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エピソード13 共有された視界
光の槍が落ちる直前。
ガウタムは目を閉じなかった。
「観測共有、起動」
融合率:94%
次の瞬間――
世界が反転する。
落ちていたはずの槍が、静止する。
巨大な“目”の視界が、流れ込んでくる。
無数の世界。
無数の時間軸。
数え切れない“ガウタム”。
失敗。
崩壊。
孤独。
『干渉を確認』
観測者の声が、わずかに乱れる。
だが今度は違う。
ガウタムも、見ている。
目と目が重なる。
視界が共有される。
融合率:97%
「お前も……選ばされているのか?」
一瞬。
巨大な目の奥に、微かな歪み。
そこに映っていたのは――
別の“目”。
さらに上位の存在。
観測者の背後で、何かが記録している。
『権限逸脱』
『強制分離開始』
融合が揺らぐ。
身体が裂けそうになる。
だがガウタムは笑う。
「上がいるなら……」
「そこまで届けばいい」
融合率:100%
鼓動が一つになる。
赤と蒼が溶け合い、紫へと変わる。
その瞬間。
巨大な目に、初めて“瞼”が現れる。
ゆっくりと――閉じかける。
奈落が崩壊する。
アリアが叫ぶ。
世界が白に染まる。
最後に響く声。
『観測対象の逸脱を確認』
『次段階へ移行』
暗転。
静寂。
そして、新しい空。
――続く




