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たぶん...悪役令嬢だと思います  作者: 神楽 紫苑
第2章 私リリア!学園に通うの。
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赤いリンゴと困った王子


「すまなかった。」

魔法を解くと、ジュード殿下は私達に近づき頭を下げた。

王族なのだから頭は下げないで頂きたい!


「いえ、お怪我が無く終わり良かったです。」

無難に返事をし、頭を下げると…何故かジュード殿下がモジモジしだした。

気持ち悪いから止めて欲しい。

もちろん、声と顔には出さないけども。


「私に…好意を抱いているのだろう?だから、私を傷つけまいと配慮してくれたのであろう?」

ジュード殿下は私にどんどん近づいてくる。

…ちょっと本当に距離感がおかしい。

頼むから勘違いしないで欲しい。


「いえ、ジュード殿下が妹のリナリアの婚約者だから配慮したまでです。」

そうじゃなきゃ、あんなに悩まなかったというのに。

そして…いつも思うんだけど、何故に婚約者の姉を認識していないんだ!

双子でセットになって動いてるんだから、分かりやすいと思うんだが?

何故…そんなにキョトンとした顔で私を見ているんだよ!


「あ…あっ!そうであったな!!リナリアの…そうか…」

なんで若干、残念な顔してるんだよ…

さっきはセシルさんに目を奪われてたし、今度は配慮した私が好意を持っているからと勘違いしてるし…


…本気出せば良かった。


『跡形も無く…消し炭にしてしまえば良かった。』

思わず呟きをリオンへのテレパシーに乗せれば、リオンは咳き込んでしまった。

何かツボに入ったようだ。


「では、失礼致します。」

さっさと足元のリンゴをかき集めると、リオンとセシルさんも一緒になって集めてくれた。

最後の一つを取ろうと手を伸ばすと、それをヒョイッとクロード殿下が掴む。


「このリンゴはどうするの?」

そもそも何故にリンゴを育てたのか疑問だったのだろう…

首を傾げながら私に近づいてくる。

…近い!距離感がおかしい!

さっきから、このご兄弟は距離感がおかしい!!


「もちろん、美味しく頂きます。」

後退るも、距離感は変わらない…何故だ!

頼むから、誰か助けてくれ!


「そこまでです。距離が近いです、クロード!」

お兄様が間に入ってくれた…し、何故かリオンが私を抱きしめている。

しかも、ヨシヨシと頭まで撫でてくれている。

手に持っていたリンゴも、いつの間にか籠を作って入れてある。


「邪魔するな、リーマス。」

「邪魔します!」


お兄様方がいつものように言い合っているのを聞いて、私はどこか気が抜けてしまう。

まだ午後の授業も残っているというのに、なんだか疲れてしまったな。



「リリアさん、ありがとうございました。」

すぅーっと音もなく私達の背後に回ったマキシア先生が私の耳元で囁いた。

思わず体がビクッと跳ねた。

出来たら正面から堂々と来て欲しい…吃驚し過ぎて心臓に悪いよ。

リオンと共に振り返れば、ニッコリと微笑んだ先生が「お昼休みは1時間延長しましょうね」と言って去って行ってしまった。


「そういえば…リリアは、先生に何を助言したの?」

リオンと近づいてきたセシルさんも不思議そうに私に問いかけた。

去っていく先生は他の生徒達にも休み時間の延長を伝えている。


「…授業、受けてもらったらどうです?って言っただけ。」

「「え?それだけ?」」

もっと凄い助言でもしていたと思っていたらしい。

普通に特進クラスの授業を受けてみたら、実力差で分かってくれるかなって思っただけなんだけどね。

それに、無駄な時間を浪費するより簡単でいいじゃん?


結局は無駄な時間を浪費してしまったのだが…


「さーて!このリンゴはアップルパイにしようかな!」

気を取り直して集められたリンゴの籠に目を向ける。

真っ赤に実ったリンゴを手に、私は満面の笑みを浮かべるのだった。


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