私と家族のこと。
転落事故から2週間が経った。
事故…としているが、私は何者かに狙われているんだと思っている
領地内の色々な場所に出かけるが、これまでも思い当たる事があった。
今回は特に直接的だっただけなのか…
これからはもっと酷くなるかもしれない。
私には祖父母とリオン以外にも両親と兄と妹がいる。
両親と兄妹は王都の邸にいるのに対して私とリオンだけが祖父母と領地にいる。
父は王城で仕事をしており、母はそんな父を支えながら王城で開かれる茶会などの社交も忙しい。
長兄のリーマスは9歳で、王都の学園に通って1年以上経つ。
王都の学園は8歳の誕生日を迎える歳の子から通うことができる。
そして妹のリナリアは4歳になったばかりで、母と離れるとすぐに愚図り泣き出してしまうのだ。
なぜ双子の私たちだけが領地にいるのか…
もしかしたら狙われているのが私とリオンなのかもしれない。
あと…祖父母が双子の私たちを溺愛してるのもあるかもしれない。
お祖父様は隠居する前は王城の騎士団で活躍していたらしい。
なんでも伝説級の騎士だったそうだ。
馬車の転落時に御者台に居たお祖父様が、軽傷で済んだのも頷ける。
お祖母様も実はとても強い。
魔法を得意とし、身体能力も高いそうだ。
その強さと美しさにお祖父様が惚れたらしい
お祖母様も『自分よりも強い殿方でなければ結婚はしたくない』といろんな縁談を断っていたらしい。
祖父母と言ってもまだ若い。
この世界の婚期が早いから、まだ50歳にも満たない
そして、その遺伝子を引き継いだ私とリオンは祖父母に溺愛されているのだ。
見た目も中身も似ているらしい。
見た目で言うと、何故か私たちは両親とは似ていない。
お父様は淡い金色の髪に紫色の瞳をしているし、お母様も同じ金色の髪に瞳は淡いピンク色だ。
お兄様のリーマスはお父様に似ており、妹のリナリアはお母様と似ている。
私とリオンはお祖父様と同じピンクグレージュの髪にヘーゼルの瞳をしている。
因みに、お祖母様は青みがかった白金の髪に綺麗な青い瞳だ。
祖父母は溺愛してるとはいえ、決して甘いだけではない。
家庭教師こそ付けないが、公爵家の子として恥ずかしくないように祖父母がしっかり躾けてくれている
おかげで国の歴史から領地のこと、マナーや学園で習う予定の勉強の他に武術や魔法など、学習内容は多岐に渡る。
前世の記憶が戻る前に既に勉強ができている時点で自分たちは優秀なんじゃないかと思っている。
教え方が上手いのかもしれないが、勉強中に集中力が切れることがない事から自分たちの能力も高いのだと思う。
前世の記憶を取り戻した今、私はさらに学ぶことが好きになった。
新しい世界のことを知るのは、これからの私の生死に関わってくる。
王国のこと、領地のこと、そして隣国のことなどは戦争なども絡んだりする
私が将来どんな断罪を受けるのか分からない以上、少しでも知識を増やしておきたい。
それとは別に、もともと“葵“は極めることを楽しみに生きていたのだ。
数多くの資格を有した“葵”は学ぶことが大好きだった。
会社に勤めても社員になるのを拒み、契約でいたのは極めたら次に行くためだ。
極めることで給料も格段に上がるし、何よりもやりがいを感じられる。
向上心の強い同僚と競い合いながら働くのは楽しかった…
これから私の人生がどう転んでも、その時が来るまでは後悔しないよう楽しく生きようと思う