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LIVING LEGEND  作者: 星月夜楓
第二章 未来編
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第三話 滅国龍

 やたら広々とした場所に出た。暑さは更に増し、俺たちの体力をじわじわと削る。


「さて、ここです。この奥に龍が潜んでおります。では、私はこれで。師匠、頑張ってください!」


 不敵な笑みを浮かべた俺はこう言った。


「……任せろ」


 と。


「作戦はどうするんだ?レイン」


「形態はミレディアと同じだ。……尻尾に毒がないから、そこまでは重要ではないだろう。ただ、今回は溶岩の中に潜んでいるため、奴の体温は底知れない。下手をすれば武器はおろか体を溶かされるだろう。そこで冷えたところを狙う。ただし、溶岩の冷えたところは硬いため、今回はかなり繊細な動きが必要になる。そして奴の吐く火炎は滅街龍とは比にならない強さ、らしい……」


「うへぇ、そんなのと相手すんのかよ」


「……怖気ついたか?」


「まさか!」


 その意気だ。リベルトはもう一人前だ。


「滅国龍は、滅街龍の怒りの形態と言ってもいいだろう。そいつは、火山を操る。予測がつかないが、どんな状況になっても焦るな。……作戦は特にない。各々やりたいようにやれ。その方がいいだろう……」


 既に、ミレディオスに向かった光の国の兵士の犠牲者は千人以上も昇るという。だが、俺は俺自身の得体の知れない力を信じ、この三人の力も信じる。その信じた先の道は、滅国龍、ミレディオスを倒すことだ。


「「「了解!」」」


「……よし、合図で行くぞ!」


 それは悪魔のようだった。熱線は大地を焦がし、やがて溶かす。このようなものが地上に降り立った時には軽く国を滅ぼしかねない。正に滅国龍という名が相応しい。


「くそ、全然近づけねえな!」


「焦るな……」


 ミレディオスの咆哮により、火山が動き出した。上から岩石が落ちて来る。


「あれに当たるな! 即死するぞ!」


「これが予測できない事態かぁ⁉︎」


 まさか岩石が降って来るとは思わなかった。俺は難なく避けることができたが、三人は必死だった。


「ハース!」


 まずい、ハースが岩石に潰されそうになる。だが、俺と彼女の距離は遠すぎた。間に合わない。


 そう思った瞬間、リベルトが飛び込んだ。彼女をうまく逃がし、自身は右足を潰される。リベルトは痛みに耐えきれず、叫んだ。


「……無茶をするな!」


「うぅ……大丈夫か? ハース」


「あんたバカじゃないの!?」


「そう言うな、クロス」


「あたしは大丈夫だけど……リベルト……」


「ハース、助けてもらったお礼に毒の矢を奴に打ち込んで麻痺らせておくんだな……。リベルト、動くなよ」


「わかった……」


 ハースは涙目でひたすら矢を打ち続けた。


 俺の怒りは、当に限界を超えていた。いや、本当にこの感情が怒りなのかはわからない。ただ一つ言える事は、ミレディオスをズタズタに引き裂いてやりたいという強い意志があるという事だ。


 右ストレートを繰り出し、彼の足を潰していた岩石を砕いた。


「もう驚かねえぞ……」


「……これくらいならまだ回復の見込みがあるか。痛みをまた堪えてもらうが、少しの間だ」


「ああ……」


「クロス、危険だが囮になっていてくれ。リベルトの処置を済ませたらすぐに奴を叩き潰す……」


「了解したわ」


 まずは止血剤を塗る。火傷もあるため、それ用の薬も使う。まだ足の原型が合ったおかげで何とかなりそうだ。


「……休憩してろ」


「お気遣い感謝するぜ……」


 いつもは元気なリベルトも、さすがに疲労してるな。当然というべきか。リベルトを抱きかかえ、隠れる場所に持って行こうとした瞬間、彼の足が元通りになった。


「……?」


「痛みが引いた? はは、レイン。降ろしてみろよ」


「……あ、ああ。気をつけろよ」


 彼を慎重に下ろすと、なんと、崩れずに立ったのだ。


「すげえよ、レイン。なにしたんだ?」


「……何も」


「お伽話みたいな治癒魔法ってやつか⁉︎」


「そんなバカな……」


 俺が架空の存在である魔法、魔術が使えるとでも?


「お前の人間離れはよぉおおくわかった。お前が味方で本当助かったぜ」


「……」


「ま、少し休ませてもらうぜ」


「ああ、今からは俺の独壇場とさせてもらう……」


 滅国龍、俺はお前を許さない。


「くっ、矢が切れた!」


「私も体力が限界……」


 よくやった、二人とも。


「……ここからは俺に任せてくれ」


「「レイン!」」


「もういいの? リベルトは?」


「ごめんなさい……」


「……安心しろ、謎の力で完治した。ハース、謝るのであれば、代わりに行動で示せ」


「ごめん……」


「謎の力……?」


 クロスが疑問を感じる。


「今は説明している暇はない」


 それよりもまず奴を叩き潰す。


「……わかったわ」


「……そうだな、今はリベルトの側に居てやれ。というか、居ろ。二人ともな」


「そう、だね」


 俺は感情がよく分からない。だが、怒りに溢れているってことくらいどうにか分かる。


「本音を言えば、指を加えて見てろ」


 それを言い放った後、全力でミレディオスに駆けた。火球は跳ね返し、熱線は割った。


「「「すご……」」」


 滅街龍の怒りの形態が滅国龍? 自分で言っておいて何だが、笑わせるな。俺の怒りの方がもっと恐ろしいことを味合わせてやる。


 本来は硬く、ただの鉄の剣じゃ破れない腹を裂き、はらわたを抉り出す。咆哮により、またも岩石が飛び交ってくるが、近付くものは全てミレディオスに蹴って当てる。怯んだところを両手、両足を斬り、そして尻尾を掴み、壁に放り投げる。


『此我怒』


 突然、幻聴が聴こえた。それよりも今はミレディオスを殺すこと。


 壊れた壁から溶岩が垂れ込んでくるが、それもお構いなしにミレディオスの喉元を突き刺す。目を抉る。そして、全ての歯を抜き取った後、一度跳び、ミレディオスを真っ二つに斬った。


「ハァハァ……」


 もう既にミレディオスは死んでいたかもしれない。だが、それでも俺は止まらなかった。止めることができなかったのだ。


俺TUEEE回。この力の説明はまた後ほど。

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