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自由人のお散歩   作者: ららばい
2/15

メドゥーサの翼

 先日、「翼をもつメドゥーサのモザイク画が古代ローマの邸宅跡で発見される」という見出しを目にした。

 こういうの大好きで、すぐに飛びつくタイプ。

 それ、ローマのどこですか。

 いつのものですか、

 と興奮したら、ローマではなく、スペイン西部、ポルトガルの国境に近いメリダにある遺跡だという。


「ローマ時代の豪奢な邸宅で、翼のあるメドゥーサの頭を描いた2世紀、約1800年前の色鮮やかな巨大モザイク画が発見された」

 という記事だった。

 30平方メートルもある大きなメドゥーサで、頭に翼を持っており、とても珍しいという。

 ええっ。翼ですか。


 その写真がこれ。

挿絵(By みてみん)


 これが、なぜメドゥーサなのかと思った。

 そのこわい顔はメドゥーサのイメージだけど、メドゥーサは頭髪は蛇だと決まっているはず。この髪、蛇ではないし、翼があるってどういうこと?


 メドゥーサの像というと、まず思うのが、イスタンブールの地下貯水池(地下宮殿)で見た大きな石柱。6世紀、ビザンツ帝国の時に作られたさかさまと横になったふたつのメドゥーサには、翼はなかった。

 絵画では、ダビンチ(作だと言われていた)絵画、カラヴァッジョの盾(このふたつはフィレンツェのウフィツィ美術館にある)のメドゥーサがあり、じっくりと見たけれど、頭髪が蛇で、そこに翼はなかった。ところで、ダビンチ作と言われていたメドゥーサは超がつくほどすばらしい。これについては、いつか書きたい。


 だから、そのモザイクはメドゥーサではなくて、メリクリオス(ギリシャ神話ではヘルメス、英語ではマーキュリー)じゃないですか、と私は思った。彼は神々のメッセンジャーを務め、羽根のついたサンダルと帽子がシンボル。商業の神でもあるから、この家は商売をやっていたので、などと考えた。


 しかし、私が知っているのは6世紀以降のばかりだから、古代のメドゥーサを調べてみようと思った。


 ところで、メドゥーサというのはもともとは美しい女性だったけれど、アテナの怒りを買って、頭が蛇の醜い怪物にされてしまった。

 それが恐ろしい怪物で、その目に見られると、人は石に変わるのだ。しかし、ゼウスの息子ペルセウスが討ち取った、とギリシャ神では語られている。


 それで、ルネッサンス以前、メドゥーサについて調べてみると、

なんと、3世紀以前のメドゥーサのモザイクの写真は10以上見つかった。たとえば、

挿絵(By みてみん)

2世紀、ギリシャ


挿絵(By みてみん)

2世紀後半、チュニジア


挿絵(By みてみん)

2-3世紀、スペイン


 

 ええっ。どういうこと?


 説明によると、メデゥーサが醜く変身させられた時、髪の毛は蛇に、肌は青銅色に、背中には大きな黄金の翼を持った怪物に変えられたのという。

 


 翼が背中にあっては、正面画では描けないから、頭につけたのだろう。

 メドゥーサに翼が描かれなくなったのは、キリスト教の広がりと関係があるのかもしれない。翼があるのは天使だから、怪物に黄金の翼があってはまずいからかも。

 そうか、もともとのメデゥーサには、翼があったのだね、という話である。  


 そう言えば、Kinki Kidsに「ぼくの背中には羽根がある」というかわいい歌があったよね。メドゥーサとは関係ないけど。





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