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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

残雨

作者: 究極の猫背 うさみーぃと

こんちゃ。うさみーぃとです。

今回、初めてオリジナルの小説を書かせていただきました!

テーマは「雨」です。

雨には注意してください。また主人公の名前の変化にも注目してみると面白いかもしれません。

僕、高校生なんですけど、文芸部に所属してて、部誌に載せるために書いたのを試しに載せてみました。

そこまで長くないので読んでくれたら幸いです。

目を開けると血だまりの中にいた。

外では雨が降っていて、周りの音をかき消してゆく。

君はこうなることを知っていたのだろうか。

行き場のないその問いは見えぬ陽の下でさまよっている。

そういえばそうだった。

君と初めて出会った日も

外は雨だった。



「蟷螂ぃ、お前いつまで一人でいるつもりだ?」

「なんすかいきなり…」

「と、言うわけで!こちら睡蓮ちゃんでーす!」

「…はあ?ちょっと待てよ先輩!俺は仕事に…」

「違ぇよ。バディだよバディ。」

「バディ…」

「そ。バディ。二人いた方が何かと便利じゃーん?しかも上からの命令だから拒否権なーし!っつーことで!後はよろしくー」

「は?ちょ、待っ…チッあの適当人間め…」

ここは特別対応課、通称「特対課」。国内における特別異常事態において活動するという自衛隊的立場である。が、実際裏では政府に楯突く者を始末する、政府お抱えの殺し屋集団である。

今バディを押し付けられたのは「蟷螂かまきり」。この物語の主人公だ。可哀そうに。押し付けたのはの先輩の「海月くらげ」。性格に難あり。結構嫌われてる。自業自得。そして…

「あ、えっと、よろしく…」

「…」

「早速仕事があるみたいだけど…」

「…」

「きょっ今日はアレらしいよあのー最近巷で有名な半グレ組織への制裁…」

「…」

(ちょっとは反応しろよ!気まずい…)

この無口なのは「睡蓮すいれん」。ずっと一人で生きてきた彼女は必然的にコミュニケーションが下手な子に育ってしまった。どうでもいいけど貧にゅっ((拳

そして俺は作者。最近プロセカにはまった。志歩ちゃん可愛すぎだろ!!!


「でさぁ、その時海月先輩が…」

(はぁぁ。なぜ彼はこんなに喋りかけてくるのだろう…コミュニケーションとるの苦手なのに…)

「睡蓮もそういうことあるだろ?」

「…」

「…」

(気まずいぃぃぃぃ!ごめんね蟷螂君…だっ大体あの先輩が悪い!そうだよ!こんな私にバディなんて…)

「睡蓮!」

「ひゃぁっ!」

「えっあっごめん…着いたよ。ゴミのアジト。」

「あ…いや…その…ごめ…」

「「…」」

今回この二人の仕事は半グレ集団の壊滅。名前は「倭瑠堕是わるだぜ」主にヤクやら武器やらの取引、詐欺、強盗などとなんでもござれ!って感じで人を殺した数も少なくない。今は使われていないこの倉庫をアジトにし活動している。めっちゃ怖いな。

「ちゃっちゃと片付けちゃうかぁ。」

「…そうだね。」

「ちょっと待て!睡蓮!」

「…は?」

「お前出会ってからほとんど喋らんだろ。」

(それは私のコミュニケーション能力が…)

「お前俺の事信用してないだろ!」

「えっ?いや、ちが…」

「信じてないだろ!だから俺一人でヤってくるよ。」

「え?ちょっと、危ないよ…」

「大丈夫!まぁ任せときな?」

(ちょっと!?どうしてそうなったの!?行っちゃったよ…)


一方その頃ゴmん”ん”ゴホン。倭瑠堕是のアジトでは…

「いやぁ最高っすね!アニキィ!」

「だから言っただろ?ババァとかジジィとかから金を取るのが一番なんだよぉ。」

「天才っすね!アニキ!」

「だろ?どーせ死ぬんだから俺の役に立てよなwwww」

「あんなの生きてるだけ無駄ですもんね!www」

「「ははははははは!」」

そこでイキってるのは倭瑠堕是の頭の「山田」通称ゴミ。その周りにいるのは山田の取り巻きの「田中」、「鈴木」、「村田」、「ブラウンXV世」…まとめてゴミ

「そーだねぇお前らも生きてるだけ無駄だよねぇ。」

「なっ!」

「てめぇ!どこから入ってきやがった!」

「どこって…あそこk」

「両手に鎌!もしかしてお前…」

「ちょっと最後までしゃべらせr」

パァン!パァン!アジト内に銃声が鳴り響く。

「ったく…うるせぇなぁ。」

蟷螂が撃たれた先にいたのは拳銃を二丁持った男。

「きっ桐生さん!」

「流石っすね!」

「お前らも戸惑ってないですぐに反応しろ。」

「すいやせん…」

「あれ?桐生さん!死体がないっす…よ?」

「え?まj」

その瞬間桐生の見ていた世界は反転した。

「だから最後まで言わせろって。」

「桐生!」

「そっそんな…桐生さん…!」

「そしてなぜ死体がないことに気づかねぇ。あほなのか?」

「おい!お前らぁ!」

「アッアニキ!」

「桐生の仇ィ…とるぞぉぉお!」

「「うぉぉぉお!」」

「おいおいおい…なんで俺が悪者みたいになってんだよ…やっぱあほなんだな。」

蟷螂に何人ものゴミが飛びかかる。



「俺一人でヤってくるよ!」

(そう言ってはいたが大丈夫だろうか…)

(さすがにゴミとは言えど、多分だけど銃火器を持っているだろう。そんな集団の中、一人で突っ込むのはリスクが…いや。きっと持ってない。うん。そう。持ってn)

パァン!パァン!

「やっぱり持ってたんかい!」

(って何ボーッとしてたんだ!早くいかなきゃ!)

睡蓮は駆け出した。

(大丈夫かな…まぁでも相手は素人だろうし…)

睡蓮がアジトに入ろうとしたその時…

バァン!と大きな音を立て、正面のシャッターが吹き飛んだ。

「ぽえ?」

「おー!睡蓮ー。」

「え?は?」

「んー?どしたん?」

「シャッ…ター…え?」

「あーめんどかったから壊した。」

「ん?え?壊…ん?」

「ボーンって蹴ったの。」

「…っ!そういえば!敵は銃を持って…」

「あっ!そうそう!二丁拳銃の古風な奴だったよぉ。一昔前の映画かな?って感じだった。」

「それは!どうして…?」

「避けて首をこう…シャッて。」

「ほえ?」

「あらあら睡蓮ちゃん。思考が追いついてないみたいね。」

「「げっ…出た」」

「げっ!とはなんだ!人に向かって!失礼だぞ!」

「なんでいるんですか…海月先輩…」

「…帰れよ。」

「うわっ!睡蓮ちゃんひど!僕傷ついちゃった!いーけないんだぁ!いけないんだ!せーんせいにいっちゃーお!」

「ウザ…んで?何しに来たんすか?」

「いやー二人ともバディ組んでするの初めてじゃん?どうだったかなーって?後地味にウザって言ったよね?」

「それなら…なんか意味なかった。」

「え?それどういうこと?後蟷螂、ウザって言ったよね?」

「どういうことも何も…」

「へへへ。俺一人で突っ込んだ。」

「なーるほどほど。なんでそうなったの?」

「いや実はですね…」

そして蟷螂はかくかくしかじか云々かんぬん説明した。ちなみにかくかくしかじかは漢字では「赫赫然然」って書くよ!多分今後の人生で書くことはほぼ絶対ないね!やったね!

「ほーん。まず蟷螂。睡蓮はちょっと口下手な子なの。慣れて。」

「あっ。そうなんですね。」

「そうなんですよ。そして睡蓮。君には蟷螂君の話をしてあげよう。」

「ん。」

「睡蓮ちゃんはさ。CWP計画って知ってるよね?」

「うん。」

「説明して?」

「えっと…その…」

「うん。それでいい。誰も詳しくは言わないもんね。『Create Weaponized Person』略してCWP。簡単に言うと、子供の体をいじくって、超人的な力に目覚めさせて、兵器として使役しようっていう胸糞悪ぃものなの。俺もよく知らないんだけど、なんか成功には子供のあのすさまじい成長のパワーが必要らしいくてねぇ。そのために特待課の人達は皆自分の子供を差し出した…他にも裏ルートから手に入れた子供やら国民から譲渡…って言ったら言い方悪いな。国民が預けてくれた子供やらが集まって大体二百人弱集まった。で、生き残ったのが、たったの八人っていう史上最悪と言われる計画。」

なんかすっごくバカみたいな計画名だね!僕のセンスじゃこれが限界だったよ!

「そういえば…なんでこうなったの?」

「そう、そこなんだ。PCのシミュレーションじゃあんまり問題はなかったそうなんだけど、色々ミスってたみたい。まぁ無謀だよね。八人残ったのが奇跡らしいよ。」

「考えたらわかることなのに…」

「あのころは必死だったからねぇ。我が国も色々大変だったのよ。」

「えっと…それで?」

「あれ?睡蓮ちゃんまだ分からにゃいのかにゃ?」

「…」

「ちょ!ストーップ!その銃下ろして!こわい!ヒント!ヒントあげる!つまり!なんで蟷螂の話なのに俺がこの話をし始めたのかってことだよ!」

「…!まさか…」

「ふぅ…そう。蟷螂はその生き残りだ。」

「だからあの時…シャッターが…ってちょっと待って!?その八人は確か…」

「そう。八人のうち四人は生き残ったものの、後遺症により死亡。残りの四人もなんか死んだことになってる。」

「じゃぁ、どうして…」

「そりゃぁまぁこれだよね。」

海月はおもむろに人差し指を空に向けた。

「…」

「気分悪いよねぇ。」

「あのさ…蟷螂は大丈夫?」

「ほぇ?何が?」

「えっいやっなんか嫌な記憶を思い出させるようなことに…」

「全然いいよいいよ。バディなんだし知っててもいいんじゃん?」

「そっか…」

「はいはい!いい雰囲気のところ申し訳ないけど、二人とも僕に注もーく!」

「嫌な予感…」

「奇遇だな…俺もだ…」

「なんだよ二人して!テンションあげてこ!今回!任務を無事終了したということで!二人にはこれをあげよう!じゃじゃーん!」

「ん?なにこれ」

「これって…」

「水族館のペアチケットでぇす!」



「週末休みあげるから二人で行ってきなよ。バディになったんだから仲深めあっとこ?」

という海月の提案により、蟷螂と睡蓮は水族館に来ていた。

「水槽でっか!やべぇ!魚もでけぇ!」

「おぉ…」

「おい!睡蓮!見ろよこの魚!」

「ブッサイクだねぇ…」

「え?かわいくね?」

「え?」

二人の中で水族館なんてものは本の中でしか見たことがなかった。なので、今日初めて訪れた水族館に二人とも心を躍らせていた。

「あっ。先輩がいっぱいいるw」

「えっ?どういうこ…なるほどw」

「な?いっぱいいるだろ?」

「本物はこんなに綺麗なんだ…あの先輩風評被害だね。」

「風w評w被w害w」

「でもほんとに綺麗…」

「…」

『まもなく、当館名物の、イルカショーが、始まります。』

「だってよ睡蓮!」

「行ってみる?」

「もちのろんよ!」


バシャァン

イルカが大ジャンプを成功させ、あたりは拍手に包まれた。

「すっげー!けどめっちゃ濡れた…」

「こうなるから前のほうなのに空いてたんだね…」

「どうしよ…着替えとか持ってきてないんだが。」

「服とか売ってないかな。」

「そういえば土産屋さんにあった気がする!」

「じゃ、そこで買おっか。」

二人はその水族館のTシャツを買った。

「なんか浮かれてるみたいでヤダな。」

「浮かれてるみたいじゃなくて実際浮かれてるんだけどね…」

「それはそうだなぁ。」

その後も二人は初めての水族館を堪能した。

「当水族館は間もなく閉館します。」

館内アナウンスが鳴り響く。

「もう閉館か。早いな。」

「ねー。もっと見たかったな。」

「また行くかぁ。」

「そうだね!」

「てかお前よく話すようになったなぁ。」

「えっ?あぁ…なんか、興奮しちゃって…はっず。」

「ははっ…そういえばこれ。あげるわぁ。」

「なに?これ。」

「開けてみぃ。」

「これって…クラゲのキー…ホルダー?」

「そそそ。すんごく見てたから。親睦の証な。」

「ありがとう…大切にする!」

「おう。」

「なんか…ありがとね。」

「え?」

「気使ってくれたり。めんどくさいでしょ?私って。」

「いやぁ…そんなことないと思うけど。」

「そうかな?」

「うん。それに、ほら。俺らバディじゃん。」

「っ…そう、だね。蟷螂君は優しいね。」

「そうか?」

「うん。少なくとも私があってきた人たちの中ではね。あっ私、特対課寄らなきゃだから。」

「あー。もしやデータ整理?」

「そう…めんどくさいやつ。」

「うーわ。がんばれよ。」

「ありがと。じゃ!」

「おう!また…」

睡蓮が去った後、蟷螂はつぶやいた。

「優しい…か。」

(いつかあいつにも話すことになるのかな…)

遠くの空では灰色の雲がごうごうと唸っている。

「これはひと雨降りそうだ。」

そういうと蟷螂は家路についた。

家に向かいながら蟷螂は思い出していた。

遠い遠い昔のことを、あの肩まで伸びた紺色の髪を。



五月の半ば。例年より少しばかり早い梅雨入りが始まってすぐのこと。

出雲雷也いずもらいやは住処を失い、さまよっていた。

(どうしてこんなことになったんだっけか。)

思い出そうとしたが、それは十七秒を無駄にしただけだった。

痛む頭を低気圧のせいにし、立ち上がろうとしたときのことだった。

「おい坊主。」

「…」

顔を上げると知らない人が立っていた。

「孤児か?」

「わからない。けど親も家も金もない。」

「当たりだな。ついてこい。」

「嫌だ。」

「はぁ。飯、食いたくねぇか?」

「何が言いたい?」

「なんだ食いたくないのか?」

「…食いたい。」

「なら金が必要だが…あいにくてめぇは持ってない。」

「それがどうした。」

「まぁついてこい。」

そう言って笑うと、男は歩き始めた。雷也は疑いながらも後を追った。


「ついたぞ。」

男が歩みを止めたのは某飲食チェーン店だった。

「えっと…これと、これ。後ワインを一本」

(何してんだ?このおっさんは…)

数分後、雷也の目の前にはたくさんの料理が並んでいた。

「…おい。何のつもりだ?」

「ん~?食っていいぞ?」

男はワインを開けながら言った。

「は?」

「なんだ?肉嫌いか?」

「いや…好きだけど。」

「じゃぁ食え。」

男はそう言ってワインを口に含んだ。

雷也は内心不安だった。なぜ男がこんなにしてくれるのか、後で何を要求されるのかという恐怖が雷也の中で渦まいていた。しかし、空腹には耐えられなかった。雷也は目の前の料理にかじりついた。

「美味い!」

「そうかそうか。」

雷也は夢中で食べた。なにせ前回まともに飯を食ったのは思い出せないほどに前だったから。

あっという間に皿は空になった。

「ふぅ。」

「さて、坊主。満腹になったところ悪いが、本題に入ろうか。」

「なっなんだ?」

ついに来たか…そう思った。

「お前、毎日飯食いたくないか?」

「へ?」

「なんだぁ?その間抜けな返事はぁ。」

「いや、もっと恐ろしいことを言われると思って。拍子抜けだ。」

「なんだそりゃ。で?食いたくないか?」

「そりゃぁ食いたい。」

「だよな?金、欲しいよな?」

「そりゃぁまぁ。」

「大当たりだな。まずは自己紹介からしようか。俺は雀蜂。特別対応課っつーところで働いてる。」

「特別…?なんだよそれ。」

「お前が金を得るための場所だ。詳しいことは知らなくていい。」

「そこで働けばいいのか?」

「そうだ。良くわかってるじゃねぇか。だが、働くだけじゃねぇ。お前には手術を受けてもらう。」

「手術?」

「そうだ。なぁに心配するな。簡単ですぐ終わるし、死にもしねぇよ。」

「わかった。」

「よぉし。じゃぁいくか。」

雀蜂は金を払って店を出た。

「そういえばお前、名前は?」

「雷也。苗字は知らない。」

「そうか。じゃぁお前は今日から蟷螂と名乗れ。」

「蟷螂…」

こうして蟷螂はこの世に誕生した。後に雷也はこの選択をした事を後悔することになる。そしてこの俺…作者も。長いって!過去編とか!長いって!もう夏休み終わるんだけど!?

「ついたぞ。ここが特対課だ。」

「ここが…」

「よし。じゃぁ早速…」

「雀蜂っ!おまっ!その子どうした!?」

「チッ海月ぇ。またてめぇか。」

「また孤児の子拾ってきたのか!?お前それでもっ」

「うるせぇよ!今はそんなこと言ってる場合じゃねぇんだよ。」

「なっ!でも人数は明らかに足りてるだろうが!」

「馬鹿か?実験動物は、多いほうがいいだろ?」

「てめぇ!この子に謝れよ!」

「なんで実験動物に謝らなくちゃいけねぇんだ?」

「お…おい。いったいこれって…」

「君!名前は!?」

「あ…えっと…雷也。」

「雷也!今すぐ引き返せ!お前手術を受けるように言われてるだろ!?」

「え、あ…うん。」

「死ぬぞ!?」

「え…?でもこのおっさんは成功するって…」

「だまされたんだ!恐らく甘い言葉につられたんだろうが、あんなの全部張ったりだ!雷也!今すぐ逃げ…」

その瞬間、海月の背後に巨体の男が現れた。

「黙らせろ。水爬虫。」

「ワカッタ。」

「くっ!離せ!」

「まったく…人聞きの悪い…」

「離せ!くそっ!水爬mガハァ!」

海月は腹に強烈な一発をくらい、ぐったりとしてしまった。

「雷也…あの馬鹿が言ってることのほうが嘘だ。」

「え?えっと…」

「それと…」

バン!雷也は頬を殴られた。

「???」

「蟷螂と名乗れといったはずだ。」

「あ…」

「それとおっさんじゃない。」

バン!

「『雀蜂さん』だ。さぁこい。」

「いや…」

「拒否権はない。さっき食った飯代…だれが払ったと思ってんだ?」

「…」

「こい。」

雷也…いや、蟷螂はそのまま牢に入れられた。てかこいつめっちゃ殴るやんやば。

「実験の日までそこでおとなしくしてろ。」

ガチャンと鍵がしめられた。

「…やっちまった。」

かたい床で寝、食べ物とはいいがたい飯を与えられる生活は路上で過ごしていた時と変わりなかった。そんな生活を十三日過ごし、ついに実験の日が来た。ちなみに水爬虫はタガメって読むよ!絶滅危惧II類の水生昆虫で絶滅間近だよ…。かわいそうに。

「デロ。」

「わかった。」

(確かこいつ…水爬虫…海月を殴った…)

「ココダ。」

「なんかそれっぽいとこだな…」

「サイゴノ、ツレテキタ。」

水爬虫が白衣の女性に話しかける。

「おっ。ありがとう水爬虫。」

(なんか乳のでけぇのが増えたぞ…てか何こいつの衣装。露出狂か?こわ。)

蟷螂は貧乳派だった。俺もだ蟷螂!てか夏休み終わったんだけど。

「ここは…?」

「ここは手術室だよ。」

蟷螂が連れてこられた場所はいかにもな感じの実験室だった。奥には怪し気な装置が一台。てかさっきの情報誰得だよ。

「なんだあr」

ブスッ蟷螂に注射が刺された。

「ふー。この子で最後…ね。」

この女の名は「似我蜂じがばち」。典型的な狩りバチ。幼虫の食料にするため、ガの幼虫に毒針で神経をマヒさせる毒をぶち込むという面白い生態をもつハチの一種である。作者はこういう虫が大好き!

「さぁてと…じゃぁ始めますか。」


「おぉ!蟷螂!お目覚めか。」

「んぁ…ここは、病…室?」

気づけば蟷螂はベッドに寝かされていて、横には海月がいた。窓の外を見ると雨が降っていた。

「起きたばっかりのところ悪いが、立てるか?」

「え、おぉん。」

「ちょっと来てもらいたいとこがあってな。」

「わかった。」

車に揺られること十数分。目的地に着いた。

「あ、雨。」

「マジか!走るぞ蟷螂!」

全力疾走する海月にくらげなのに水嫌いなの?という疑問を持ちつつ蟷螂は海月を追いかけた。

「着いた。ここでちょっと待機な。」

「了解。」

(海月は多分いいやつだ。あの時もかばってくれたし。てかここどこよ。)

蟷螂は周りを見渡し、何人か他に人がいることに気づいた。

(なんか人おるやんけ)

「あの~ちょっといい?」

「ん?あれ?ニューカマーじゃん!俺!田中!田中っていうんだ!お前は!?」

「俺の名前はねぇ…」

「いてっ!」

田中は誰かに殴られた。

「(`Д´)」

「あぁ、そうだったそうだった。蜘蛛って名乗れって言われてたんだ。」

「…誰?」

さそりっていうらしい。なんかしゃべらない代わりに表情豊かなやつなんだ。」

「(*。_。)ペコッ」

「あ、うす。俺は蟷螂。本名は雷也っていうんだっ…」

瞬間、木の上から蟷螂の頭に何かが落ちてきた。

「なんか踏んだ。」

「いってぇ!てめぇ!何してくれんだ!」

「え?あぁwごめんごめん。」

「ごめんで済むか!何落ちてきてんだよ!」

「えへへ~。」

「えへへ~じゃねぇよ!」

「ほんとごめんw僕は雫。なんか露虫って名前もらったけどこっちのほうが好きなんだぁ。」

そう言って雫は手を差し出した。

「俺は蟷螂。本名は雷也っていう。」

そう言い雷也は手をつかんだ。

「まぁ仲良くしようよ。」

「そうだなぁ!俺!蜘蛛!こっちは蠍!」

「(*´꒳`*)」

「改めてよろしく。三人とも。」

「お。なんか勝手に仲良くなってくれてるじゃん。」

「あ、海月じゃん。」

「おい、蟷螂。先輩くらいはつけろ。」

「案内してくれた人じゃん。」

「( ー̀ωー́)⁾⁾ウンウン」

「ありがとうございましたぁ。」

「蜘蛛に蠍に露虫も元気そうだな。さてと、お前ら。いいニュースと悪いニュースどっちから聞きたい?」

「えっ何そr」

「いいニュース!いい方がいい!」

「おい!蜘蛛!勝手に決めんな!」

「まぁいいじゃん。」

「(´・∀・`)」

「いいニュースはね、俺が君たちの先生を務めることになりました!」

「えっ!?まじ?」

「Σ(๑ °꒳° ๑)」

「これからビシバシ鍛えていくからね!」

「ちょっとやだなぁ。」

「同感。しんどそう。」

「はいそこ文句言わない。で、悪いニュースは、実験で生き残ったのが君たちだけということでぇす。」

「…は?まじ?」

「うっわぁ…」

「え?俺知らないんだけど。何人受けたの?十人とか?」

「そっか。蟷螂は結構ギリギリできたもんね。この実験はねざっと二百人は受けてるんだよ。」

「…え?」

「(_ _||||)」

「まぁなんだ。君たちは生き残ったんだから…まぁ、その、頑張って。」

「そう…だな。」

「僕、さっきの言葉取り消すよ。みんなでがんばろ?」

「あぁ!」

「(๑`^´๑)」

「盛り上がってるとこ悪いけど、みんなに質問。ここどこだと思う?」

「あぁ確かに。ここどこなの?海月…先輩。」

「おっ!蟷螂偉い!ちゃんと先輩つけてる!次は敬語な。」

「僕が思うに訓練所…とかじゃない?」

「露虫正解!みんなにはここで訓練してもらいます。そしてあちら側を見てください!」

「ん?なに?」

「(・ω・ = ・ω・)」

「階段見える?」

「見えるけど…」

「ここ二階建てなの。」

「はぁ…」

「分かった!あれだろ!あのーほら!俺らの住む場所的なあれ!」

「そうです蜘蛛くん正解です!上は居住スペースになってます!これで安全だね!ちなみにアパートみたいな感じの作りで、家具とかは1式ついてるから。」

「好待遇じゃん。」

「何を隠そうこの俺が上層部に持ち掛けたおかげでこうなったのだ!」

「海月先輩やりぃ!」

「だろ!まぁというわけで…明日から訓練!頑張って下さい!」

「「「おお!」」」



「おっ、蟷螂。自主練か?偉いなぁ。」

「あっ海月先輩。そうっすね。なんたって初任務が秒読みですから。」

「そうだなぁ。お前、大分変ったなぁ。見た目もだけど、敬語まで使えるようになりやがって…」

「やめてくださいよw」

手術が終わってから半年がたった。蟷螂たちはめきめきと成長し、ついに明日、初任務に行くことになっている。急に飛んだと思っただろ!仕方ないだろ!?訓練の描写が難しかったんだよ!

「あっ雷也に海月先輩。なに話してるんですか?」

「おぉ露虫。いやぁ蟷螂が大分成長したなって。」

「あぁ。確かに。こんなにたくましい体つきになっちゃって。」

雫が雷也の体をつつく。

「おま、やめろって!」

「おいおい。いちゃつくなお前らぁ!」

「(*´꒳`*)」

「あっ蜘蛛君の体もつんつーん。」

「ふっ…俺には効かん!」

蜘蛛が謎のポーズをとる。

「(๑˃▽˂๑)」

「ぶはっ!おまっ、なんだよそのポーズwww」

「ムキムキのポーズだ!」

「ちょっとwポーズ変えないでwマッシブーンみたいwww」

「この世界ポケモンあったんだ。」

「ポーズとってるとこ悪いが話始めるぞぉ。」

「へぇい」

「明日の任務は隣国の工作員のアジトの壊滅だ。」

「なんか初任務の重さじゃなくねぇ?」

「安心しろ、蜘蛛。あまり勢力が強くないとこだから。」

「なるほど。チュートリアルにはぴったりというわけですね。」

「その通り。場所はここ。」

海月は広げた地図の一角を指した。

「結構近いじゃん。ラッキー。」

「まぁあぁは言ったが油断はするな。何があるかわからん。」

「(`・ω・´)」

「よし。気合十分みたいだな。じゃぁ今日の訓練開始!」

「「「「おう!」」」

同時刻、特対課本部では

「明日、例の四人が○○のアジトに向かう。時間は二十三時。ガキだからと言って油断はするな。」

「了解。なんたってそっちのはいかれた実験の産物なんだもんな。」

「あぁ。一応一人は必ず残してくれ。誰でもいい。」

「どうしてだい?」

「いきなり全員死んだら流石に不自然だろ?」

「確かにそうだな。まぁ何人か残しとくよ。それにしても率先して材料を集めたやつが実はこっち側だなんてな。」

「個人的にこの実験に興味があってな。」

「まぁ今後とも頼みますよ。…雀蜂サン。」

「…あぁ」


「皆揃ったなぁ?一応任務の確認ね。」

「隣国の工作員のアジトの壊滅、場所は○○、油断はするな…ですね?」

「そうそう。じゃぁ皆また後で、生きて会おう!」

「「「おぉ!」」」

「(`・ω・´)」

蟷螂たちは意気揚々とその場を去った。

「本当はもっと簡単な任務にしたかったんだけどなぁ...雀蜂のやつ…なぁんか引っかかるなぁ...」

この時海月はどことなく不安だった。嫌な予感がしたのだ。そしてその予感は、奇しくも的中することになる。


「えっと…ここかな。」

「(゜д゜lll)」

「うわぁ…ボッロ。」

どうやら隣国の工作員はボロい昔のビルをアジトとしているようだ。

「おいおいどうしたんだよ皆して。今日はめでたい俺の初陣だぜ?」

「俺らな?」

「まぁとりあえず行っちゃおっかぁ」

四人が中に入り、少し進むと、何やら話声がする部屋が見えてきた。

「あそこかな。」

「…いくか。」

四人は気配を消し、扉の前に立った。

ここまでは順調だった。この後四人は散り、敵どもを殲滅する予定だった。完全なるふいうち。成功するはずだった。扉を開けた四人の前に広がる光景は想定外のものだった。

「な…んで?」

「おいおいおいwほんとにノコノコときやがったぜ。」

「なんで…ばれてるんだ?」

部屋に入った時、既に敵は銃を構えていたのだ。四人は敵数十人に囲まれてしまった。

「よし!撃てぇ!」

蟷螂はこの状況でも冷静だった。瞬時に腰から鎌を抜き、姿勢を低く、目の前の敵二人の足の健を切った。

「こいつっ!銃弾もよけやがっ…」

「黙れks」

「ぐっ!」

素早く首を掻っ切って、蟷螂はあたりを見渡した。

「皆!大丈夫…」

蟷螂は目に飛び込んできた光景に絶句した。

「っ!く…蜘蛛っ!」

蜘蛛は反応するのが少し遅れてしまったようだ。左胸と腰に銃弾を一発ずつ…致命傷だった。横を見ると蠍も足に一発受け、倒れていた。

「蠍!」

「私は大丈夫!」

「え、おまっ」

「仲間よりも自分の心配をしたらどうだぁ!?」

「あっ…」

パァン!

「グハァ!」

「蟷螂!戦闘に集中!」

「っ!すまん露虫!」

(ざっと見た感じ敵は大体残り二五人程度…蠍は身を守るので精一杯…蜘蛛は…いや、やめよう。露虫と二人…いけるだろうか。無理に決まってる!ここは…)

「露虫!」

蟷螂は蠍の周りの敵をある程度片付け蜘蛛を抱きかかえた。

「了解!」

露虫は蠍を抱きかかえ、蟷螂の近くに寄った。

「あっちだ!」

「ちっ!そうやすやすと見逃すと!?」

「やすやすと見逃してくれませんかねぇ!?」

(ちっ!やばい!これは!)

パン!パン!

「ぐあっ!」

「ぎゃっ!」

「え...蜘蛛?」

「やられっぱなしでゴフッ…たまるかよ…」

「ありがとう!蜘蛛君!」

「ちっ!撃て撃てぇ!」

「ゔっ!」

「くっ!」

蟷螂と露虫はところどころ傷を負いながらも、なんとか逃げきった。


「ハァここまでくれば…大丈夫か?」

「雷也っ!蜘蛛は!?」

「…だめだ…もう…」

「う…そ…」

「雫ちゃん…」

「蠍ちゃん!」

「大丈夫か!?」

「大丈夫…だったらよかったんだけど…」

「っ!その傷…」

「さっき…やられた。」

「そ…そんな!すぐ戻ろう!今からならまだ…!」

「無理だよ。自分のことは一番…自分が分かる。間に合わない…」

「そんなのっ!」

「あのね、言いたいことが…あるの。聞いてくれる?」

「…分かった。何だって聞くよ?」

「私ずっと楽しかった。四人で笑いあって…私は一言も、喋らなかったけどw」

「蠍…」

「本当は、蜘蛛にも伝えたかった…皆、ありがとう。仲良くしてくれて。私をまっすぐ見てくれて。」

「それは…僕達も同じだよ…!」

「最後に一つ、お願いがあるの。私、本名は愛衣あいっていうの。その名前で…呼んでほしい。」

「愛衣ちゃん…ごめんね。ごめんね…!」

「愛衣…俺も、お前と一緒にいられて、楽しかったよ。」

愛衣は微笑んでから、目に涙を浮かべてこういった。

「雷也…雫ちゃん…やっぱり私、死にたくないよぉ…!」

頬を涙が一筋流れた。

「愛衣っ…!」

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」

静かな夜の街に雫の嘆く声がこだました。


「どうしたの!?二人ともっ…て蜘蛛?蠍?」

「海月先輩…」

「あのね、二人ともね、うっ…」

「大丈夫。俺が、話すから。」

「もしかして…」

「そのもしかしてです。」

「嘘…」

蟷螂は事の顛末を海月に話した。

「ってことは…」

「誰か内通者がいるということでしょう。」

「…わかった。そっちは俺が何とかしとく。二人は…もう休んで。」

「うん。雫、いこっか。肩貸すよ。」

「あり…がと。」

二人はとぼとぼと歩いて行った。そんな二人を眺めながら海月は呟いた。

「内通者…ねぇ。」

海月はある場所に向かった。


「なぜあんなにわかりやすい襲撃のやり方にしたんだ!?」

「あれくらいしないとやれないかと…まぁ大丈夫でしょう?」

「いや、勘のいい奴が一人いる…。もしばれたらどうして…」

「なぁに話してるんですか?雀蜂さん?」

「…海月。ノックくらいはしろ。」

「すみません。で?誰と話してたんですか?」

「お前には関係のないことだ。去れ。」

「嫌です。だって俺、大切な報告があるから来たんですもん。」

「…言ってみろ。」

「まぁもうご存知だと思いますけど、CWP成功個体が二人死にました。」

「…」

「生き残った一人曰く、敵側は襲撃を知っており、待ち伏せされていたそうです。」

「そうか…残念だな。」

「はい。非常に残念です。だって内通者がいるってことなんだから。」

「…それが俺だと?」

「まぁ簡単に言うとそうっすねぇ。」

「フン。バカバカしい。大体そいつの言うことは信用できるのか?路上で生活していたくらいだ。そいつが内通者という可能性は?そういうことも考慮してから…」

「しらばっくれんなよめんどくさい。」

「どういうことだ?」

「あたし!知ってるんだから!」

「…」

「ノリ悪ぃなぁ。なんであんたは蟷螂が生存者だって知ってんだ?俺、誰が生き残ったとか言ってないんだけど。」

「…」

補足すると蜘蛛は養護施設から連れてこられて、蠍は研究員の子供。雫は国民からの譲渡だよ。

「それに後ろに水爬虫も構えてるしね。」

「気づいていたのか…」

「バカナ。ケハイハカンゼンニ…」

「お前ら、俺をなめすぎ。」

「クラゲ、オマエ…」

「まて水爬虫。今はいい。」

「へぇ。逃げるんですか?」

「勘違いするな。見逃してやるんだ。」

「あっそ。俺は見逃さないけどね。」

そういった瞬間、海月は懐から銃を取り出した。

「水爬虫っ!」

水爬虫が拳を振り上げた瞬間、水爬虫の頭から血が吹き出した。

「ばぁか。」

海月が懐から取りだした時、既に銃口は水爬虫の方を向いていたのだ。

「まさか…これが初めから狙いだったのか…!」

「そうだよ。ばぁかばぁか♡ざこざぁこ♡」

「…俺は今相当怒っている。何故かわかるか?」

「あっ、もしかして雀蜂の性癖ってメスガキだった!?ごめーん!侮辱みたいな感じになっちゃって!」

「馬鹿にできるのも今のうちだ…」

「はぁ。」

「俺は水爬虫が自分よりも先に狙われたことに怒っている。俺より水爬虫の方が強いとでも?」

「まぁそうだねぇ。」

(だけども俺は雀蜂が戦っているところを見た事がない。実際どれほどの強さなのか分からない…)

「…まぁいい。明日からもうその癪に障る話し方を聞けなくなると思うと寂しいよ。」

「じゃぁやめたら?」

「死ね。」

瞬間、雀蜂が凄まじい踏み込みを見せた…とほぼ同時に海月の後方から鎌が飛んだ。

「ちっ!」

雀蜂は間一髪で避けた。が、体制が崩れた今、次の攻撃は避けれなかった。

「お前が死ね。」

蟷螂は容赦なく鎌を振り下ろした。

ザシュ…鈍い音と共に雀蜂の首は地に落ちた。

「蟷螂…尾けてきたの?」

「へへ…すみません。なんかありそうな顔してたんで…」

「ま、いいけど別に。話も聞いてたんだね。」

「…はい。出来れば拘束してどぎつい拷問でもしてやろうかと思ってたんですけど、特対課にそんなのないですからね。」

「アマゾンかなんかで売ってるんじゃない?」

「草w」

この件に関して、二人は咎められることは無かった。スマホの履歴を調べると隣国と繋がっていたことは明白だったし、そこから芋づる式に他のアジトの場所もわかったからだ。スマホで連絡とってたとかあほすぎだろ。それにここだけの話。雀蜂はボスから嫌われてたらしい。私情だね!



それから二週間が経った。あの日から雷也と雫の生活は一変した。

「雫、今日も調子悪いのか?」

「…」

「雫、大丈夫か?」

「…」

扉越しの問いに雫は答えない。

「俺、訓練行くから。途中参加でもいいってよ。じゃ。」

蟷螂は走って去っていった。

雫はあの日から部屋に引きこもってしまった。反対に、蟷螂はさらに訓練に精を出すようになった。

「ハッハッ…」

「今日も蟷螂一人かぁ。」

「ハァ…海月先輩。」

「ランニング?偉いね。」

「まぁ。強くならないと…いけないんで。雫は絶対、守りたいから。」

「そっか。その雫は今日も?」

「はい。調子悪いみたいです。」

「まぁ無理させちゃいけないよね。じゃぁ今日も始めますか。」

「うっす!」


「はい。今日の訓練おしまい!」

「ハァありがとうございました。ハァ。」

「雫のことだけどさ。頼んだよ。」

「えっあっはい。」

「なんでそんなどもってんのよ。」

「いや…なんかそういうこと言うの珍しいなって。」

「雫が頼れるのは…きっとお前だけだから。」

「…分かってます。」

そう言って蟷螂は訓練場を去る。

「あー疲れた。部屋かえってシャワー浴びよう。」

雷也は自室へと向かうため、雫の部屋の前を通った。その時嫌な予感がした。

「し…雫?」

「…」

「雫!?大丈夫か!?雫!返事しろ!」

「…」

「くそっ!」

ガチャ

「開いてる…入るぞ!?」

雫の部屋はひどい状態だった。割れた食器、散らかっている卓上、転がる錠剤。…錠剤!?

「雫!おまっ!嘘だろ!?」

雫は睡眠薬をバカ飲んでいた。自殺を図ったのだ。

「馬鹿野郎!お前っ!吐き出せ!吐き出せ!!」

雷也は雫を抱きかかえて背中をたたいた。

「頼む…!雫!生きろ!」

「…ケホッケホッ」

「っ!雫!」

「んぁ…雷…也?」

「馬鹿っ…お前、本当に…」

「僕…一体…」

「睡眠薬を大量に飲んでたんだよ。」

「睡眠…そうだ。僕、死のうと…」

「なんでそんなことっ…」

「…どうやって入ってきたの?」

「え...鍵、開いてたから…」

「閉め忘れてたのか…やっちゃったなあ。はは…次はきっちりやらないと…」

「お前自分が何言ってるか分かってんのか!?」

「だって仕方ないじゃん!僕…どうしたらいいか分からなくて!僕が弱いからっ!二人は死んだ…なのに僕はのうのうと生きて…でもさ!雷也は僕に毎日話しかけてくれてっ!僕だってずっと一緒にいたいよ?雷也と、一緒に…でもそれじゃ二人に申し分けないし、罪悪感が!自分を責める気持ちが!でも…幸せな生活を送りたいって!生きていたいって!生きていきたくないって!もうどうすればいいか…」

閉ざしていた気持ちが一気にあふれ出した。うまく言葉がまとまらない雫を雷也は抱きしめた。

「へ…」

「わかった。もう大丈夫だから。もう言わなくていいよ。」

「雷也…?」

「雫は何も悪くないよ。誰も何も悪くない。誰も雫を責めてないし、二人だって、きっとそんなこと思わない。だからもっと気楽に生きていいんだよ。」

「でっ…でもっ…」

「もう何もかも一人で抱え込もうとしないで。大丈夫。これからは俺が雫を守るから。」

「えっ…」

「ずっと隣にいるからさ。だから、な?約束。」

雷也は小指を突き出した。

「あ...りがと。ぼ、僕、なんて馬鹿なことしたんだろ…ごめん…ごめんねっ!」

「謝らなくてもいーよ。」

雷也と雫は指切りを交わした。雫は泣いていた。そんな雫を雷也は優しく撫でた。

「あーごめん。ちょっと離れて欲しい…かも?」

「えっ?ご、ごめん。服濡れちゃったもんね…」

雫は涙を拭きながらそう言った。

「あ、いや、俺訓練後だから…臭うかなって…」

「え?なんだぁそんなことか。よかった。なら問題ないからさ。もうちょっとこのままで…いい?」

「えっ、あ…あぁ。」

こうして雫は再び足を踏み出した。雷也と手を繋いで。



それから一年ほど月日が流れた。雫はもう訓練に参加するようになったし、何件かの任務も二人でこなした。夜に街頭の下で初めて影絵遊びもしたし、任務が長引いた時に見た朝陽はとても綺麗だった。雫の十七歳の誕生日には、二人でケーキを買って、海月先輩を誘って三人でお祝いした。こんな幸せな日々を送ったのは初めてだった。雷也はずっとこのままの生活が続くと思っていた。ずっとずっと二人で過ごせると思っていた。

始まりは一通の手紙だった。任務帰り、雷也は雫の部屋の前に手紙らしきものが落ちているのを見つけた。

「雫~なんか落ちてるよ。」

「えーなにこれ。あっ僕宛だ。」

雫は手紙の中を見た。

「っ…」

「なになに?どしたん。」

「あっいや。何でもないよ。なんか勧誘のやつ。」

「へ~。」

「じゃっじゃぁ!おやすみ!」

「えっ…あぁ…」

雫はいそいそと部屋の中に入ってしまった。

(なんか怪しいなぁ。まぁあんまりプライベートを詮索するのもなぁ?)

この時、もっと強く聞いていたらよかったと雷也は後悔することになる。

翌日、雫は忽然と姿を消した。

雫の部屋の机の上に紙が置いてあるのを蟷螂は見つけた。

「なんて書いてる?」

「えーっと…『私用ができました。しばらくここを離れます。』って書いてます。」

「うーん…何かあるなぁ。」

「ですね。雫が特対課を簡単に離れるわけがない。」

「まぁいつか帰ってくるでしょ。」

「はは。ですね…」

「…あんまり無理すんなよ。」

「…ばれてるんですね。」

「まぁ目を見れば…ね?」

それからは蟷螂は任務の間を縫っては、雫の捜索に心力を注いだが、雫は一向に見つからなかった。

「蟷螂最近寝てないでしょ。」

「…そんなことないですよ。」

「任務で支障が出ちゃいけないから。ちゃんと寝なさい。気持ちはわかるけど。」

「…はい。すみません。」

「まぁそうは言ったけどね。君がそんなになるまで探してる雫が見つかったよ。」

「えっ?ほんとうですか!?」

「あぁ。でも…覚悟は必要かな。大丈夫?」

「大…丈夫です。」

「じゃぁこっち。」


「ここは…」

蟷螂はその場所に見覚えがあった。そう。ここは蟷螂が術後、目を覚ました場所だった。

「君。ちょっといいかな?」

「何でしょうか海月さん。」

「こいつ知ってる?」

「あぁ。蟷螂さんですよね。どうも。埋葬虫シデムシです。」

「この人は俺たちが出した死体をきれいさっぱり処分してくれる人なの。」

「いつもお世話になってます。蟷螂です。」

「話してくれるかな?」

「はい。私がいつも通り死体を処理しに行ったとき、急に彼女は現れました。私はいきなり襲われまして、生憎私は戦闘向きじゃないもので。命からがら逃げてきたわけです。」

「もしかしてその女が…」

「雫だと思われる。」

「髪型、髪色、輪郭。写真で見た雫さんにそっくりでした。」

「た…たまたまだろ。雫みたいな人なんて…いっぱい…」

震える声で蟷螂は否定した。

「まぁはっきり顔が見えなかったですしね。きっと違いますよ。」

「…」

海月は険しい顔で何かを考えていた。

(雫が消えてから、あっちに送り込んだスパイと連絡が取れない…雫がもらしたと考えるのが無難か。)


それからも雫の目撃情報は増え続けた。それでも蟷螂は信じなかった。信じたくなかった。だが、蟷螂の希望はたやすく打ち破られた。特対課の一人が、命を呈して撮った写真。そこにははっきりと、雫の顔が映っていた。

「嘘だ…そんなの…」

「蟷螂。残念だが、これが現実だ。」

「っ!」

蟷螂は雫の裏切りに絶望した。その絶望は徐々に怒りに代わっていった。

「なんで…どうして裏切ったんだよ…」

次の日、蟷螂も姿を消した。

「海月!蟷螂も姿を消したというのは本当か!?」

「本当です。大百足さん。」

この男は「大百足おおむかで」実は特対課のボス。今更出てきた。

「なんてことだ。いったいどこに…」

「見当はついてます。」

「なに!?どこ…ってまさか!」

「はい。きっと…」

「「敵の本部!」」

以前、敵の本部にどう攻め込むかという会議を行った。その時、敵の本部の場所を皆に伝えたのだ。

「俺だけでも今から急いで向かいます!」

「わかった。全員は無理だが、何人か追って向かわせる。」

「ありがとうございます。」

外に出たとき海月は気づいた。

「雨が降ってるな…」



「ここか…」

「こんばんは。今日はいかかがなさいましたか?」

「受付いるのかよ。すみません裏に通していただけませんかね?」

「すみませんお客様。関係者以外立ち入り禁止でして。お帰りください…土になぁ!」

受付の男は懐から拳銃を取り出した。

パン!

「隙がありすぎだ雑魚が。丁寧に言ってもダメなら、無理やり入る。」

しばらく通路を歩くと部屋についた。

ガチャ

「おいお前らぁ!こいつを殺すとなんと!ボスから二億!二億だぞぉ!」

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

瞬間、蟷螂の姿は消えた。

「お前らを相手にしてる暇はない。」

「うっそーん。」

先ほど騒いでいたやつらの首はもうなかった。

「おぉおぉ。強いねぇ。」

「っ!てめぇは雀蜂!なんで生きてる!?」

「弟が世話になったな。俺はあいつの双子の兄、大雀蜂だ。」

「まぁいい。死ね。」

「おっとぉ?お前の相手は俺じゃないぜ?」

「なに?」

その時、上から何かが落ちてきた。蟷螂は間一髪でそれをよける。

「雫…なんかデジャブだな。」

蟷螂は雫を殺すつもりだった。だが、顔を見るとその決心は揺らいでしまった。

「なぁ雫。なんでお前裏切ったんだよ。」

「…」

「あの時の言葉は?あの時の約束は?」

「…っ」

「あの笑顔もあの日々も全てうそだったのか?そうなのか!?雫!」

「黙れぇっ!」

雫は蟷螂に襲い掛かる。どちらかといえば蟷螂のほうが強い。ただ蟷螂は躊躇してしまう。ここで鎌を振れば、殺せる…というときに蟷螂は鎌を振ることができなかった。

「雫!思い出せ!俺と過ごした日々を!」

「黙れ…」」

「あの日々は、お前の笑顔は、嘘じゃないはずだ!」

「うわぁ!」

その時、雫に隙ができた。その隙を蟷螂は見逃さなかった。蟷螂は雫を押し倒し、馬乗りの態勢になった。

「雫!お前やっぱり…」

「チッあのアマ…洗脳が解けてきてやがる…」

「雫。今からでも遅くない。だから一緒に…」

瞬間、雫は蟷螂を跳ね飛ばした。

「なっ!」

「死ね!蟷螂!」

これは防げない…そう蟷螂は確信した。

グサッ鈍い音とともに、雫の腹部が裂けた。

「え…雫?」

「ゴフッ」

「な…んで。」

「くそっこれじゃぁ計画が…せめて蟷螂だけでも…」

「させないよ。」

「っ…海月。分が悪いな。ここは引くか…」

「逃がすかよ!」

大雀蜂を追いかけ、海月たちは部屋を出た。

「あの時お前は俺を殺せただろ!?」

「これで…いいの。これで…」

「そんなっ!まだ…お前は…まだ間に合ったはずだ!」

「ダメだよ…だって僕、もう何人も…仲間を…」

「そんなのっ別に何とも!とりあえず早く病院に!」

「雷也…もう僕は助からない…ゴフッ最後は、雷也の手で逝かせて…」

「あきらめるな!今から…」

「お願い…!」

雫はまっすぐな目で雷也を見つめた。

「…分かった。」

蟷螂は鎌を振りかぶった。

「雷也…大好きだよ。」

「…っ!そんなこというなよぉ…」

蟷螂は泣いていた。蟷螂は微笑む雫の胸に鎌を振り下ろした。

「俺も好きだったよ。雫。」

ザシュッ



僕には「都柚つゆ」という出来のいい妹がいた。成績優秀、スポーツもできて、誰にでも親切という絵にかいたような優等生だった。僕もそこまで出来が悪いわけじゃなかった。でも妹と比べるとダメダメだった。

「雫!あんたって子は!なんでそんなに出来が悪いの?」

「それに比べて都柚!今日はいじめられている子をかばったそうじゃないか!都柚はパパの誇りだよ!」

母と父は妹ばかりちやほやして、僕はいつもないがしろにされていた。虐待まがいのことだってされていた。それでも僕はまだましだと思っていた。この世には虐待されて捨てられる子供もいるそうだ。その子と比べたら僕はまだましな方。あの日まではそう思っていた。あの日までは。

その日は雨が降っていた。呼び鈴が鳴った。僕が扉を開けると、国の役員だと名乗る男が立っていた。父が対応した。何やら話をしていた父だが、しばらくすると、父は明るい顔をして母のもとへ向かった。何やらひそひそと話していた二人だが、少しして、二人は浮足立って玄関に向かった。嫌な予感がした。

翌日、僕は昨日来た人に引き渡された。捨てられたんだ。父曰く、僕を早く手放したかったそうなんだが、施設などに預けると近所で噂になるから嫌だったと。国に譲渡するという形なら、体裁も守れると。ふざけるな。僕はモノじゃない。僕は生きてるんだ。僕だって人間なんだ。ふざけるな。ふざけるな!

それから僕は変な手術を受けさせられて、雷也達と出会った。楽しかった。僕がまるで僕じゃないみたいだった。笑うことも増えたし、初恋だって経験した。本当に幸せだった。そんな時、あの手紙が届いた。同封されていた写真を見て驚いた。父と母と妹が映っていた。手紙には「こいつらが殺されたくなければ来い」と書かれていた。

僕はいつの間にか走っていた。なんで走っているのか自分でも理解できなかった。あんな仕打ちを受けていたのに、家族のことを見捨てられなかった。不運なことに、敵のアジトの場所を教えられていたから、すぐにたどり着いた。中に入ると受付がいた。手紙を見せると部屋に案内された。そこには窓があって、三人がいた。何か僕に向かって喚いていたけど何を言っているか分からなかった。次の瞬間、父と母の頭が打ちぬかれた。妹は泣き叫んでいた。僕のせいだとも喚いていた。意味が分からなかった。その後雀蜂に似た人がやってきて、僕に何やら妙なものを見せた。そこから記憶がない。

次の日、大雀蜂を名乗る男から全て聞かされた。後悔した。でももう遅かった。いろんなことを話してしまった。妙なものは催眠術の道具だったようだ。僕はもう駄目だろう。ただ雷也に申し訳なく思った。


雷也…殺してくれてありがとう。


目を開けると血だまりの中にいた。

外では雨が降っていて、周りの音をかき消してゆく。

君はこうなることを知っていたのだろうか。

行き場のないその問いは見えぬ陽の下でさまよっている。

そういえばそうだった。

君と初めて出会った日も外は雨だった。

雨の日は嫌いだ。服が濡れるしジメジメするし。

だけど君のおかげで雨の日が好きになった。

だけど君のせいで、また雨の日が嫌いになりそうだ。


海月が大雀蜂を仕留め、ボロボロの状態で部屋に戻ると雫は死んでいた。蟷螂はうつろな目で天井を見つめていた。そんな蟷螂を海月は、ただ見ていることしかできなかった。



後日、特対課に一通の手紙が届いた。雫から、雷也宛だった。

『雷也。元気にしてる?僕は今、敵の本部にいます。』

そんな三文から始まった手紙には数々の真実が書かれていた。あの日の手紙の内容、裏切りの理由、雫の生い立ち、そして雷也との楽しかった思い出。雷也は震える手で手紙を読んだ。四枚目、最後のページにはこう書かれていた。

『雷也。あの日の約束を守れなくてごめんなさい。一人で抱え込まないって言ったのにね。でもね。何様だよって話だけど、一つ約束して?雷也は絶対諦めないでね。

欲を言えばもっと二人でいたかったけど。仕方ないかぁ。バカだったなぁ。けど洗脳が強くなる前にかけてよかったです。それじゃぁ雷也。バイバイ。いつか、また。 雫』

元から所々滲んでいた手紙はさらに滲みを増やすことになった。

その日から蟷螂は何事もなかったかのように過ごした。

「蟷螂。お前大丈夫か?」

「はい?何のことです?」

訓練場で海月が蟷螂に話しかける。

「別に休んでもいいんだぞ?」

「いやぁ大丈夫です。なんとも思ってないんで…」

「ダウト。雫に言ったんだろ?一人で抱え込むなって。」

「っ!海月先輩…俺…俺…雫を、まもれなかっ…た。」

それから蟷螂は泣いた。散々泣いた。もう泣けない雫の代わりにもたくさん泣いた。

やはりというべきか、外では雨が降っていた。



首筋に冷たいものを感じた。

「あっやべ。雨降ってきたわ。」

蟷螂はダッシュで家に帰った。

「ついたー。」

いつものように部屋に向かう。が、蟷螂はなかなか前に進めなかった。

「…」

(今、扉をたたけばもしかしたら雫が…)

コンコンッ震える手でノックする

「…なにしてんだか。」

蟷螂は自室に向かった。その時蟷螂のスマホに通知が入った。

『あなたの住んでいる地域に大雨警報が発令されました。場所は…』


おしまい。

ここまで読んでくださりありがとうございます!

いかがでしたでしょうか。

後味の悪いような感じじゃないですか?僕はそう思います。

一応補足として、睡蓮は蟷螂に好意を抱いてはいません。勘違いはノンノンノン。あくまでも仲間としてですので。蜘蛛と蠍の間にもそういうのはありません。蜘蛛と蠍の過去については、この小説が伸びたら書くかもしれません。つまり書く確率はほぼゼロですね。

実はこれ実話も織り交ぜながら書いたものなんですよ。特対課なんてものは存在しないと思いますけど。

それにしても蟷螂は可哀そうですよねぇ。僕がそうしたんですけどね。

書くこともなくなってきたのでそろそろ終わります。

Youtubeもやってるので暇があれば見てください。

ここまで読んでくれて本当にありがとうございました!

最後に一つ。皆さんご存じの通り死後の世界など存在しないので、雷也と雫があの世で再開…なんてラストは存在しません。

それじゃ。おつみーぃと!

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