鬼ごっこ
夢というものは良い。
現実のことを忘れてもう一人の自分が出来ないことをやるのだから。
まるでパラレルワールドの世界にいる自分を見ているようで。
さぁ今日はどんな夢を見るのかな?
そうワクワクして布団に眠りに就くのは小学校1年生の春奈だった。
昨日は魔法少女になれたから今日は給食で出たプリンをもっとたくさん食べたいな。そう思いながら深い眠りへ誘われた。
眠るといつもやってくるのは電車だ。
空飛ぶ電車。乗っているのはいつも私と同じくらいの年の子だけ。
皆楽しそうにはしゃいでいる。
今日はどんな駅で降りるんだろう?
そうワクワクしながら電車は次の駅に着いた。
「恐竜王国~恐竜王国~」
「わー!たのしそー!」
「俺、ここで降りたいよ~」
私もここで降りたいけど降りられる駅に着くまでは座席からおしりを浮かすこともできない。
それでもいいのだ!
私の今日の気分はお菓子の国なのだから。
「お菓子の国~お菓子の国~」
「やったー!今日はお菓子の国に行ける!お腹いっぱい食べるぞ~」
私は行きたいけど身体が動かない。
今日お菓子の国に行けないのか…。残念。
だったら今日はどんな夢なのかな?
そう考えていると次の駅に着いた。
「鬼ごっこの国~鬼ごっこの国~
ここで終点の為全員下車をお願いします。」
そう言うと乗っている全員が下車をし始めた。
私の身体も動いた。
終電まで来るのは初めてだ。
そして、鬼ごっこの夢って何だろう?
そう思いながら下車した。
その一方で男の子たちは嬉しそうだった。
「これって一生疲れずに走り続けられるんじゃね?」
「マジ?」
「誰が鬼やる?」
そんな話をしながらいつも通り広場にやってきた。
そこには頭巾をかぶった男の子が立っていた。
「わー!今日もたくさん!ようこそ鬼ごっこの国へ!
ここでは皆に鬼ごっこをしてもらうよ。制限時間は無いんだけど、3回鬼になったら負けだよ。
まずは、僕から行くね♪10秒数えるから皆逃げてね!」
無邪気な声はまるでメガフォンを使っているかのように広場中に響き渡った。
「1、2、3、・・9、10!じゃあ鬼ごっこスタート!」
そう言って鬼ごっこは始まった。
鬼ごっこはとても楽しかった。
でも、負けるのは嫌だったので、必死になって逃げた。
一人また一人と時間が経つにつれて3回鬼になってしまい、ゲームが終わる。
そして、今私は2回も鬼になってしまった。ヤバイ今回は負けちゃうそう思って走り続けたがつかまってしまい、負けてしまった。
そして、頭巾をかぶった男の子から一言
「バイバイ」
と言われた。
目が覚めると朝だった。
とても楽しい夢だった。
そして、学校に行き、その夢の話を友達にして楽しんだ。
そんな風にいつも通りの学校で勉強をして、給食を食べて、昼休みにドッジボールをして遊び、放課後は寺子屋でその日出た宿題を終わらせ、昔遊びをして過ごした。
家に帰り、夕飯を食べ、見たかったアニメを観たらお風呂に入り、歯を磨いて就寝時間だ。
今日はどんな夢を見るのかな?
そう思って眠りに就いたが、この日から夢をほとんど見なくなっていた。
おかしいなと思っていたが、中学に上がった私は夢を見ないことが当たり前になっていた。
ふと思い出すとあの鬼ごっこの国は夢を見る年代じゃなくなった子を集めて、夢を見させなくしているんじゃないのかな?と今では思っている。
あなたが最近見た夢は何ですか?
そして、夢を見なくなった人。もしかすると最後の夢は鬼ごっこだったかもしれませんね。