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エピソード14 観測の空の向こう側
白が、ゆっくりと色を取り戻す。
ガウタムが目を開ける。
そこにあるのは――
青空。
奈落ではない。
崩壊もない。
風が吹いている。
静かすぎる世界。
融合率:100%
封印:消失
胸の鼓動は、一つ。
だが重い。
「ここは……」
立ち上がる。
地面は石でも闇でもなく、
草原。
遠くに塔が見える。
見覚えがある。
いや。
“見たことがある”。
頭の奥に残る、観測された記憶。
その塔の上空に――
小さな“目”。
巨大ではない。
だが、確かにこちらを見ている。
『段階二、開始』
空に文字が浮かぶ。
だが今度は、声は冷たくない。
無機質ですらない。
むしろ――
期待。
ガウタムの右目がわずかに疼く。
紫の光が揺れる。
「観測者は……上書きされたのか?」
否。
消えてはいない。
“昇格”した。
足元の影が、わずかに歪む。
影の中に、黒い翼が一瞬広がる。
今度は気づく。
あの翼は未来ではない。
可能性だ。
塔の扉が、ゆっくりと開く。
中は見えない。
だが理解する。
ここは終点ではない。
“選抜”の場所だ。
空が微かに震える。
その上。
さらに上。
無数の視線。
世界そのものが、試験場。
ガウタムは歩き出す。
もう迷いはない。
「次は……俺が選ぶ」
空の小さな目が、細くなる。
まるで――
笑ったかのように。
――続く




