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LIVING LEGEND  作者: 星月夜楓
第四章 神話編
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第三話 絶望

「……ルーラー、姿を現せ」

 あれからリベルト達に話を聞いた。ルヒューブルのこと、そしてルヒューブルの主がルーラーであることを。ルヒューブルが襲ってくるのであれば、その主であるルーラーもまた襲いにかかってくるはずだ。だから奇襲を受ける前にこちらから攻める。

『ここにいるぞ』

「……お前は神ではないはずだ」

『ふむ、バレたか。仕方ない。だが、神であることは確かだ。邪神だということには変わりない』

 あっさり認めたな。

「ほう……邪神か」

 ルーラーは姿を変えた。いや、本来の姿なのだろう。

『知られたからには生かしてはおけん。覚悟しろ』

「……覚悟するのはそっちだ」

 俺は三人に向かって言った。

「今回は、お前たちは手を出すな」

「なんでだよ⁉︎」

 当然の反応がきた。

「……死なないでほしい」

 皆が殺されないためには、こうするしかない。

「……リベルト、諦めましょう。レインは本気だわ」

「くっ……」

 これ以上仲間を失いたくないのだ。理解してくれ、リベルト。

「……ルーラー、戦うのは俺一人だ」

『ほう……』

「俺が死んだら彼らを殺してもいい」

『いいだろう』

「だが、俺は死ぬつもりはない。……いくぞ」

 ルーラーに近づいた。だが、彼の結界により吹き飛ばされる。

「がはっ……」

『無駄だ』

 結界の拒絶反応により、吐血する。

「レイン!」

「……黙って見ていろ」

 剣を突きたて、突進する。だが、やはり結界を破ることはできない。

『おまけだ』

 奴のエネルギー弾により、腹を撃ち抜かれる。

 ルーラーは近づき、俺の喉元を締め付ける。

 まともに息ができない。

「コヒュー……コヒュー……」

「おい、あいつの息が……」

「レインが手も足も出ないなんて」

「約束……したでしょ……」

 ああ、約束したな。ついさっきしたばかりで忘れるわけがないだろ。

『死ね』

 締め付けが強くなる。だが俺も気力だけで奴の手を掴む。

『ほう……まだやるか』

「……どのようなことが……あって、も、俺、は……絶望し……ない……」

 微かな声でしかもはやまともに喋ることはできなかった。

『この期に及んで希望を持つか』

 俺は希望など持ち合わせてはいない。あるのは、現実だ。

 ルーラーを蹴り上げ、何とか離れる。喉元に溜まっていた血が一気に噴き出す。

『ふん……』

「ゴポッ……ゼェゼェ……っく、まだ、これからだ……」

「レイン、もう無茶するな!」

『ああ、絶望するのは彼らだったか。貴様より弱い奴らが我に勝てる道理はないものな』

「……バカに……するなよ」

 その時だった。

『我が力を使え』

 あの時の幻聴が聞こえてきた。一体なんなのだ、これは。ピンチになると現れるのか。

『……一思いに殺してやる』

 体が動くことはなかった。ここまでなのか。ここで、俺は死ぬのか。約束は果たせないのか。思考だけは冴えていた。そのまま俺は目を閉じた。

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