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「よし!今だ行け!」
二郎の合図と共に兵士が列ごとに進軍している最中のところに怪しまれないように混ざった。
先頭を走っていた月の合図で歩いていた兵士は止まり各々が休憩し始めた。
この世界にも動物がいる。
先頭を歩く月は馬に乗っていた。
やはりこの世界と日本は何か関わりがあるのかもしれない。
この刀も西洋のものでなく日本刀と形状が似ている、そしてこの鎧も日本の甲冑のような見た目をしている。
「なぁ、お前…見たことねぇ顔だなぁ…」
後ろから髭を生やした中年の男に話しかけられた。
「え…?前からいましたよ?」
とにかく演劇で培った平常心を保ち続けた。
「俺は一度みた顔を忘れないんだ、この作戦に参加してる顔を一人一人覚えているが…
お前は見たことがない…」
すると男は笑いだした。
「図星だなぁ…お前…演技下手すぎなんだよ…顔でバレバレだよ」
初対面の人にも演技が下手だと言われるとは…
俺が少し落ち込むと男は
「なに落ち込んでんだよ」と笑いながら鞄から取り出したパンをくれた。
「俺のために家族が作ってくれたもんだ、どうだ?うめえだろ?」
パンに込められた男への家族の思いが伝わるほど美味しいパンだった。
「良い家族をお持ちなんですね…」
そう言うと男は首もとにかけていたペンダントを見せてきた。
ペンダントを開くと中には家族で描いてもらった絵が入っていた。
「おーー!可愛い娘さんとお嫁さんですね!」
「お?そうか…娘と妻にいったら喜んでくれるだろうな」
男は咳払いをして話し始めた。
「まぁなんだ…お前のことは黙っておくよ、良いやつそうだしな、俺の名前はシエンお前の名前は?」
「平です」
「この辺ではきかない名前だな…まぁ深堀りはしないでおくよ…」
そして男は立ち上がると「そうだ」と言い
「この争いがおわったら俺の家族とパーティーでもしようぜ、さっき食べたパンをたらふく食わせてやるよ!」
シエンは住所の書いた紙をくれた。
「ありがとう」と答えた。
その頃には兵士が支度をして進軍再開しようとしていた。
「ここが…争う地か…」
月の一言で全兵士が進軍を止めた。
「とにかく相手よりも早くここにこれたことは幸いだ…早めに旗を立てよう」
「旗ってなんですか?」
そう聞くとシエンは答えた。
「あの旗をたてればこの地は私たちの領土ですよって言うようなもんだ、あの旗を立てた人たちはこの争いに参加した兵士達の倍の報酬をもらえるんだよ」
そうしてシエンは立ち上がり、「家族のために倍の報酬はほしいからな…安全そうだし」
そして旗をたてるメンバーを募っていた月の元に歩きだした。
「あ!そうだ平!この鞄持っておいてくれ!少しでも身軽になりたいからよ…」
そして鞄を受け取り、シエンを見送り帰ってくるのを待った。
旗を持ったシエンたちのグループが行った数十分後兵士達が慌てはじめた。
「な、なにがあったんですか!?」
「やつら、岩影にかくれてやがったのさ!旗を持っていった集団の安否が知りたいが…その前に…俺たちも争いの準備をしねえとな!」
自分も刀を持ち争いの準備をしていたとき、この世界にあるはずのない…銃声が鳴り響いた。
それは何発も…
急いで月の元に向かった。
「平さん!怪我はありませんか!?」
俺を心配してくれている時に一人の男が入ってきた。
「相手の攻撃により我が軍の1/3の兵士たちがやられました!」
俺はただただ心配していた。
「シエン…生きててくれよ…」