10/20
エピソード10 二つの心臓
闇の奈落。
鎖に縛られた巨大な門の前で、ガウタムは目を開ける。
冷たい石の床。
鼓動は弱い。
だが――
目の前に、もう一人の自分が立っている。
赤い瞳。
封印のない身体。
完全な存在。
『やっと来たか』
「……お前は何だ」
分身は薄く笑う。
『お前が捨てた選択肢だ』
空間が震える。
鎖がわずかに軋む。
『封印は守るためのものじゃない』
『お前を“制限”するためのものだ』
ガウタムの胸の光が弱く点滅する。
【封印率:1%】
限界。
「もし封印を壊せば……」
『世界は壊れない』
『壊れるのは、お前の“物語”だ』
奈落がざわめく。
無数の声が囁く。
観測者。
記録者。
選択者。
分身が一歩近づく。
『俺は迷わない』
『守るなら、全部壊す』
その瞬間。
門の鎖が一斉に弾け飛ぶ。
【最終防衛層:解放】
巨大な扉が、ゆっくりと開く。
中から現れたのは――
黒翼の存在の“本体”。
その圧力で空間が裂ける。
分身が振り向く。
赤い瞳が輝く。
『選べ』
『俺と一つになるか』
『それとも、ここで終わるか』
画面が暗転。
最後に表示される文字。
融合率:0% → 上昇中
――続く




