第六話 水浴び
「……すっきりした」
帰ってきた俺たちはまず水浴びをした。湯がないのが不満だが、仕方ない。ちなみに、まだリベルトたちは帰ってきていない。
「レイン、覗かないでよ!」
「……ああ」
興味ない。早くクロスの性格が戻って欲しいと願う。
十数分後、リベルトも帰ってきた。
「おいっす、レイン。やっぱり早かったな」
「いや、今回はクロスだけ戦った」
「そうなのか?」
「ああ。お前たちもよくやった」
「じゃ、暑いし水浴びでもするかー」
「あ、おい」
嫌な予感がした。咄嗟に俺は浴室とは逆の方向を向く。
彼が仕切りを思いっきり開けると、恐らくだが彼女の裸を見ただろう。
「あ、れ、なんでクロスが……?」
「……」
「すすすすま……」
「死ねやボケェ!」
やれやれ、ただでさえ彼女は今いきり立っているというのに。
「はっ! ごめんリベルト!」
顔面炸裂。リベルトはのびている。
「……! レイン、見てないよね?」
「いや、何も……。それより早く済ませてくれ」
俺は体勢を変えなかった。
「そ、そうだよねぇ……」
その後、彼女はいくらか大人しくなった。
「いやあ、さっきはすまんかったな。これ、村の土産屋で買ってきたんだけどよ、とかげの丸焼き。さっきの詫びとし」
彼の台詞が途切れた。なぜならクロスが彼の顔面を蹴ったからだ。
「トカゲ見せんな!」
「ず、ずみばべん」
やれやれ、ようやく彼女の性格が戻ったと思っていたのに。
「クロスどうしちゃったの?」
しばらく黙っていたハースがここで口を開いた。
「雪山の守り神がトカゲのような形だった。彼女はトカゲが苦手らしい。俺に手を出すなと言って徹底的に切り刻んでいた」
「そ、そうなんだ……ハハッ……」
まったく、笑えない話である。
その時、空気が変わったことに気付いた。龍が近付いてきている。
「……来る」
「レイン? どうかした?」
「伏せろ!」
滅界龍、ミレディガイアの火球が村を襲う。
ノルマ達成。しかし、ラッキースケベをしたのは主人公ではなくリベルト(実際、第一部はほとんどリベルトが主人公だが)。
今回は少し箸休めとして書きました。ほんの少しギャグ調になってますが私としてはギャグではないと思ってます。




