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エピソード9 奈落の底で再起動
【未知の権限:起動】
【記録改竄開始】
空間が音もなく裂けた。
世界が、ページをめくるように反転する。
黒翼の存在が、初めて後退した。
『それは……封じたはずだ』
ガウタムの瞳が淡く光る。
「俺は“記録者”なんだろ?」
「なら――書き換える」
その瞬間。
第一層が、光ではなく“白い無”に飲み込まれた。
重力が消える。
足場が崩壊する。
アリアの身体が落ちる。
「ガウタム!」
彼は彼女の手を掴む。
だが。
胸から赤い光が噴き出した。
【封印率:1%】
限界。
黒翼の声が、遠くから響く。
『運命を改竄すれば、代償は必ず払う』
地面が完全に崩れ落ちた。
二人は、奈落へと落下する。
暗闇。
冷たい風。
意識が薄れていく。
その時。
目の前に、巨大な扉が現れた。
鎖に縛られた、古い石の門。
【最終防衛層:強制移行】
門の前に、もう一人の“ガウタム”が立っている。
赤い瞳。
封印のない姿。
『遅かったな』
意識が完全に途切れる直前。
その分身が囁いた。
『次は、俺が選ぶ 次回へ続く




