第二話 別行動
俺たちが守り神を殺す。一見その台詞はとてつもなく恐ろしい発言である。だが、どうせその守り神が滅界龍によって殺されるのであれば、滅界龍に殺される前に殺してしまえばいい。伝説の続きはこうある。滅界龍は守り神の死体を喰らい、自身の力を蓄え、世界を滅ぼすのだと。リベルトのお伽話は龍と四人しか登場していない。守り神は出てこないのだ。突然現れた四人。つまり、今まで守り神を殺しにいっていたため、龍を倒すために時間がかかったこと。そして、守り神を喰っていない滅界龍はまだ全力ではなく、四人で倒せること。これなら、辻褄は合うはずだ。
その説明をすると、リベルトは妙に感心していた。
「いやあ、すげえな! レイン!」
「ただ、今回はあまり時間がないと思われるから、二人一組でそれぞれの守り神を殺す」
「うはあ、きっつ!」
「リベルトならやれるさ……。というわけで、俺とリベルトは別行動だ」
「うっ……仕方ねえな。じゃあ、ハース、俺の後方支援頼むよ」
「まっかせてー!」
「……なら、クロス、俺と組むぞ」
「承知したわ」
時間がない。さっさと済ませよう。
「ほんじゃ、俺たちは火山の方の守り神ぶっ潰すから!」
「俺たちは雪山か。厚着の準備を」
「もうできてるわ」
「用意周到だな……」
クロスの行動力には感心する。
「また後でな!」
三人とも、成長した。特にリベルトは、勉学こそ微妙ではあるが、実戦ではかなりのやり手だ。
これなら、期待できる。確信した俺は、クロスと共に雪山に向かうのであった。




