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たぶん...悪役令嬢だと思います  作者: 神楽 紫苑
第2章 私リリア!学園に通うの。
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一件落着?

「そもそも、初等部一年生で魔法などやらないではないですか!」


鳥籠の中でジュード殿下が憤怒していた。

…だが、ちょっと待って欲しい。

魔法で勝負を挑んできたのはジュード殿下である。


恐らく…ここにいる全ての人間の頭に疑問符が浮かんでいるだろう。


「この者だって魔法など出来ないはずだった!何故、魔法が使えるんだ!!」

何故か怒られる私。

魔法が使える事で褒められはしても怒られる経験は初めてなので、誰か説明をお願いします。


「魔法が使えないと僕に跪く予定だったんだ!こんな事ならば剣術で勝負を挑むべきだった!」

地団駄を踏みながら、憤慨する様は…どこぞの駄々っ子かとツッコミたくなる。

王族で学園にも通い出したんだから、もっと…振る舞いに気をつけては頂けないだろうか?

それにしても、剣術にすれば良かったとは…


「いや、剣術を選んでいたらジュードの首は胴体と離れる事になっていたかもしれないよ?」

クロード殿下は真面目な顔でジュード殿下に話し始めた。

こんなに真面目な顔のクロード殿下は初めて見たので、思わずドキッとしてしまった。


「それに、勝負を挑んだのがリリア嬢で命拾いしたね。他の者ならば、どちらかが命を落としていたかもしれない。」

クロード殿下の声に、背筋が冷んやりした。

思わず両腕を摩ると、リオンが私の背中を撫でてくれる。


「何故、初等部一年生の全てのクラスが魔法の授業がないと思う?」

クロード殿下はジュード殿下に向かって質問すると、ジュード殿下が胸を張りながら答える。


「それは、まだ一年生だからです!」

答えになっていない気もするぞ?

たぶん…クロード殿下が言いたいのは、そういう事ではないと思う。


「魔法が安定せずに暴発の恐れがあるからだよ。学園に一年通い、落ち着いてから魔法の制御から習い始めるんだ。」

既に三年生のクロード殿下はその工程をしっかりと学んできたのだろう。

一年前に王城で魔法を見せた時に驚いていたのは、私が魔法制御が出来ており安定した魔法が発動できていたからだ。

そして特進クラスも普通クラスも関係なく二年生から習うのは、学園に慣れてからでなければ危険だから。


「僕はリリア嬢の魔法の腕前を知っていたからね、彼女以外を選んでいたら止めていたさ。」

本当に止めていたかしら?と若干…怪しい気もする。

そもそも彼らは私かリオンに誘導していた気もしないでもない。


「案の定、リリア嬢は君に対して傷一つ付けずにいただろう?魔法の勝負は相手を傷つける事だけじゃないのを、リリア嬢は実践してくれたんだよ。」

そんなつもりは1ミリも無かったけども…そういう事にしておこう。

どうやら私の特殊スキルが導いた答えが正しかったのだと、今更ながらに実感する。


「ただ…リリア嬢の本気の魔法が見られなくて残念だったのは僕だけじゃないだろう?」

クロード殿下が振り返り見渡せば、何故か皆んなが頷いていた。

しかも上級生クラスの先生まで頷いてるし!

っていうかルシアン様は首が捥げそうな勢いで頷いてるし!


「ジュードは、声に出す前に頭で考えてから発言するように。」

クロード殿下は再び真面目な顔付きになる。

空気がピリッとした。


「自分の立場を考えて、影響力がある事を自覚しなくてはね。」

「はい…。」

思い当たる節があるのだろう…目に見えてシュンと落ち込むジュード殿下。

それでもクロード殿下は続けた。


「特進クラスに乗り込んで、彼らの授業を妨害したよね?

セシル嬢は特待生として真剣に学園に通っているのに、ジュードはその時間を奪ったんだ。

もちろん…他の生徒達も遠い領地から態々、学園に通ってる生徒もいるんだよ?」

特進クラスの生徒は辺境伯家や王都から離れた領地の子が多い。

領地で一生懸命に勉強して、更により多くの知識を手に入れる為に学園に通っているのだ。


「特進クラスの生徒はね、毎日厳しい勉強をして選ばれた子達なんだよ。

遊びたい盛りに遊ばずに勉強をしていたから、こんなにも優秀なんだよ?」

クロード殿下の言葉にジュード殿下が更に萎れていく。

鳥籠の中で既に虫の息だ…


チラッとクロード殿下を見れば、気のせいだろうか…微妙に口角が上がったように感じる。

すると、直ぐに視線に気づいたのか振り返って私にニッコリと微笑んだ。

……怖すぎる。


「リリア嬢、悪いんだけど…これを解いてもらえる?」

クロード殿下は鳥籠を指差すので…頷き手を翳した。


「ーーーーー解!ーーーーー」

木魔法を解除すると、何故かクロード殿下がガッカリした顔を向けてくる。

そんな顔されたって…これ以外の方法でなど出来る訳がなかったというのに…


「そこは火魔法か風魔法じゃないの?」

リオンがボソッと呟くので、首を振って否定する。

だって相手は王子様で、妹の婚約者なのだから…傷がついたらえらい事だよ!

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