第四話 信頼
「やりすぎじゃね?」
「怖かったよ」
「……レイン」
三人は先程の俺の行為で畏怖している。無理もない。俺ですら何をしていたのかわからなくなったからだ。
「それがそいつの本性なんだよぅ、お仲間さん」
「笑止」
突然の声に皆振り返った。再び、あの三人がいる。
「またお前らか!」
リベルトは殺気を彼らに向けた。
「怖いよなぁ、怖い怖い」
「こんなに無惨にしたか、レイン」
「外道」
「……なにが言いたい」
それは煽りなのか。
「お前らもさ、薄々わかってんだろ? レインの恐ろしさを。いつ衝動でこんなことをするのかわからねえんだぞ?」
「……ッ!」
また俺を一人にするのか。
「おい、てめえ。煽ってんのか。……確かにレインは怖い。人間離れしてるのはよくわかっている」
リベルト、やはりそうか。
「けどな、味方だから安心できるんだよ。レインが衝動を起こしたのは俺のせいだ。俺が怪我してしまったから、怪我をさせたそいつにだけ殺意を向けた。感情がよくわからんこいつだけどよ、案外仲間思いなんじゃねえの?」
本当に良いやつだな。
「口答えの多いやつだ」
「減らず口」
「うっせ! 要約すると! 敵には回したくねえ。恐いからな。仕方ねえよ、それは。でも! 味方なら信頼できる上に強い!」
それで要約できているのか。
「今回はたまたま味方に殺意の対象にならなかっただけで次はそうとも限らない」
「ぐっ……」
「いいえ、次もそうなるはずよ」
「ほう、なぜだ。生意気な小娘よ」
「……それは、彼を信じているからよ」
クロスもまた、リベルトと同じ心を抱いていた。
「そうだそうだ!」
ハースもだ。
「信じる? 馬鹿を言え。信じて何になる?」
「効率の良さ、かしらね。レインは強い。私たちがどうにもならない相手を倒してくれる。仮に暴走して、私たちを襲わない保証はないけど、一パーセントでも襲わないという可能性があるのであれば、それに賭けるわ」
「……」
クロスからすると俺は利用価値のある凄腕程度にしか見られていないようだ。
「それに、スリルはあった方がいいと思うの。その方が楽しい。彼と会うまでの人生はつまらなかった。友達はいたけど、決して楽しいと思えるものではなかったわ」
「クロスぅ、それだとレイン除く俺たちだけじゃつまらんってことじゃん」
「バカ二人相手するのは辛いものよ?」
「直球すぎて痛い! 痛すぎる!」
二人は落ち込んでいた。
「お喋りはすんだか?」
「ええ。言いたいことは言わせてもらった」
「まあ、今回はその言葉に感謝しておくんだな、レイン。次はどうなるかな?」
「……そんな先のことはわからない」
「けっ。かっこつけんじゃねえよ!」
「絶、黙っていろ。……そろそろ火山が噴火するな。レイン、勝負は預けたぞ」
三人は消え去った。そして俺たちもまた光を浴びる。
「あ、またこの現象だ」
「? ……どういうことだ」
「この世界に来る直前に起きたんだよ。レインは気絶寸前であいつに突っ込んでいったから覚えてないと思うけど」
「そうか……」
「次はどの世界に行くのかしら」
「わりと楽しみだったり!」
「レイン。もう俺たちゃ途中下車はできねえんだ。最後の最後まで付き合うぜ!」
こんなに、仲間に恵まれていいのだろうか。罪悪感に苛まれる。
「……信頼してくれて、ありがとう」
「え? なんだって? 聞こえないよ!」
一方、光の国では。
「ライト様、無事撃破したようです」
「わかっているわ。代わりに噴火ですか。付近に町はないし、問題ないでしょう」
光の国は、今日も平和である。
クロスは効率厨。
未だにハースのキャラ立てがイマイチなのが少し残念。そのうち活躍すると思います。
これで第二章終わりです。次はどの時代へ。




