上級生がやってきた。
「へぇー、今年の特進クラスは優秀なんだね。」
休み時間になり、クロード殿下はお兄様や他の先輩方を引き連れ特進クラスへと入ってきた。
特進クラスの皆んなはクロード殿下に気づき、一礼する。
それを見たクロード殿下は笑顔で手を振った。
「リオン、リリア!」
お兄様が私達の席まで来ると、何故かムギュッとハグされる。
今朝も出がけにハグされたというのに…
「お兄様、どうされたのですか?」
クロード殿下が来るのは何となく予想はしていたけれど、お兄様や他の先輩方も来るとは思っていなくて驚いた。
私とリオンはコテンと首を傾げていると、お兄様の後ろにいた数名の先輩方が何故か顔を両手で覆って小さい声で何かを呟いていた。
「ああ、次の授業の見学に来たんだよ。先生からの指示でね!」
すると、教室の入り口に目を向けたのでつられて私とリオンも目を向ける。
入り口には担任のマキシア先生と、もう一人の先生が話をしていた。
「ちょっとちょっと!僕達にも話をさせてよ!」
お兄様を押し除けて前に出てきたのはクリス様だった。
クリス様は嬉しそうに笑うと、私とリオンの頭を撫でようと手を伸ばし…
お兄様に手刀で叩き落とされていた。
「相変わらず、すぐ触ろうとするんだから!」
「いやいやいやいや、リーマスはハグしてたじゃないか!」
お兄様とクリス様が口論してる間にジル様とルシアン様が私達の側に来る。
「久しいな。」
「「ご無沙汰しております。」」
ジル様は第一騎士団の団長を務めるお父様に少し似てきたようだ。
少し強面の顔をクシャッとさせ笑顔になると、何となく可愛く思う。
そんな事を思っているとリオンに肘で小突かれる…
「変わらず二人は良い魔力を持ってるね!」
「「え?判るんですか?」」
ルシアン様はニコニコしながら私達にソッと触れようとして…
お兄様に手刀で叩き落とされた。
「油断も隙もないんだから!」
お兄様は私達を先輩方から庇うように立つと、振り返って大丈夫だったか聞いてきた。
私もリオンも頷くと、満足そうに微笑んだ。
ふと隣の席のセシルさんが気まずそうにしているのが目に入り、私とリオンは慌てて謝罪した。
「「セシルさん、騒がしくしてごめんなさい。」」
「いえいえ、構いませんよ?仲が良いのですね。」
セシルさんは優しく微笑んで首を振った。
「お兄様、私達と仲良くして頂いているセシルさんです!」
「彼女はとても優秀なのです!」
私とリオンはセシルさんの両サイドに立って、お兄様にセシルさんを紹介した。
セシルさんは突然の事に困惑し、顔を真っ赤にしながらお兄様方に一礼する。
そんなセシルさんは貴族よりもよっぽど礼儀正しいと思う。
「初めまして、リオンとリリアの兄のリーマスです。いつも弟妹と仲良くしてくれて、感謝します。」
お兄様もセシルさんに自己紹介し、ニッコリと微笑んだ。
こうやって見ると、やはりお兄様もカッコイイのだなと思う。
「君が今年の特待生なんだってね!」
「勉強だけじゃなく、礼儀正しくて…素晴らしい。」
「魔力も美しい色なんだね!」
「僕の事、お兄様って呼んでもいいよ?」
先輩方もセシルさんに順番に話しかけていたが…
最後のクリス様の言葉に先輩方がツッコミを入れていた。
私達も言われた事があったな…
それにしても…攻略対象とヒロイン的な図に見える。
もしかしてセシルさんがヒロイン?
あれ?そしたら、普通なら初対面で敵対するんじゃ?
そもそも私から声をかけて友達になってしまったんだが?
シナリオ的にまずかったのかな?
………まあ、もう3ヶ月も経ったしね、仕方ないか。
「ああ、もうすぐ次の授業だね!」
話し込んでいた為、あっという間に休み時間が終わってしまったようだ。
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