第45話 外界都市 ―階層と選別―
外界の都市に足を踏み入れた瞬間――
空気が変わった。
重さ。
密度。
そして――視線。
無数の存在が、ガウタムたちを見ている。
好奇。
警戒。
そして――“測定”。
探索者が前を歩く。
「歓迎されてるぞ」
軽い口調。
だが、その意味は逆だ。
ガウタムは静かに周囲を見る。
建物は固定されていない。
形が変わり、
位置が揺らぎ、
時折、存在そのものが入れ替わる。
(……都市自体が生きてる)
ディヤが小さく呟く。
「落ち着かないね」
その時――
足元に、光の紋様が浮かび上がる。
円形の陣。
そして、機械的な声。
「新規存在、確認」
「階層測定、開始」
ガウタムは動かない。
ディヤも静かに立つ。
光が二人を包み込む。
空間が一瞬だけ“重く”なる。
探索者が腕を組む。
「ここはな、全員“ランク付け”される」
「外界は、階層で動く世界だ」
光が変化する。
色が分かれる。
ガウタムの周囲には――灰金。
ディヤの周囲には――淡い蒼光。
声が響く。
「対象①:分類不能」
「階層:測定不能」
一瞬の沈黙。
周囲の存在たちがざわめく。
探索者が小さく笑う。
「やっぱりな」
次に――
「対象②:潜在値確認」
「階層:上位候補」
ディヤが少し驚く。
「……へぇ」
光が消える。
だが――
空気は変わった。
明らかに、周囲の視線が変わる。
敵意ではない。
だが――軽くはない。
(……狙われるな)
その瞬間。
一つの影が近づく。
重い足音。
振り向くと――
巨大な存在。
人型だが、全身が黒い結晶のように歪んでいる。
目だけが、赤く光る。
「……新入りか」
低い声。
圧が、周囲を押し潰す。
ディヤが一歩前に出る。
だがガウタムが軽く手を上げて止める。
「俺がやる」
探索者が少し距離を取る。
「来たな」
黒い存在が笑う。
「測定不能……面白い」
拳を握る。
空間が軋む。
「試してやる」
次の瞬間――
消える。
そして、背後に現れる。
だが――
ガウタムは振り向かない。
ただ一言。
「遅い」
その瞬間。
灰金の光が“内側”から弾ける。
衝撃。
黒い存在が吹き飛ぶ。
地面に叩きつけられ、都市の構造が揺れる。
静寂。
周囲が完全に止まる。
黒い存在がゆっくりと立ち上がる。
だが――
動かない。
震えている。
「……なんだ、お前」
その声に、恐れが混ざる。
ガウタムは静かに答える。
「通りすがりだ」
その一言。
だがそれだけで、すべてが理解される。
黒い存在が一歩下がる。
「……悪かったな」
そして、そのまま去る。
空気が緩む。
だが――
完全ではない。
探索者が笑う。
「いいデビューだ」
ディヤが横で小さく息を吐く。
「これ、毎回?」
探索者が肩をすくめる。
「基本な」
ガウタムは前を見る。
都市の奥。
さらに強い存在たち。
さらに深い階層。
「……行くぞ」
ディヤが頷く。
探索者が先導する。
三人は歩き出す。
外界都市の奥へ。
物語は、さらに深く。
階層の上へ。
そして――
本当の“強者”たちの領域へ。
――続く。




