第二話 生きがい
火山の頂上付近を歩いているところだった。
「うっへ、あっちぃ」
「火口付近だからねー」
お目当ての龍はどこなのか。
「ジョウ、もうすぐなのか?」
「もうすぐですよ」
何の気配も感じられない。本当にこの近くにいるのか。
「ちょっと休憩しましょうか。水分とらないと干からびてしまいますしね。それと装備の整備等もよろしくお願いします」
「そうだねー。疲れちゃったよ」
流石は俺の弟子といったところなのか。万全の態勢で臨めるようだ。
「師匠、おすそ分けです」
「何なのだ、これは……」
よくわからない物をもらった。
「あ、お守りですよ。私が作ったのです」
「そうか、すまないな」
道理で見かけない物だと思うわけだ。
「……そういえば、お前らここまでついてきたけど、いいのか?」
「問題ないぜ。俺らは身寄りがいないんだ。三人とも孤児さ。孤児院にいたんだけど、十五歳になったから流石に気が引いてよ。食いっぷちを見つけるために狩人になったわけさ。んで、訓練学校卒業したらお前と出会ったわけだ。元々大それた生きがいなんてものはない。生きがいは、お前が見つけてくれたんだぜ、レイン」
「……そういうものなのか」
リベルトは、うんうんと頷いている。
「そういうものよ。辛いこともあるけど、こういうのに巻き込まれるのも悪くないと思ってるわ。多分、こんな時間旅行みたいなことをする人なんて他にいないと思うし」
「楽観的だな」
だが、実際に時間旅行など人生に一度もないだろう。
「そうでもしないとやってられないの。私はこれでも繊細なんだから」
確かにクロスは繊細なのかもな。
「あたしはいつだってお気楽よ!」
「ハースらしいな……」
皆、俺に巻き込まれたというのに。
「すまないな……」
「いいんだぜ、レイン。俺はレインの正体を知るまでどこまでも行くつもりだしな!」
「そ、そうか……」
「よし、準備完了! いつでも行けるぜ!」
「ならば、行くか。滅国龍、ミレディオスを倒しに」




