エピソード6 封印のささやき
世界は、二度目の終焉を知らない。
だが――
ガウタムは知っている。
かつてこの世界は、黒い翼を持つ存在によって崩壊しかけた。
王国は滅び、空は炎に染まり、大地は裂けた。
その時、ひとつの「システム」が起動した。
選ばれし者にのみ与えられる力。
過去の記録を保持し、未来の崩壊を防ぐための装置。
そして今。
何も知らないまま、ひとりの少年が学園生活を送っている。
彼の名は、ガウタム。
静かに生きることを望む、普通の学生。
だがその内側には、世界を変える可能性が眠っている。
封印は揺らぎ始めた。
歯車は再び回り出す。
これは――
終焉を二度と繰り返さないための物語。
夜の帳が、学園を静かに包み込んだ。
月明かりが石造りの塔を照らす中、ガウタムは一人、窓辺に立っていた。
眠れない。
理由は、はっきりしていた。
遠く――封印ダンジョンの方向から、微かな震動が伝わってくる。
【警告】
【封印安定度:低下中】
【予測:48時間以内に異常発生】
「……早すぎる」
予定よりも、明らかに。
その時、頭の奥に直接響く声がした。
『目覚めの時が近い』
低く、古い声。
ガウタムは目を閉じる。
「お前は……誰だ」
答えはない。
だが、代わりに映像が流れ込んできた。
崩れ落ちる城壁。
燃え上がる空。
そして――黒い翼を持つ影。
その影の足元に、無数の剣が突き刺さっている。
【隠された記録:部分解放】
【過去の戦争データ断片】
「過去……?」
これは未来の予知ではない。
“記録”だ。
つまり――かつて同じことが起きた。
その瞬間、ノックの音が響いた。
「ガウタム? 起きてる?」
アリアの声。
彼は即座にウィンドウを閉じる。
「どうした?」
「ダンジョンの周囲、立入禁止になったって。
明日、先生たちが調査に行くらしい」
静かな不安が空気を満たす。
48時間。
もし予測が正しければ――
調査隊は、帰ってこない。
(……変えられるのか)
窓の外で、月が雲に隠れた。
その瞬間、遠くで赤い閃光が走った。
誰も、まだ気づいていない。
封印は、もう限界に近いことを。
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。
物語はまだ静かに動き始めたばかりですが、ガウタムの中で眠っていた「何か」が少しずつ目を覚まし始めました。
彼は強いのか、それともまだ未熟なのか。
それを決めるのは、これからの選択です。
封印、過去の記録、そして迫り来る異変。
小さな違和感が、やがて大きな運命へと繋がっていきます。
もし少しでも続きが気になったら、
ブックマークや評価をいただけると、とても励みになります。
これからもガウタムの物語を、どうぞよろしくお願いいたします。
次回、物語はさらに動き出します。




