領地の商業地区へお出かけ。
公爵家の朝は早い。
言っておくが、子供だから早く起きるわけではない。
因みに今は朝5時である。
前世でもこんなに早く起きることはなかった。
白いシャツにパンツスタイルと令嬢とは思えない服装に着替え、髪の毛もポニーテールにし庭に集合する
お祖父様に剣術を習うのだ。
子供には重たく感じる剣でも、毎日の筋トレや素振りのおかげで扱えるようになった
剣術を教わった後は、お祖母様による魔法の練習である。
お祖母様が周囲に結界を張り、その中でまずは魔法制御の練習を行う
魔力を安定させてから初級魔法の練習をする
早朝5時から2時間ほど行うと、動きやすいドレス風ワンピースに着替えた。
ポニーテールにしていた髪をハーフアップに結い直してもらい朝食を摂る。
夜ほど厳しくはないが、美しい所作を身につけるためマナーには気をつける。
通常はこの後に座学があるのだが、今日は休息日で祖父母とお出かけだ。
今日は領地の1番栄えている商業地区に行き、私たち双子のお洋服を仕立ててもらうらしい。
馬車に乗るとお祖母様が心配そうな顔をした
「リオン、リリア、馬車は怖くない?」
転落事故で馬車が怖くなっていないか心配してくれる。
「「大丈夫だよ」」
答えるタイミングが重なり思わず目を合わせて笑ってしまった。
そんな私たちを見て祖父母はホッとした顔をして微笑んでくれる。
「そう、良かったわ。怖かったり気持ち悪くなったら我慢しちゃダメよ?」
「「はい!」」
またしても揃う返事。
互いに顔を見合わせてしまった
「いつもなら邸に仕立て屋を呼ぶが、今回は街の中を見て回るついでに店に行こうと思う」
お祖父様は腕を組みながら、これから向かう商業地区の説明をしてくれた。
馬車で30分もしないうちに到着した商業地区はとても賑わっている
活気溢れる街の中はどこも楽しそうだ。
馬車は店が立ち並ぶ区画から少し離れた所で停まると、そこからは徒歩だ。
王都ではお店の前まで行けるのに対し、ここは道も広くない。
人が多いので馬車で進むのは危険なのだ。
「領主様、こんにちは!」
色々なお店が立ち並ぶ中を進むと、どの店先でも明るく声をかけられる
その声に祖父母は応えるようにして進んでいく
時に立ち止まり店主と話す祖父母は領民の声をとても大切にしているのが分かる
そして、そんな祖父母が領民に慕われているのだと感じてとても嬉しくなった
お店に着くと老齢の女店主が迎え入れてくれる。
「今日は孫に服を仕立てて欲しいの。リオン、リリア、どんなお洋服がいいか希望はあるかしら?」
お祖母様は店主と軽く挨拶を交わすと私たちに希望を聞いてきた。
「ぜひ、作って頂きたい服があります!」
今日のお出かけが分かった時に、私にはどうしても着てみたい服があった。
せっかく双子に生まれたのだ!
双子ファッションがしたい!
事前にリオンにも話をして許可を貰っており、服のイメージも絵に描いてきたのだ。
6歳児の拙いデザイン画を店主は嫌な顔をせず受け取ると嬉しそうに微笑み、細部を確認しながら書き込んでいく。
使用する生地なども決まり1週間ほどで邸に届けてもらう事となった。
その後、お祖母様は店内にあった違う生地に目を止めたかと思うと店主と何やら話をしてお店を出た。
「さて、昼食にしようか。特に希望がなければ私の行きつけでもよいかな?」