表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
たぶん...悪役令嬢だと思います  作者: 神楽 紫苑
第2章 私リリア!学園に通うの。
92/318

王妃様とお約束

……静寂が訪れる。

誰も…何も言えずに黙々とお茶を啜る。

頼むから誰か…誰かこの状況を何とかして欲しい。


「ごめんなさいね?つい本音が出てしまったみたい。」

王妃様はふふっと笑みを溢し、沈黙を破る。

ほ…本音?


「リリアちゃんが私の娘になったらと思ったら我慢出来なかったのよ。」

「キャサリン様…。」

お母様が困った顔で王妃様を見ると、王妃様も少し困った顔をする。


「リオン君も、リリアちゃんも可愛いんだもの!仕方ないでしょ?」

「…娘で無くても、いつでもお会い出来ますよ?」

王妃様がとても残念そうな顔をするので、思わず発言をしてしまった。

それに気づき、慌てて下を向き小さな声で謝罪をする。


「まあ!!また、会いに来てくれるの?」

パァッと花が咲いたように微笑む王妃様に、怒ってないのだと胸を撫で下ろす。

隣のリオンもニコニコしながらコクンと頷いていた。


「勿論です!また王妃様とお茶がしたいですし、お話もしたいです。」

リオンがキュルンとした可愛い顔で王妃様に微笑むと、私もお母様も王妃様も…。

そして侍従や侍女達も眩暈が起こったかのようにクラッとした。

何なら世界がぐらついた気がするくらいに揺れた。


「そんな…なんて破壊力…。」

王妃様がポロッと本音を溢す。

分かる…と頷けば、他の方々も頷いて…リオンはコテンと首を傾げていた。

だが、あれは確信犯だ。

コテンと首を傾げながらも笑顔を崩していない…やるな。


「またリリアにお菓子を作って貰って、会いに来ても良いですか?ね!リリア、いいよね?」

「王妃様がお許し下さるなら、私もリオンと同じ気持ちです。」

二人でニッコリと微笑めば王妃様は胸を押さえて仰け反ってしまった。

…大丈夫だろうか?リオンの破壊力が凄すぎるせいだな…うん。


「許すに決まっているわ!是非、来て?来週も来る?予定があるかしら?」

王妃様はテーブルに手を置いて私達に顔を近づける勢いで問いかける。

来週…来週はバレンタインだな…。

思わずどうしたものかと考え込むと、お母様が私達の代わりに答えてくれる。


「キャサリン様、申し訳ございません。来週はバレンタインというイベントでリオンとリリアは領地に行くのです。」

「まぁ!バレンタインとは何かしら?」

お母様が説明すれば、王妃様が首を傾げる。

この世界に無い行事なので仕方ない。

因みにお母様は昨年のバレンタインの日記を見ているので理解しているようだ。


「バレンタインとは、女性が想い人にチョコレートをプレゼントし…愛を告げるのです。」

私が少しだけ照れながら話せば、王妃様は口元を押さえ「まぁ!素敵なイベントね!」と何故か大喜びだ。


「私が発案で、昨年から始めたばかりのイベントなのです。」

折角、いつでも会えると伝えたのに…申し訳ない気持ちになって頭が下を向く。

リオンも何故か同じように頭が下がっていた。


「いいのよ?大切な日なのだからイベントに参加なさい。」

王妃様はふふっと微笑んで、続ける。


「次の週なら大丈夫かしら?その時に是非、イベントの感想を聞かせてね?」

「「はい!」」

すると、王妃様が手招きするので私とリオンは王妃様もお側に寄る。

フワッと花の良い香りがしたかと思うと、私とリオンを両手の中に包み込むように抱きしめる。


「一度、二人を抱きしめてみたかったのよ?はぁ…癒される。」

ぎゅっと抱きしめられたので私もリオンもぎゅっと抱き返せば、更に強い力で抱きしめられた。

名残惜しそうに手を離し…再び王妃様の本音が溢れる。


「何故、うちのジュードは…リナリアさんを選んだのかしら?」

もう本当、意味が分からないと続きそうな言葉を私もリオンも苦笑いで受け止める。

最近のジュード殿下は色んな方面に靡いてますけどね…。


「クロードはリリアちゃんがお気に入りみたいだけど…儘ならないものね。」

心底残念そうに自身の息子の心情を、お相手に話さないで頂きたい…と思う。

私はどんな顔をしたら良いと思いますか?

息子さんも母親に暴露されるとは思ってもみないだろうな。

でも、あのクロード殿下がこの事を知ったらどんな顔をするのか気になるな。


…ところで、思ったのだが。

何故、リナリアだけ“さん“なのだろうか?

一番幼いのだから“ちゃん“では無いのだろうか?


その後、お茶会を終え…王妃様とお別れのご挨拶をすれば明らかに寂しそうにするので私とリオンは再び王妃様に抱きついた。

ハグをし、再び次に会う約束をすると笑顔になったので嬉しくなって私もリオンも笑みが溢れた。

何故か周囲がグラリと眩暈を起こしたので不安になったが…直ぐに持ち直したので良かった。


お兄様と合流し、帰りの馬車の中で疑問に思った事をお母様に聞くと…。

お母様が渋い顔になる。

「リナリアは…出禁になったの。」

ボソッと呟かれた言葉に私もリオンもお兄様までも固まった…。

リナリア…何やったのさ!!

ブクマ・評価・感想・誤字報告ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ