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たぶん...悪役令嬢だと思います  作者: 神楽 紫苑
第1章 私リリア!7歳になるの。
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本邸へ帰ってきました!…可愛いのどっち?

「お帰りなさいませ。」

門を潜りエントランスへと馬車を停めると、執事のセバスチャンを筆頭に全ての使用人が出迎えてくれた。

久しぶりの本邸に思わず笑みを溢すと、使用人たちも嬉しそうに微笑んでくれる。

帰ってきたんだ!って気持ちが湧いてきた。


「支度を整えたら食事にしよう!セバス、アレスを部屋へ案内してくれ。」

「かしこまりました。」


お祖父様を先頭に邸へと入る。

私とリオンは隣同士のお部屋で、その向かいの部屋がアレスの部屋になるそうだ。

部屋の前で別れると、マリーが私の身支度を整えてくれる。

「久しぶりに帰ってこれて、皆んなの顔が見れたらなんかホッとしちゃった。」

思った事をそのままに呟くと、マリーも嬉しそうに頷いていた。


あっという間に身支度が整うとダイニングへ向かう。

ダイニングの前でリオンと合流し、中に入ると私たちが一番乗りだった。


バルトさん達、料理人さんが珍しくダイニングの方へと顔を見せる。

「バルトさん、プリンありがとう!」

「とても美味しかったです。」

王都の邸に着いた日にバルトさんからと、プリンをもらった事を思い出したので声をかける。

「それは良かった!また何かレシピがあれば教えてくださいね。」

そう言われると、色々と作ってもらいたくなってしまう。

次は何がいいかな?


「お兄様もプリン食べたいって言ってたから、来た時は出してください!」

リオンが思い出したかのように、バルトさんにお願いする。

そういえば、お兄様もプリンを気に入っていたな。

「かしこまりました。」

バルトさんは頭を下げ、仕事に戻って行った。


「次はどんなお菓子を作ろうかな?」

私が呟けば、リオンは目をキラキラさせて私を見つめる。


「えっと…希望ある?」

何か好みのお菓子はないかと聞いてみると、更に目を輝かせた。

「どんなお菓子があるの?」

「うーん…何がいいかな?甘いのが良い?それとも少し大人な味がいい?」

ショートケーキやチョコレートケーキ…少し大人なと言ったのはティラミスも食べたくなったからだ。

紅茶を好んで飲む習慣があるが、珈琲もあるしココアもある…チーズも手に入る。

無論、チョコレートもある。

料理の種類は少ないのに、やたらと材料が揃った不思議な世界だ。


「えー!大人の味のお菓子って何?」

「ちょっと苦いの。」

リオンは嬉しそうな顔で首を左右に傾けては、どっちがいいかと悩んでいた。

その仕草がとても可愛くて思わず…

「リオンは可愛いね。」

と呟くと、リオンは動きを止めて私を見た。


「え?リリアのが可愛いよ?」

さも当たり前のように返された。

「いや、リオンの方がこう…仕草に華がある!」

私も負けじと返す。

そっくりな顔立ちなのにリオンは笑えば花が舞うように愛らしい。

私だと…なんだろう、嫌味な感じが出る気がする。


「ボクはリリアのが可愛いと思ってるし…それにボクは可愛いよりもカッコよくなりたい!」

確かに男の子だ…

可愛いなどと言われても嬉しくないのかもしれない。

それでも私のが可愛いはずはなく…


「あっ!でもね、可愛いって言われるのが嫌な訳じゃないよ?ボクが可愛いって事はリリアも可愛いって事でしょ?」

なんだと…私も可愛い認定されるから、可愛いと言われるのも嫌じゃない…だと?

「リオンのそういうところが、私と違って可愛いんだって!」

私は力一杯にリオンの可愛さをリオン自身に説明していると、祖父母とアレスがダイニングへと姿を見せた。


「あらあら!ふふふっ…二人とも可愛いわよ?」

お祖母様が嬉しそうに話に参加する。

「うむ、二人とも愛らしいぞ?」

お祖父様も笑顔で答えてくれた。


「えっと…僕も二人とも可愛いと思うよ?」

アレスに気を使わせてしまった…何だか申し訳ない。

しゅんっと座ると、何故かアレスが慌てて「違うからね?本当に思ってるからね?」とフォローしてくれる。

言われれば言われるほどに現実味が薄れていく気がした。


「「…ありがとうございます。」」

皆んなに言わせた感が半端ないが、とりあえず有り難く受け取っておくことにした。



「セバス、食事後のお茶の時に邸の者たちに大切な話がある。全ての使用人へ周知し大広間の準備を頼む。」

食事をしながら、お祖父様は執事に指示出した。

アレスに関する話をするのだろうか?

邸の中でもアレスは耳や尻尾を隠してはいなかったが、使用人は誰もその事を気にした様子もない。

私も淑女としてもう少し表情を隠す練習をしなくてはと思う。


バルトさんにプリンのお礼をしたせいか、デザートにはプリンが出てきていた。

しかも…これはプリン・ア・ラ・モードだ!

早速、表情を崩す私…だが仕方ないと思う。


「プリン・ア・ラ・モード…最高!」

「プリン…?そういう名前なの?」

リオンが聞いてきたので説明する。

おそらく、バルトさんは知らずに盛り付けただけだろうけど。


「プリンを中心にフルーツやクリームを盛り付けたものを言うの。あとはアイスクリームもあると良いよね。」

「…アイスクリーム?」

この世界には一般的に冷凍庫がない。

だが、ここの本邸には冷蔵庫と冷凍庫もあるので作れるかもしれない。


「この邸には冷凍庫があるから、今度作ってみようか?」

「うん!」

リオンと二人だけで会話して気づかなかったが、バルトさんもこの会話を聞いていたらしい…

ダイニングを出たところでバルトさんに捕まり、後日レシピを教えるという事で解放してもらった。

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