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第四回なろうラジオ大賞用

ひまわりの君へ

作者: 城河 ゆう

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 背景 ひまわりの 君へ



 学校で、いつも皆に囲まれて、明るく笑う君が好き。

 その笑顔に、自分まで元気を貰えている気がするから。


 どんな相手でも、平等に優しく接してくれる、君が好き。

 その優しさに何度も救われたから。



 優しくて、勉強もできて、スポーツも得意で、背も高くて、いつもカッコいい君だけど。

 周りに比べて自分だけ、すごく背が高いのを、「カッコいいだろ?」って言いながら、こっそり気にしてるのを見ちゃった時は、少し、可愛いなって思ってました。


 好きなんだって気付いたのは、修学旅行の時。


 沢山の種類の花畑があるフラワーパークで、一際背の高いひまわり畑を見ていた時に、「その首に提げたカメラで、写真撮ってよ。 ここなら身長も誤魔化せそう!」なんて、おどけて言った君。


 制服の裾を翻しながら、ポーズを決めつつカメラに向けた君の笑顔は、背景のひまわりにも全然負けてなくて、レンズ越しでも顔が熱くなってしまった程、とても素敵でした。


 なかなか自分から話しかける勇気は出ないけれど。

 欲しいって言ってくれた、あの時の写真と一緒に、普段伝えられない気持ちを、手紙にしてみました。


 これからも、仲良くしてくれたら、嬉しいです。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「……こんな感じかな? 変じゃ、ないよね?」


 書き上げた手紙を何度も読み返しながら、少しずつ手直ししていく。


「あ、最初の文、脱字多すぎて意味不明だな――『背景を、ひまわりの畑にして、撮った写真を君へ』――と」


 よし、これで明日、渡そう。















 翌日。


 結局直接渡す勇気が出なかったため、こっそり靴箱に入れてしまおうと、いつもより一時間近く早く学校に来て、靴箱に手を伸ばし――


「あ、影山くん、おっはよ~」


 ――慌てて引っ込める。


「は、陽川(はるかわ)さん……おはよう、早いね」

「うん、部活の朝練。 影山くんは――って、あれ? そこ、私の靴箱?」


 怪訝そうに近付いてきた陽川さんは、僕が持っている封筒を見つけて、さらに首を傾げた。


「いや、その……修学旅行の時の写真、欲しいって言ってたから」

「あ、プリントしてくれたの? ありがとう」

「うん……はい、どうぞ! それじゃあまた!」


 僕は、内心のパニックを必死に抑えながら、半ば押し付けるように封筒を渡して走り去る。







 授業前――


「手紙の言葉、いつか直接聞かせてね」


 ――と、耳打ちして来た君の頬は、ほんのり赤くなっていた気がした。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ∀・)さすが。夏に読みたいひと夏の青春恋物語でした。登場人物のネーミングセンスがまたイイ。 [気になる点] ∀・*)これはリアルが入ってますか??? [一言] ∀・)爽やかな読了感でした♪…
[一言] 陽川さんと影山くん、対比されるようなふたりの名前がまた素敵で、いいなぁと思いました。 自分の持っていないものを持つ相手に憧れる気持ち、すごくわかります。 ふたりがこの後どんな風に進展するのか…
[良い点] ベタながらも、真正面からの「告白もの」で、ひまわりらしい真っすぐな感じが出ていました。うん、恋愛もので「ひまわり」を使うなら、このくらいストレートな方が気持ちよい。
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