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たぶん...悪役令嬢だと思います  作者: 神楽 紫苑
第1章 私リリア!7歳になるの。
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復元と再生

アレスは袖で涙を拭いながら、ポケットに入っていた布を取り出した。

「両親からの最初で最後のプレゼントだった…。」

私とリオンに見えるように布を広げると、中は壊れたネックレスだった。


「まさか形見になるとは思わなかった…壊れてしまったけど大切に取っておこうと思う。」

そう思えるのも二人のおかげだとアレスは笑った。


両親から贈られたネックレス…

それはアレスにとって変えが効かない大切な物…


壊れた物を元に戻す…復元…?


「リオン…力を貸してくれる?」

私はリオンを見ると、リオンは不思議そうに頷いた。


「私たちの特殊スキルを使ってみようと思うの!」

するとリオンは思い出したかのように笑顔になり頷いた。


「アレスのネックレスがこれ以上…壊れる事はないと思うけど、私たちの魔法を試させてもらえない?」

「…え?魔法?…うん、いいけど…」

アレスは困惑しながらも了承してくれた。


私とリオンは手を繋ぎ、反対の手をネックレスへと翳す。

目を瞑り、意識をネックレスへと集中させた。

『リオン、冥府の神ハデストラス様の加護を使い復元と再生を試みよう?』

『うん、二人でネックレスが元に戻るように祈ろう!』

目蓋を閉じていても分かるくらいに目の前が光る…


「「ーーーー復元と再生をーーー」」

一際、明るく光り…やがて光は収まっていく。


目を開けば、目の前にあった壊れたはずのネックレスは綺麗に元に戻っていた。


「……え?」

アレスはネックレスの鎖を両手で持つと、色んな角度から確認していた。

どうやら成功したようだ。


「…あ…ありがとう…壊れていたのに…諦めていたのに……」

再びアレスは涙を零し始め…次第に号泣へと変わっていく。

ああ、ちゃんと泣けるようになったんだと思った。


きっとアレスは両親を失ってから泣く事もせずにいたのだと思う。

怖いくらいの無表情だったアレスはもう居ない。


「「ーーー良かったね。」」

私とリオンは小さな声で呟いた…


ポンと頭に祖父母手が乗った感触で私とリオンは吃驚する。

見渡せば祖父母や使用人達が嬉しそうに微笑んで…中には泣いている人もいた。


「特殊スキルを使ったのね?リオンの復元…そしてリリアの再生。」

お祖母様は私とリオンの頭を優しく撫でる。

だが、思うにリオンの復元だけで良かった気がする…

なぜ再生?と首を傾げていると、その理由をお祖母様が教えてくれた。


「あのネックレスは魔道具。リオンが形を戻し、リリアが動かせるようにしたのよ?」

そう言ってお祖母様はネックレスの石を指差した。

見れば石の中に星屑が渦を巻いて動いている。


「二人でしか使えないスキルとは、こう言う事だったのね。」

お祖母様は私とリオンを抱き寄せると、アレスへも手を伸ばして抱き寄せた。


「アレスに感情が戻ったのは二人のおかげかしら?アレスも辛かったわね、これからは…幸せにならなければね?」

「…っ…はい。…二人が居なければ…僕は…僕は…。」

お祖母様はポンポンとアレスの頭を撫でる。

とても優しい手だった。


第一章は、ここで終わります。

暫くは番外編と言うか幕間が入ります。


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