第21話 永遠の激突 ―鍵の真価―
第21話 永遠の激突 ―鍵の真価―
光と闇が、再び世界を切り裂いた。
ガウタムの光の翼が大きく広がり、空を白く染め上げる。
裂け目の奥から溢れ出す闇の触手が、何百、何千と絡みつき、押し寄せる。
「無駄だと言ったはずだ……!」
影の声が轟く。
今やその姿は、裂け目全体を埋め尽くすほどの巨体となっていた。無数の目が赤く輝き、すべてがガウタムを睨みつける。
ガウタムは静かに息を吐いた。
体に刻まれたひびはまだ消えていない。
しかし、金色の瞳には揺るぎない光が宿っていた。
「無駄なのは、お前の方だ」
彼は右手を突き出した。
紋章が激しく回転し、古代の文字が炎のように浮かび上がる。
次の瞬間、光の翼が一斉に羽ばたき、数百の光の矢となって闇を貫いた。
爆音が連続する。
闇の触手が次々と蒸発し、黒い霧となって消えていく。
影が初めて、苦痛の咆哮を上げた。
「この程度で……我を倒せるとでも!?」
裂け目がさらに大きく引き裂かれ、第二の影が姿を現す。
それは最初の影を凌駕する大きさだった。
翼は山脈のように広がり、目の一つ一つが星のように瞬いていた。
観測者が遠くで息を飲む。
「……これは……『虚空の王』……。
ガウタム、君は本当に鍵を……」
ガウタムは空高く舞い上がった。
光の翼が最大限に開き、体全体が純白の輝きに包まれる。
「限界なんて、最初からなかった」
彼は両手を合わせ、紋章を胸の中心に引き寄せた。
古代の文字が一つに溶け合い、新たな形を生み出す。
――光の槍。
巨大な光の槍がガウタムの手に現れ、その先端に全宇宙の力が集まる。
「これで……終わりだ!」
槍を振りかぶる。
一瞬の静寂の後、ガウタムは全力で突進した。
光の槍と虚空の王の巨体が正面から激突する。
世界が白と黒に分裂したかのような衝撃波が大地を割り、天空を震わせた。
影の巨体に巨大な亀裂が走る。
無数の目が次々と砕け落ち、黒い血のような闇が雨となって降り注ぐ。
「ぐあああああっ!」
虚空の王が絶叫する。
しかし、傷はすぐに再生しようとする。
ガウタムは槍を離さず、なおも押し込む。
「再生する前に……壊す!」
光の翼がさらに輝きを増し、槍の力が倍加する。
紋章が完全覚醒の音を奏でる。
そのとき――
観測者が静かに呟いた。
「ついに……鍵の本当の力が目覚めた。
ガウタム、お前はもう『人間』ではない」
影の巨体が、ゆっくりと崩れ始めていた。
裂け目が悲鳴を上げ、縮み始める。
ガウタムは最後の力を振り絞り、光の槍を深く突き刺した。
「世界は……俺が守る!」
白い爆光がすべてを飲み込んだ。
闇が、ゆっくりと薄れていく。
――続く。




