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たぶん...悪役令嬢だと思います  作者: 神楽 紫苑
第2章 私リリア!学園に通うの。
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お迎えに来ちゃった

「リオン、リリア、迎えに来たよ。」

レアチーズケーキを作った翌朝、何故か領地に一台の大きな馬車がやってきた。

何事かと思いお迎えすれば、中からはお兄様が降りてくる。


「「お迎え?」」

確かにお休みは今日と明日の二日しかないから…そろそろ帰らないととは思っていた。

思っていたけど…思ったよりも早かった。


「そう、お母様が明日のお茶会にリリアとリオンを連れて行きたいそうなんだ。」

お兄様はニッコリと笑って理由を告げると、お祖父様とお祖母様が来たので挨拶をした。


「やあ、リーマスも元気そうだな。お迎えに来てくれたのかな?」

「まあまあ…もうお迎えが来ちゃったのね?」

祖父母はお迎えが来る事を事前に知っていたのか、あまり驚いた感じがしない。

……私達への連絡が無いのは…お祖父様のせいかな?

思わずジト目でお祖父様を見ると、苦笑いを浮かべたので確信犯だと思われる。

お祖父様に頭をポンポンされて誤魔化された。


「リーマス!」

「アレス!」

お兄様とアレスは互いに名前を呼び合い、握手する。

本当に仲が良いなと思う。

何だか、アレスが自分の兄と仲が良いのって嬉しい。


「そうだね、将来のお婿さんと家族が仲が良いって嬉しいよね。」

私が二人を見てニマニマしてると、隣にいたリオンが私の耳元で囁いた。

「リオン…また心を読んだの?」

先ほどお祖父様にしたように、リオンを睨むとリオンはニッコリと微笑む。

「リリアの顔に書いてあったんだよ。」


私達がワチャワチャとしていると、何故か周囲からの視線が気になった。

皆んな、生温い目で見てない!?

私がキョロキョロっとすると、リオンが何かボソッと呟いた。


「微笑ましい目で見られてるだけなのに…。」




「では、また来週のバレンタインに帰ってきます。」

私とリオンはマリーとアリーに荷物をさっと纏めてもらって待機していた馬車の前で、お邸の皆んなにご挨拶する。

王都に戻るが来週には一度帰宅する為、今日はそんなに寂しさを感じない。

…と、思っていたのは私とリオンだけのようで…


「また、来週会えるのを楽しみにしているよ?」

お祖父様が寂しそうに微笑む。


「あっという間のお休みだったわね?寂しくなるわ。」

お祖母様も寂しそうに私達を抱きしめた。


「リリア、僕との約束は守ってね?リオン、リリアを頼んだよ!」

「うん!リリアの事は任せて!!」

アレスはリオンとギュッと軽く手を握り合い、私には何故かギュッと…ハグされました。

しかも、ちょっと長い気がするのは気のせいだろうか?

ドキドキしちゃうから困る。


離れ際には頬にチュッて…

チュッてしたんだけど!?

右手の親指で唇をなぞられたんですけど!?

ちょっと残念そうに笑うのなんで!?

「今度は唇にするね?」とか誰にも聞こえないくらいに小さな声で囁くの止めてー!!!

無理、鼻血出ちゃうから!!

また倒れちゃうからーーーー……



「落ち着いた?」

ガタンゴトンと揺れる馬車の中で私は無言のまま天を仰いでいたらしい…。

何それ?怖いんだけど。


「アレスのアプローチは分かりやすいね。」

お兄様も生温い感じに私を見てるし。


「リリアには、あれくらい分かり易くないと伝わらないんだよ…ね?」

ね?って、リオン君…それ私に聞いてるの?

とりあえずコクンと頷けば満足そうに笑うの本当に止めて欲しい。

なんとか話題を変えないと…。


「お兄様!」

「違うよ?お兄ちゃんでしょ?」

何故か間髪入れずに呼び方を正されてしまった。


「えっと、お兄ちゃん?」

「なあに?」

お兄ちゃんと呼べば嬉しそうに微笑む。


「お兄ちゃんは商会を立ち上げたりしないのですか?」

「んー?そうなんだよね、悩んでるんだよ。」

タイプライターを作ったお兄様は、私の要望で次に複製機を作ろうと構想を練っているそうだ。

両方が出来れば、この世界の事務仕事をしている方々に感謝される事だろう。

ただ、作ったお兄様に損はして欲しく無い。

だから、商会を立ち上げて本格的に売り出した方が良いと思う。

特許的な物もあれば取ってもらいたい。


「お父様に話せば賛同してくれると思いますし…領地にお店を出して頂けたらと思ったのですが…。」

王都ではなく領地に本店を置いて欲しいと思うのは私とリオンが領地を継ぐからというのが大きいけども…。

王都の方が来客は見込めると思うが、その分…無茶な要望を出す貴族も多いと思う。

自分のところを優先しろなんて言われても困るしね。


「そうだね、きっと個人のお客さんよりも王城や学校…個人でも大きい商会とかで需要がありそうだし…そうなればお店で見て買うって人は少ないよね。」

思ったよりも、お兄様は商売に向いてるかもしれない。

需要と供給を理解してターゲット層を絞っている。

さすが…お兄様!!


「うん、何となく形が見えた気がする!ありがとう、リリア。」

うんうんと頷きながら、何故かお礼を言われてしまった。

特に何もしてないんだけども?


「お兄ちゃんは初等部の卒業後の一年間は商会を立ち上げるの?」

コテンとリオンが首を傾げると、お兄様は目をパチクリさせる。

「そうだね!中等部まで一年間あるからね!早速お父様に提案してみるよ。ありがとう、リオン。」

今度はリオンにお礼を言う。

ちゃんとその都度「ありがとう」が言えるお兄様は素敵だと思った。



「そう言えば、お母様がリリアに頼みたい事があるみたいだよ?」

王都に入り、もうすぐお邸というところでお兄様は突然思い出したかのように言う。


「僕も同じようなお願いだから、お邸に着いたら宜しくね。」

ニッコリと笑って何かを頼まれてしまった。

変な事じゃ無いと良いのだけど…?


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