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独りきりの獣。  作者: 水城
プロローグ
2/5

2



巷で広がっている、噂が有った。

”夜な夜な、正体不明な人間が出没し、人を身一つで薙ぎ倒して行く”と。

それは、後にさまざまな尾鰭が付いてもなお、ほぼ真実に近い形で流れた。

そして、巷にしては裏社会に近い位置から、表の、若い人間にまで広がっていた。


「なぁ、聞いたか?」


「ああ、あれだろ」


「そう、あれ」


「闇の鬼人」「闇の鬼人」


誰もが、どんな噂よりも先に口にした。

それは、純粋な筈の小学生から、社会人の酒の肴にまで。


一体どこから、どう、流れて行くのか。

どこからどういった内容で流れて行くのか。

ソーシャルネットワーキングが多く普及した世の中では、当たり前に様に語られるのかもしれない。

話の題材に。

話題にすることでもりあがるのかもしれない。


闇の鬼人。

それは、世間で一番話題にされていると言っても過言ではないだろう。

地元テレビでも、ほんのわずかながら、警戒と忠告を呼び掛けることがあった。


それでも、この世間はそんな警戒と忠告とは裏腹に好奇心に駆られ、夜な夜な出歩いては当ても無く徘徊を続ける人間が増え続けているらしく、警察官の巡回も増えるなど、治安が悪くなる程だ。


「なぁ、ヤミのキジンって何?」


俺は、その辺で話をしている人に聞いた。


「あー?ああ、え、お前知らねぇの?今、めっちゃ有名なんだぜ?○○の商店街にいるらしいんだけど、神出鬼没すぎて見れないんだよなー」


「そうそう。俺も行ってもいつ出て来るかーとか、どこにいるのかーってわかんないからさ」


「闇の鬼人なんて言われてるけど、じっさい、ただの喧嘩好きだと思うけどな、俺は」


「そ!マジ、つえーって話。これ、実際に見たって言う先輩の話なんだけどさ、乱闘の相手はそこらで悪名高い不良グループだってさ」


二人は夢中だった。

次から次へと、”闇の鬼人”について、持ちネタを出し続ける。

それはまた、尾鰭がついているように、大きく大きく広がる。


「へぇ…それはぜひとも見てみたいな」


「おうよ!見たら教えろよ?つっても、お前の事しらねぇけどさ。何組?」


「8組の鬼塚尋人(おにづかひろと)。お前は?」


「6組、加賀瀬正二(かがせしょうじ)。よろしくな!」


「おう」


ほら、また、ネットワークが広がった。

情報はそこらにいっぱいあった。

人と話せば出て来る話。

それは、尾鰭が付いていてもほとんどが”正確”である。

闇の鬼人は、正直なことしか許さない。

それが、何故か、沈黙の掟だった。


間違った噂が流れようものなら抹消しにくることだろう。

それが、”鬼”。

どこにいようとも、必ず聞きつけてやってくる。

それを待ち伏せようと、わざと流す奴もいるが、後に姿を消す事となる。

だから、人々は正確だが少しは誇張した話を流す。

どうしてか、人々は守った。

鬼は、黙った。


「不思議な物だな」


人と噂。

そして、噂の本人と噂人。


人々は勝手に、世界を作ってしまう。



ややこしい話になりそうです。

いやぁ…もっと軽い話が書いてみたい。はい。

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