第七話 滅界龍
「お出ましか!」
白銀を纏ったその体は美しかった。だが、その力は醜悪すぎる。
「くっそ、空飛んでやがる。届かねえ」
もう二度と仲間を傷つけさせるわけにはいかない。俺もまた、暴走するわけにはいかない。だから、始めから全力で行かせてもらう。
「任せろ」
そう言って俺は跳ぶ。そして龍の尻尾を掴み、地面に投げつける。
「おっしゃ、ナイスだレイン!」
「私達も続きましょう!」
怯んでいる龍に三人は一斉に攻撃する。
そして俺は空中から龍に突き刺すように落下した。
「やったか……?」
あっという間に倒してしまった。呆気ない最期だった。そう考えた瞬間、村が崩壊した。
「……は?」
村どころではない。世界全体の文明が破壊されかけていた。
「何が起きているんだ……」
振り返ると、龍はいなかった。
全て幻影だったのか。
「やられた……!」
地震が起きる。震源地から龍が現れる。
「あれが、本物か」
皆戦意喪失していた。無理もない。倒したはずの相手が再び目の前に現れているのだから。
「……お前らは、ここで待っていろ。絶望はさせない」
「レイン……」
「なんでだよ。さっき倒したじゃねえか」
「あれは幻影だったのさ。本当は倒していない」
「そんな」
「雑魚すぎると思ったわけだ……」
無駄話をしていたせいで、熱線を出されていたことに気付くのが遅れた。
「ぐっ……」
捌き切れない。灼かれそうだ。
なんとか耐えしのいだが、次の攻撃は防ぎきれない。ならば、こちらから攻める。
だが、掴まれてしまった。
「レイン!」
両腕が防がれているせいで身動きが取れない。もうすぐで喰われる。
『我が力を使え』
再び、あの幻聴が聞こえた。
「断る……!」
俺は、俺自身の力で。
「切り拓く!」
無理やりこじ開け、開いている口に入る。だが同時に口が閉じられた。
「そん、な……」
「嘘だろ?」
嘘ではない。出口がないなら作ればいい。喉元を突き破って突破した。今度こそ絶命したはずだ。
「お前がどれだけ強くても、俺はお前を超えるだけだ」
返り血にまみれた俺は鬱陶しく感じ、払い落としていた。
「あいつ、無茶苦茶だぜ」
「死んだかと思った……」
「俺は死なないさ。……いや、死ねない」
俺にはまだやるべきことがある。
また、光が出てきた。
「どこへ行こうとも、必ず生き延びてやる」
これで古代の世界は、無事守られた。
これで第三章が終わります。次章は第一部最後の章です。過去、未来、古代とくればさあ次はどの時代だ。そして最後の章。
前回の展開から一変してシリアス調に。ただまあ、この書き方だと滅界龍非常に弱く見えます。物語に出てくる滅〜龍最後の個体だというのにも関わらず。
これは主人公の力が益々強くなってきている、というわけです。この謎の正体は次章で!




