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たぶん...悪役令嬢だと思います  作者: 神楽 紫苑
第2章 私リリア!学園に通うの。
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戦闘準備は完璧

てっきり、直ぐにアレスのとこに行くと思ってた。

思っていたから、引っ張られながらも気持ちを強く持って…

女は度胸!とか思って…


思っていたのに、着いたのはダイニングでした。



「もうお昼だし、腹ごしらえしないとね!」

ルンルンでダイニングの席に座るリオン。

それこそ、鼻歌でも聞こえてきそうだよ…


私は隣の席で、マリーに冷えたタオルを渡され目を冷やしていた。

…冷たいけど、気持ちいいな。


「あれ?リリア、どうしたの?」

アレスはダイニングに入るなり、タオルを当ててる私に慌てて近づいてくる。

私は手を振って大丈夫だからと合図するが、気づかないのか…アレスは私の顔を覗き込んだ。


「大丈夫だよ、もう泣き止んでるから安心して?」

私の代わりに何故か答えるリオン。

その答えにアレスの顔は険しくなる。


「誰が泣かしたの?どうして泣いたの?」

ムッとしながらリオンと私に問うが…なんと答えたらいいのだろうか?

私が悩んでいるとリオンは顎に人差し指をくっつけて悩みながら…


「強いていうなら、アレスかな?」

アレスに向かってニッコリと笑った。

おいっ!ちょっと違うし、なんでアレスだけなの…

アレスはアレスで何故かシュンと落ち込んじゃうし、違うから!

そういうんじゃないからと否定すれば、じゃあ何で?って聞かれちゃった…。


「あら、それ以上は乙女の秘密よ?女の子をそんなに問い詰めちゃダメよ。」

背後からお祖母様の明るい声が聞こえて三人とも振り返る。

お祖父様とお祖母様が席へと着き、アレスも慌てて席へと向かう。


「うむ、女心とは難しいものだからな。」

お祖父様も何かを納得したかのように頷く。

その言葉にお祖母様も頷いていた。


全員が席に着いたのを見計らって料理が出てくると、互いに会話をしながらの食事が始まった。

楽しそうに食べて、会話も弾んでいて…

ああ、私…この光景が好きかも。



楽しい昼食を終えて、お部屋へ戻ろうと立ち上がると…リオンが私の袖を掴む。

首を傾げていると…リオンはニッコリと笑った。


「アレス!この後、リリアが話があるんだって!」

リオンは部屋を出ようとしていたアレスを捕まえて、私が話したいと勝手に告げる。

待って…心の準備とか、心の準備とか…そういうの大切だよ?



「アレス様、リオン様。リリア様ですが、これから少し準備がございますので…アレス様は庭園にてお待ち頂けますか?」

近くに控えていたマリーが告げると、一緒にいたアリーが私をリオンから奪い足早に部屋を出る。

私は訳が分からず…流されるまま……


それは素晴らしい手際だった。

私室へと押し込まれると、着ていたドレスをババっと脱がされ全身を隅々まで濡れタオルで拭かれた。

そこで気付く…私ってば走ったりして汗をかいていたのだと。

良い香りのクリームを全身に塗られて、新しいドレスを纏う。

淡いピンクの生地に上品なレースがあしらわれた…とても可愛らしいドレスだ。

まさに清純派!って、これ私に似合うの?


ドレスに着替えるとドレッサーの前へと座り、マリーが手際よく髪の毛をセットする。

元々、緩くカールが付いている髪は片側を編み込み、反対側の耳の上でクルクルっと纏めハーフアップにする。

そこに小さな花のコサージュをセンスよく付けていき、長く腰の辺りまで垂らした髪はカールを強めにしフワッと広げた。


…ここまでの作業をマリーとアリーは無言で行うというね。

ちょっと怖かったです。


姿見で確認しようかと動けば、マリーが立ち塞がる。

「リリア様、既にアレス様を待たせておいでです。行きましょう!」

背中を押すようにし、アリーは私の手を持ってエスコートする。

庭園のテーブルセットで紅茶を飲むアレスを見つけ、駆け寄ろうとすると…

アリーは私の手を強く握った。


「リリア様、戦闘準備は完璧です。」

「自信を持って挑んでください。」

マリーとアリーが囁くように言うと…スッと下がっていってしまった。


何だろう…この至れり尽くせりな状況。

でも、彼女達のおかげで少しだけ自信が持てた気がする。


「お待たせしました。」

ゆっくりとアレスの方へと近づけば、私に気づいたアレスはガタッと立ち上がった。

見れば顔を真っ赤にして…目を見開いている。

不安に思いながらも隣に行くと、アレスはフワッと微笑んだ。


「リリア、とても可愛らしいよ…花の妖精でも現れたかと思った。」

二人だけなのに、何故か耳元で囁くアレスの声はとても甘くて…

思わずドギマギしてしまう。

耳がーーー!耳がヤバいんですけどーーーー!?


「あ…ありがとう。嬉しいです、はい。」



「……。」

まずい…なんて切り出したら良いんだ?

あれだよね?私から話すんだよね?

…そうだよね、私が話があるって事で呼び止めたんだもんね。


「「あの…」」

意を決して声を出したら被るだとー!?


「あ…えっと、アレスからどうぞ?」

私はちょっと落ち着かないと無理なのでアレスからにしてもらう。

もう本当に落ち着かないとダメだ。


「うん、この間の別邸にお迎えに行った時に思ったんだけど…リナリア嬢はいつもあんな感じなのかな?」

どこか気まずそうにアレスはリナリアの事を聞いてくる。


……はっ!!

まさか…?

そんな事って…いや、無くは無い。

前例もあるし、それにリナリアはお母様に似て可愛いことは可愛いし。


でも…まさかそんな事って…

アレスの運命の“番“はリナリアだなんてーーーーー!?


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