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LIVING LEGEND  作者: 星月夜楓
第四章 神話編
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第一話 神

 目が覚めると、そこは何もない。隣にクロスがいたくらいだ。他の二人はどうなったのか。

「おい、起きろ」

 声をかけつつ、体を揺らす。

「ん……」

「リベルトとハースがいない。一体どこにいったのだ」

「さ、さあ。私も今起きたところだし」

 面倒な事になっていないといいが。

 一方、リベルト達は。海岸近くに出現した。

「ここ、海か。しっかし荒れてるなあ。なんだか暗いし」

「クロスたちどこなんだろうね。うー、ちょっと寒い」

「俺の上着貸そうか?」

「大丈夫ー」

 少し散策したところ、渦が巻いているところを見つける。

「渦潮か。間近で見るのは初めてだ」

「私も……ってなんか激しくなってない?」

 その渦潮の中から何か巨大なものが出てきた。

「うわ! なんだこいつ!」

『こいつとはなんだ、こいつとは。私には名前がちゃんとある。我が名はルヒューブル。海の神である』

見た目は少し老けた男である。

「そ、そっか。おっさん、ここどこなんだ?」

『お、おっさん……まあいい、ここは海だ』

「それはわかってるっての!」

『質問の意味がわからん』

「あー、ここはどういう世界なんですかねぇ」

『貴様らこの世界の人間ではないのか。そうかそうか。ここは神の住まう世界』

「つまり、神話の世界ってところか」

「神様いっぱいいるのかー」

『如何にも。特に我らが主、ルーラー様は偉大な力を持ってらっしゃる』

「ふーん、じゃ、神の力で仲間探してくんないかな」

「私は海を統べる神。今のところ海の中に人間が入った様子はない。それ以外はわからん』

「そうかい。ありがとよ、フレンドリーゴッド」

『フレンドリーゴッド? まあ、それはともかく、教えたお礼として死んでもらおうか』

「はぁ!?」

 一体どうなっているのか。

 そして時同じくしてレイン達は。

「神殿か……」

「なんか文字が刻まれているね」

「……流石に読めないな。古代とはまた違うようだ」

 恐らく、神話の世界にでも出たのだろう。

『お主ら、何をしている』

「……」

「ちょ、ちょっと観光に」

 クロス、それはどういう答えだ。

『観光か。ならばついて来い。内部を案内しよう』

 その姿は一見人間のようであったが、人間ではないと判断した。それより観光で通じるのか。

 そして広間にでる。天井はない。

『申し遅れた。我が名はルーラー。この世界を統べる者である』

 ルーラー、名前からして支配者か。

『してそなたたちの名は?』

「……レインだ」

「クロスです」

『夫婦か?』

「……違う」

「ち、違います!」

 何が言いたいのだ、このジジイは。

『ただの連れか。何故この世界に来たのだ?』

「それは、俺にもわからない。……俺たちがこの世界の人間ではないことを何故知っている」

『全知全能だからの』

「ちっ。……ならばその全知全能とやらは何故俺たちがどうやってここに来たのか知っているのか」

『転移魔術じゃないのか?』

「知らん。俺たちはある事を成し遂げるたびに光を帯びて世界を回って来た。今回は四度目だ」

『ふむ、無意識の内にやっているわけではなかろう。しかし、確かに転移魔術だ』

 魔術は架空のものではないのか。いや、神話の世界ならばあり得るのだろう。

「そうか……。誰かに操られていると考えた方がいいのかもな」

「それってなんだか怖いね」

「仕方ない。今は敷かれたレールの上を走ってやるだけさ」

『この世界に来たのはそなたたちだけではないようだな』

 よく口調が変わるジジイだ。

「ああ……」

『そやつらは今海にいるのぅ』

「そうかい」

『心配せぬのか』

 心配しないと言えば嘘になるが、実際心配という感情は俺にはよくわからないのである。

「……知らん」

「ちょっとレイン。……私は心配です」

『そうかそうか。まあ、そのうちやってくるだろう。全てはここに導かれるのであるから』

「そ、そうですか」

 それが本当であるとしたら、彼らは来る。今は待つか。

『ゆっくりしていくがいい』

「……そうさせてもらう」

 このジジイからは妙な気配を感じられた。

「レイン、怖い顔してるよ」

「……悪い」

「逃げろ!」

 飛び交う鉄砲水。当たれば風穴が開く。ルヒューブルは指からだけでなく、口からも発射する。

「くっ!」

 ハースは避けつつ、弓を射る。しかし、動きながらのために当たることはない。

『逃げろ逃げろ。体力がなくなったときが、貴様らの死ぬときだ』

 鉄砲水は、地面を抉り、小さいクレーターとなる。そして砂浜であるため、走りにくい。

「あんにゃろう、わざと外していやがる」

 それにいち早く気付いたリベルトは敢えて近付いた。

「ちょっ、リベルト⁉︎」

『賢しいガキだ』

「俺はバカだ!」

『そうか、バカだな。跳んでくるとは! 隙だらけだ!』

 リベルト目掛けて鉄砲水を発射する。だが、体を捻らせ、避けた。少しだけ体に当たり、その部分の服が飛び散り、失速したが尚もルヒューブルに飛び込む。

『離れろ!』

 流石に自分目掛けては撃てない。

「離れろって言われて離れるわけねえだろ!」

 ルヒューブルの体に剣を突き刺す。これは振り落とされないようにだ。

「てめえのそのバカでけえ鉄砲水が仇になったようだな!」

「リベルトさすが!」

「ハース! 今のうちにたくさん撃て!」

「うん!」

『そうはさせん!』

 今度はハースを狙うが、リベルトが胸からナイフを取り出し、撃とうとした手に投げつける。

『ぐあああ!』

 狙いが逸れた鉄砲水は空を舞う。

「そうはさせんってのはこっちの台詞なんだよ!」

「リベルト! いくよ!」

 矢を三十本も手にし、狙う。

「あいつも人間業じゃねえ!」

 一斉に放たれた矢は無差別に襲いかかる。

「ちょっ……!」

 蹴って剣を外し、落ちるリベルト。落ちながらルヒューブルを切り刻んでいく。

 大きな音をたて、海に飛び込む。なんとか陸に上がれたときにはルヒューブルは既に息絶えていた。

「おっしゃ、ギリッギリだったな」

「なんだよー神様ってみんなこんなんなの?」

「いや、違うと思うぞ。多分だけど」

「というかリベルトぐしゃぐしゃだね」

「レインたちを探している間に乾くさ」

「風邪ひいちゃうよ」

「それくらいだいじょ……ぶぇっくしょい!」

「ほらみろー!」

「ちぇーわかったよ。着替えるから」

「何故か着替えあるんだね」

「この時間移動ってわりと都合のいいやつなんだな」

 着替え終わった後、彼らはレイン達を探す。

神話編開始です。

ルヒューブルは元々ポセイドラって名前でしたが安直すぎるので変えました。ルーラーもまた初期設定ではゼウスでした。できるかぎり現実の神話の話とは無縁にしたかったのでこうなりました。

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