にあったのは所謂オアシスというものだ。その水の中に宝玉があるみたいだな。
「……''天''の宝玉」
空を見ると、天空の龍が住まう天空城が見えた。
「……」
『……。君よ、帰ったら一度宝玉の祠に行ってみよう』
「なんのことだ」
『知らないのか? その祠は、宝玉を嵌めるところがある。今まで集めた宝玉を一度嵌めてみるんだ』
「よくわからないが、行ってみよう」
時空間転移術が使えるようになっていたため、使ってデグラストルに帰った。
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