表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蜃気楼  作者: ゆーやん
8/8

魂喰い

これはある大学生の話だ。


いつも通り朝起き、顔を洗い、朝食を食べ、歯磨きをする。

夜中の2時までレポートをしていたので、眠そうな眼をこすりながら大学へ行く準備を始める。


そのような日常を過ごしているが、恐ろしいことに魂を喰われ続けている。

それでもその大学生には痛みを感じることはなく、ただただ普通の朝を過ごしていた。


「やべ、もうこんな時間じゃん!急がないと1限に遅れる。」


そう言って

その大学生は家を飛び出した。

家から大学までは電車で30分。

そう遠くもないので、遅刻はしないはずなのだが、大学のエスカレーターを昇っている最中に始業のチャイムが鳴った。


「あーあ。又遅刻したよ。」

「お前、いつも遅刻してるよな?いい加減早く起きろよ。」

「いや、朝はしっかりと起きてるんだよ。」

「じゃあ、何で遅れるんだよ?」

「知らねーよ。」


そんな他愛のない会話をしながらも授業が始まる。

授業では全員パソコンを開いている。

その大学生もパソコンを開き、授業を聞き始める。

教授が何か話しているが、ほとんど耳に入っていない。

ただ、問題を解く際はしっかりと解く。でも、内容は理解していない。


そして、2限目の授業まで終わるとお昼休憩だ。


「やっと今日の講義終わったー!」

「だるかったな。」

「この後、どっか行く?」

「うーん。ちょっと図書室に行って文献探すよ。」

「じゃあ、俺も行こうかな?」

「お前結局何もやらずに終わるんじゃない?」

「そ、そんな事ねーよ!」

「まっ。いいけど。」


そう言って図書室に足を運んだ。


「そういや何の課題するの?」

「あー、ゼミの課題だよ。」

「やべ!俺もやんないと。」


そう言って2人はゼミの課題を始めた。

パソコンをカタカタさせながらウィンドウをいくつも開き、調べものをする。

でも、この大学生は少しずつ少しずつ魂喰いの影響を受けている。


「やっと、終わった。」

「え、もう?早くねーか?」

「お前、大学に来るのが遅いだけでもなく、課題やるのも遅いよな。」

「いやー。調べること多くてな。ほら、こんだけ書いたぜ。」

「それ真面目にやるんだったらしっかり単位取らないと。留年すっぞ!」

「う、うるせー!」

「あっ。俺バイトだわ。」

「まじか。行ってらー!」

「おう、頑張ってくるわ。」


そう言って別れた後は魂喰いの時間だ。

でも朝と同様痛みも知らず、魂喰いにあっていることさえも気づいていない。

それでも刻一刻とその大学生の魂は喰われ続けている。


「あー。ちょっと疲れたし。休憩っすか。」


そう言った後、段々と外は暗くなっていた。

しかし、外の暗さに比例して、電気の明るさが調整されているため暗くなることに気付きにくい。

しかし、この大学生は魂喰いの影響でさらに気付かなかった。


「よーし、やるか。」


そう言って、パソコンをまたカタカタとし始める。

しかし、その30分後アナウンスがなる。


「あと5分で9時30分を迎えます。図書室にいる方は片づけをして、別のエリアに移ってください。」


このアナウンスを聞いた時

大学生は驚愕した。


そう、休憩を2時間もしていたのだ。

まさかの時間の経過に魂喰いの存在に気付く。


そう、現代人の誰もが経験したことがある。

スマホを触っていたらいつの間にか時間が経っているあの現象だ。

この現象こそ魂喰いの存在だ。

自分の寿命が1時間が30分で過ぎてしまう感覚に陥り、まるで、魂を半分喰われたのでは無いかと錯覚するため。


この生物に勝つ方法を未だ知らない人類の方が多いであろう。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ