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LIVING LEGEND  作者: 星月夜楓
第三章 宝玉探しの旅
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第五話 天地

前回のあらすじ

謎の声の正体は俺のもう一つの人格だった。今まで理解できなかった感情がようやくわかった気がする。だが取り憑いたそいつは少々厄介な奴だ。俺は今後こいつとうまくやっていけるのか?段々と不安となるが考えても無駄であろう。

「……帰ったぞ」

「おかえりなさい」

 国に帰った俺はクロスに迎えられた。いつもより違和感を感じる。

『早速だな。君は他人の感情を少し理解できるようになっている。ちなみに私の力を使えば、他人の感情が少しだけなら読めるぞ』

 それはありがたいが、勝手に人の心を見るのもどうかと思うぞ。

「なんだったの?」

「……そうだな」

 昨日のことを全て説明した。

「つまり、今あなたは二つの人格を持っていると言っていいのかな」

「まあ、……そういうことだ」

『なんなら証明してやろう』

 何をするつもりだ。

 突然俺の体が女の体になった。昨日のオルレインの姿だ。

『おい……何をした』

「入れ替わってみた。クロスというもの、私の名はオルレイン。どうぞよろしく」

『笑うな、こんなの俺じゃない……!』

 にこりと笑い出したもう一つの俺に嫌気が差す。

「え、ええ……よろしく。レインが女になっちゃった」

 さすがの彼女も顔を引きつっていた。当たり前だ。

「そこは気にするな」

 いや、気にするところなのだがな。

「まあ、今日はこの辺でやめておく」

 俺の体が元に戻った。

「必要のないところで変わるな……」

『ふむ、それは悪かった』

 本当に調子が狂うやつだ。

「コロコロ変わってレインも大変だねえ。……もう、大丈夫なの?」

 クロスはどうやら両親の死体を見た俺を気遣ってくれているようだ。前までの俺なら多分何のことだかわからなかっただろう。

「問題ない。心配してくれてすまないな」

「うん! 次の宝玉はどこなのかな」

「このデグラストルだ」

「……もしかして、デグラストル全領土のどこかにあるってこと?」

 デグラストルは大陸の大きさとほぼ同じだ、その中で宝玉を見つけるというのは、砂漠で小さなアクセサリーを見つけるのに等しいのである。

「……とはいっても、検討はついている」

 宮殿の地下深くにある、小さな部屋。そこにはかつて使われていた硬貨類が収めてある。今のデグラストルは、自給自足で足りないものは物々交換ということになっている。原始的だが、二十八代続くデグラストルは未だに平和である。

「さて、この箱の中にあるはすだ」

 箱を開けると、大量の硬貨が入っていた。

「すごい……」

「探るには、骨が折れそうだな……」

 ウィンドを発動し、硬貨を浮かせた。その中に確かに宝玉があった。そしてそれを掴み、ウィンドを解いた。ジャラジャラとうるさい音を立て硬貨は散らばった。

「全然骨が折れる作業じゃなかったね。レインだからだろうけど」

 ただ、この程度で魔術を使うのはどうかと考えたのである。

「さて、これは''地''の宝玉だ」

『デグラストルにはもう一つ宝玉がある』

 知っているさ。ただ、そちらの方は検討がつかないのだ。

『教えてやろうか』

「是非とも」

「え?」

「すまない、オルレインと話していた」

「これからの独り言は、オルレインと話しているということにしておくわ」

 何とも理解力のある妻だ。

「すまない」

『では、話そう。地の宝玉と対をなす宝玉、つまり''空''の宝玉だが、地上にある。ただ、地上とはいえど、地上の宮殿にはない。……私が知る限りではそれくらいだ」

 地下でずっと探すよりはましな情報だ。

「ふむ……。クロス、次は地上にあるそうだ。デグラストルの領地内のな」

「デグラストル領域の地上って宮殿とあの露天商がいた道くらいしか見たことないね。まだまだ探せそう」

「そうだな、だが、例によってあの砂漠はだめだぞ」

 あの砂漠、というのは迷いの砂漠である。その砂漠に入ると、一瞬で入口が消え、幻影が見え、一生帰れなくなるらしい。確かに帰ってこない現象はあり得るかもしれんが、幻影等はあくまで噂なのだろう。生きて帰ってきた前例はないのだから。

「ええ、わかっているわ」

 ただ、砂漠に宝玉があるのであれば、行かなくてはならない。

『砂漠……ね』

「今日は別のことをやる。クロスは休んでいてくれ」

「わかった。でも、何かあったら呼んでね」

「……頼む」

『中々いい夫婦だ』

 茶化すと追い出すぞ。

『……黙る』

 別のことだが、俺はある開発をしている。この時代にはまだない代物だ。一万と二千年以上も未来の技術である。馬をベースにした機械、俺はバイクと呼んでいる。これの開発が終われば、短距離での移動ならこれで楽になるだろう。時空間転移術は疲れるからな。名はドラゴンと名付けた。

 このドラゴンは、もうすぐで完成する。

「ここをこうして、これを嵌めると……」

 これまでに様々な試行錯誤を行ってきた。苦労の結果、エンジンと呼ぶ物を造ることができたのだ。

 そしてそれに合う機体を造る。現在は運転のテストの段階だ。

 エンジンをかけると、ドラゴンが唸りをあげる。

「……いい音だ」

 走行用の道は作っておいた。そこを走りきることができた。テストは完璧に終わったのである。

「あとは、ドラゴンが宝玉と共鳴するか、だな」

 宝玉を嵌める部分を予め作っておいた。まずは火の宝玉を使ってみよう。火の宝玉を嵌めると、ドラゴンが燃え出した。使用者に被害はなく、周りを焼き尽くすようだ。

「……これで完成、か。長かったな……」

 また、もう一つ研究において作っているものがある。それは後々必要になるはずだ。

 今日はここで寝ることにした。

「お疲れ様、レイン。飲み物ここにおいておくね……。って、やっぱり寝ていたか。まったく、シーツもなしに寝てたら風邪ひいちゃうわ。……これでよし、と。私もここで寝ようかしら……」

さりげなく時代設定が入ってます。

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