11話 学祭とお誘い
ベリベリショートストーリーです!ヘアスタイルかて
この間のファミレスの件から、柊との距離が近くなった。といっても友達以上の関係にはならないが。特に役割を持たない俺は学祭の作業の手伝いをある程度まで済ませると家に帰って小説を書き進め、という日常を繰り返している。柊の企画書関係の仕事は依然としてあるようだが、どちらかと言うと手作業や力仕事がメインとなっているこの作業期間では、その量は一段落しているらしく、そこまで慌ただしくしている様子は無い。
「なあ柊、お前って学祭1人で回るの?」
「うん。回る人いないし、それに疲れちゃうから。」
やはり元々学祭には興味がなかったのか、やや塩な対応である。
「西園寺は回る人いるの?可哀想だし私が一緒に回ってあげてもいいけど。」
茶化し気味にそう言うと、西園寺はほんとか?といった表情を浮かべている。
「ほんと?よかったら一緒に回ってくれない?色々行きたいところあってさ。」
思わぬ返事にえ?と慌てる柊。まさか冗談で言ったのに本気にされるとは思わなかった。
「いやー、展示によっては2人以上でしか入れないものとかあるらしくてさ。」
ほんとソロには厳しい世界だよなーとなにやら言っているが、柊は慌ててそれどころではない。冗談のつもりだった、と弁解しようにも西園寺はそのつもりのようでウキウキしている。
「あ、あの」
「うん?どうした?」
行く気満々らしい西園寺の表情を見て断るのは憚られる。
「いや、なんでもない。いいよ本番一緒に回ろう。」
断るのを諦めた柊は西園寺から視線をそらす。
(西園寺はそんなに学祭に乗り気なんだ、意外だな)
小説の為に学祭の雰囲気やらを経験しておきたい西園寺は、取材のつもりで回るつもりだが、柊はそんなこと知るはずもない。
「じゃあシフトの予定表が出たらまた連絡するわ。」
「…うん。」
あっという間に学祭の予定が決まってしまい、あっけらかんとする柊は賑やかのクラスの渦に飲み込まれていく。
(2人で、回るのか…。)
ファミレスの時といい、最近はなにやら胸がざわつくことが多くなった。慣れなさはどこから来るのか分からないが気の乗らなかった文化祭に少しの色が着く。
(頑張って作業終わらせなきゃ。)
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